長田 たくや ブログ

【謎】 スプレー缶の穴開けルールはどこで生まれ、なぜ消えたのか

2026/6/9

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。
私が若かりし頃は、スプレー缶は「穴」を開けて廃棄というのが一般的でした。皆様はどうだったでしょうか。

薬局で働いていた頃にも、サリベートエアゾール(唾液スプレー)に穴を開けていた記憶があります。穴あけグッズが売られており、それでパシパシやっていましたね。

しかし、環境省から「穴開けをしない方が望ましい」と周知されるようになり、近年では穴を開けずに使い切って廃棄することが一般的になりました。しかし、この穴開けルールは、一体いつ始まり、なぜ消えたのでしょうか。


スプレー缶による火災
2011年の論文「自治体におけるエアゾール缶等による火災事故の現状分析」によると、毎年のようにごみ収集車で火災が発生していました。

直近5年間に、84.5%の自治体が火災事故が発生したと回答。
2009年には、64.1%の自治体で発生。

原因の1つに、スプレー缶の不燃ごみへの混入です。
論文では、実に18.9%の自治体で、「スプレー缶は不燃ごみ」という分別ルールだったのです。なお、中身が入っていれば回収しないというところが73.3%でした。

”中身を空にしなければ回収できない→穴を開けてもらおう”

このようにルール付けされたと考えられます。なぜならば、これは国が一律定めたルールではなかったからです。「缶に穴を開けてくれ」というのが自治体における市民ルールとして定着してしまったのです。

【穴あけPR指導】
実際に、約三分の二の自治体で「穴あけPR指導」を実施していたのです。
つまり多数派でした。


穴あけは続く…
スプレー缶への穴開けについて、少し歴史をたどっていきましょう。

1999年(平成11年)
この頃から市民がスプレー缶に穴を開ける際、漏れたガスなどで引火する事故が発生しており問題視されていました。
そこで1999年6月、東京都と東京消防庁が協議し、「缶に穴を開けない。使い切って、穴をあけずに廃棄する」と決めたのです。

しかし、全国的には、その考えが広がりませんでした

2009年(平成21年)
環境省は2009年より毎年のように「充填物の残ったエアゾール缶やカセットボンベに不適切な方法で穴を開けると火災が発生するおそれもあることから、これらを廃棄する際、穴開けをしない方向が望ましい」と周知してきたと言います。
参照:適正処理困難な廃棄物の処理体制の整備について 

そんなひとりごとを誰が聞くんや…ってぐらい広がりません。

2011年(平成24年)
前述した論文が発表されます。

2018年(平成30年)
この年、記憶に新しいと思います。いわゆる「アパマンショップ爆発事故」です。消臭スプレー100本以上の中身を室内で噴射し、滞留した可燃性ガスに引火したとされる事故です。それをきっかけに環境省は再度通達を出しています。
通知には、2016年時点で穴あけを不要としている市町村が27%と書かれていました。微塵も伝わっていません。
参照:廃エアゾール製品等の排出時の事故防止について(通知) 

2019年(令和元年)
廃エアゾール製品及びカセットボンベの収集・処分に関する 調査結果について」が発表されます。
そこで、穴あけ実施している市町村数が897…実に57.4%がいまだに継続していたのです。

2023年(令和5年)
2023年1月16日、東京都港区において、エアゾール製品の内容物が屋内で噴射され、これに引火したことが原因とみられる爆発火災事故が発生したことを受けて、再度「もう穴あけやめろって!」という通知を出しました。


なぜこうも変わらなかったのか
環境省の「助言」レベルであり、強制ではなかったことが要因の1つでしょう。

あとは前例主義の役所仕事が続いていたのだと思います。「穴を開けなければ回収しない!」というところもあったのではないでしょうか。それを今更変えるのは…そんな事情もあるやもしれませんね。

ただ、2026年4月でも「穴を開けよ」と指示している市がありました。
新潟県見附市です…(驚)。


ごみの廃棄方法は、自治体の権限が強く生きる部分でもあるなと感じました。
一方、住民にとっては「楽にしてくれ」というのが本音です。

つまり、ごみの廃棄施策は、住民の負担にならないようにシンプルにするのが一番です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な一日でありますように。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

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