長田 たくや ブログ

【くすり】 薬ができると病名が生まれる? 気管支拡張症とDPP-1阻害薬「ブレンソカチブ」

2026/1/15

兵庫県 川西市議会議員(薬剤師) #長田たくや です。

みなさん気管支拡張症ってご存知ですか?その病気に対する新しい治療薬が登場しそうです。

実はこの病気、アメリカでは1.4%もの人が持っていると推定されています。
そして今、新薬の登場でやたらと病名が表に出てくるようになりました。つまり…


気管支拡張症
感染や炎症を繰り返されることで、肺の気管支が変性してしまった病態で、長く続くというのが主な症状になります。

引用:メルクマニュアル

CT検査で確認することができるようですが、雑多な症状の1つとしてこれまであまり注目されてこなかったそうです。

2000年代に入り、高齢女性にて典型的な症例パターンが増加していました。気管支拡張症の推定有病率(10万人当たり)は、米国で1,392、英国で女性566.1、男性485.5となっていますが、日本はしっかり調べられていません。

2017年頃より欧州から疾病ガイドラインがつくられ、日本呼吸器学会でも「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019」にて項目として追加はされていましたが、注目されるまでは至っていませんでした。

■ これまでの治療
この病気自体は、国際的な疾病コードICD-10にも J47 に登録されているのですが…

これをレセプトにあげたところで、紐づけられる処方薬もありません。そのため、COPDや慢性気管支炎などで処理され、推奨治療であるマクロライド系抗菌薬の少量長期投与が選択されていました。私がよく見た症例では、慢性副鼻腔炎の方に使用されており、珍しくはない処方でした。

ただ、気管支拡張症とはつながらなかったかな…。たしかに、高齢者施設にて痰が切れないと訴える方は非常に多く、去痰薬でもあまり効果が出ないという症例を何度か見てきました。逆流性食道炎や、いわゆる猫背のような姿勢も関係しており、薬だけでスッキリというのは難しかったのですが、すでに気管支拡張症となっていたのかもしれません。マクロライドの処方提案もできたかもしれないですね…。

新薬の承認
2025年8月、アメリカにて気管支拡張症治療薬ブレンソカチブが承認されました。

DPP-1 という酵素を抑える薬で、「マクロライド系抗菌薬の少量長期投与」が症状の増悪を抑える治療だとすれば、こちらは病態の進行を遅らせる効果があるとされています。

引用:気管支拡張症の診断・病態と新たな治療戦略

【DPP-1について】
DPP-1(ジペプチジル・ペプチダーゼ)とは、物質を変化させる、いわゆる 酵素 の一種です。
アミノ酸が連なるペプチド構造を切る役割を持つ酵素で、骨髄で白血球(好中球)が成熟する過程で機能します。役割を簡単に言いますと、「白血球の武器を強くする」作用を持ちます。

白血球は、好中球セリンプロテアーゼNSPと呼ばれる成分を出します。これは「自分の細胞を壊してでも細菌などを殺そう!」という強力成分なため、諸刃の剣のような側面を持ちます。DPP-1はNSPを活性化させる役割を持ちます。これを抑えると、攻撃力がマイルドになった白血球が生まれるのです。

引用:Dipeptidyl peptidase 1 inhibitors for inflammatory respiratory diseases

①好中球エラスターゼ、②プロテアーゼ3、③カテプシンGの3つがDPP-1に処理されることで、攻撃的なNSPとなるのです。
それを抑えようというのが今回の薬ですね。

白血球の機能がすべて失われるわけではないため、体は決してノーガード状態にはならないことが動物実験から確認されました。

準備万端やな
気管支拡張症を調べている時に、気管支拡張症Naviというとても気合の入ったWebサイトを見つけました。

どこの会社が作っているのかなぁと思ったら、Insmed という製薬会社です。
はい、この会社がDPP-1阻害薬ブレンソカチブを開発したのです。

このように病気をしっかり認知させていき、すぐに使ってもらおうと言う啓発と言う名のマーケティングから始まります。決して悪いとは言いませんが、米国基準(1.4%)を日本に当てはめると、約170万人の患者規模となります。そりゃあ、気合も入りますわな。

日本での臨床試験は、グローバル試験に参画しているため、アメリカで先んじて承認されたわけですから、おそらく近日中に日本も続いて承認されると思われます。これから気管支拡張症の名前がどんどん表に出てくることでしょう。

こんな感じでね。

引用:Yahoo news
引用:東京新聞

この薬を、副鼻腔炎などにも適応拡大しようとしているようです。呼吸器領域で幅広く使われる薬となるかもしれませんが、まったくの新薬ですから、おそらく、高い薬になるでしょうね。1錠500~1500円くらい?(テキトーな予想)


このように、「新しい薬ができる ➡ その病気を宣伝する」という手法は、過活動膀胱 でも同じような感じでした。先に薬ができたことで、啓発やら周知やらの一貫でこれまで表に出なかった病名などが一般化されていくのです。

医療用医薬品を宣伝することは、薬事法上で禁止されていますから、製薬会社はやたらと 病気の宣伝 をたくさんしていますね。そんなにおいを感じたら案の定でした^^;

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
素敵な1日でありますように。
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著者

長田 たくや

長田 たくや

選挙 川西市議会議員選挙 (2022/10/16) [当選] 1,680 票
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肩書 参政党の市議会議員で薬剤師でもあります
党派・会派 参政党

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