2026/6/18
兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
さくっと同僚議員の一般質問紹介です。まほろば会の岡田議員です。

ベッドタウンにとって「空き家」は大きな問題です。今回は、空き家を放置する所有者に対して、税負担を重くすることで活用・売却・解体を促せないか、というお話です。
■ 現状と課題
川西市の空き家については、以下のような状況にあります。
【大規模廃墟物件】
緑台7丁目の旧スポーツセンターは、延床面積約1万㎡の巨大廃墟です。
所有者はシンガポールの海外法人で、固定資産税等の滞納が続いているとのことです。

管理不全状態で地域住民の安全・安心を脅かしており、現行の要綱に基づく指導では限界があると指摘しました。
■ 空き家税(独自税)の導入
寝屋川市(固定資産税の3〜5割相当を課税)や神戸市(空室税)を参考に、所有者に活用・売却・解体を促すインセンティブとして独自税の導入を検討する。得られた税収は「空き家対策基金」とし、リフォーム助成などに活用するモデルを提案されていました。

市の答弁は、現時点では導入せず、改正空き家特措法による「住宅用地特例の除外※」(事実上の増税)を活用し、所有者に処分を促す方針を優先するとの回答です。
※住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が3分の1または6分の1に軽減されています。空き家だったらこの特例を外すぞ!という意味です。

課税対象の定義や調査・徴収コストの課題(京都市の事例など)から慎重な姿勢をとっています。
また、これまでの市の空き家対策(リンク)で、現時点で最新となる令和5年の住宅・土地統計調査では、2018年から2023年にかけて、市内の空き家数は8,600から8,550戸に、空き家率は12.1%から11.8%にそれぞれ減少しています。空き家の活用やマッチングに係る支援等をさらに推進することで、空き家の発生抑制や解消に努めていくとの答弁でした。
■ 外資が放置している大規模廃墟
登記情報によれば、当該物件はスポーツセンターとして平成3年に新築された6階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造で、延べ床面積は合計で9,610㎡、ほぼ1万㎡に及ぶ巨大な構造物です。

所有者は、シンガポールのRaffles Place(ラッフルズ・プレイス)に所在地を置く、COUGAR PACIFIC PTE. LTD.(クーガー・パシフィック)という海外法人です。
市や兵庫県などが繰り返し通知しているものの、所有者が固定資産税等の納税義務を長年果たしていません。つまり、現在の方法では実効性が乏しいということです。
もう標準的な行政手続きではどうにもならない。強制的に解体するにしても費用回収ができないということもあり、八方ふさがりで市単独では法的にも難しい面が多いなと思います。
市も現地に赴いたことはなく、岡田議員が一緒に行きましょうと提案していました。ただ、法的な後ろ盾もなく交渉に行くのは難しいため、尼崎市のような条例を設けるべきだと主張されていました。
■ 条例の策定と執行体制
空家に関する尼崎市の条例や執行体制を紹介し、緊急時に応急措置を講じられる「即時強制」の権限を持つ独立条例を提案されていました。
まずベースとなるのは、国の空家等対策の推進に関する特別措置法です。
空家法では、管理状態に応じて、次のような区分があります。
・管理不全空家等
・特定空家等
尼崎市の条例を深堀りしてみましょう。
令和7年9月より施行された「尼崎市空家空地等対策の推進に関する条例」は、以前の「尼崎市危険空家等対策に関する条例」を強化したものです。
この条例での適用範囲は、次のとおりで対象範囲を拡大しています。
・空家等:国の空家法の対象
・類似空家等:国法からこぼれる“準空き家”
・空地等:更地・空き地・管理不全の土地
尼崎市では、密集住宅地、いわゆる長屋の存在があり、一部が空き家状態の場合では、国の法律ではカバーしきれない状況にあるようです。関係者や自治会との連携により、対応できるようにしているとのことです。
措置を講じるにも、国の法律では空き家が主な対象となっていますが、その範囲を広げ、より早い段階から市が介入できるような条例にしており、従わない場合には、罰則規定も設けています。
【執行体制】
尼崎市のように、空き家担当が資産税情報を迅速に活用できる兼職体制を構築し、所有者特定を迅速化すべきと提言していました。
市の答弁は、条例を強化することで、所有者側に「行政が最終的に対応してくれる」という誤ったメッセージを与えかねないため、慎重に議論したいというものでした。個別の案件として、税務・法務部局と連携し、専門家の意見を聞きながら対応を検討。財産管理人選任の申立ても手法として検討するとのことでした。
空家対策は、住宅都市にとって喫緊の課題です。住宅用地特例の除外を行うにしても、独自税として空家税を課すにしても、結局は「空家である」と判断する調査・認定が必要になります。であれば、固定資産税の特例除外だけでなく、追加課税という形で空家税を検討する余地もあるんじゃないか、と思いました。
大型廃墟については問題意識はあったものの、調査するうちに海外法人が所有しており、市単独ではどうしようもないという情報から、問題意識から外れてしまっていました。これはまさに国政マターであり、国会議員も誕生した今、しっかり取り組むべき課題だと思いました。
岡田議員が取り上げてくれたおかげで、あらためて考えることができました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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