2023/2/24
防衛省のホームページによると令和5年2月10日「防衛省設置法の一部を改正する法律」が国会に提出されました。
第6条「自衛官の定数の変更」、第31条第2項第1号「地方防衛局の所掌の追加」が変更内容です。
概要には以下のように示されています。
変更理由は、「自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更を行うとともに、地方防衛局の所掌事務に国際協力に関する事務を追加する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」とあります。
自衛隊の任務の円滑な遂行を図るために必要であるのであれば、反対する理由がありません。日本の安全保障環境は厳しさを増しており防衛力増強には是非力を入れて欲しいと考えています。
しかし、もし私が国会議員だったとしたら以下の点について政府に質問をしたいと思います。
上に掲載した法律案の概要によると陸上自衛隊の定数を現行 150,500人から150,245人に255人減少させるとあります。これは、自衛隊サイバー防衛隊の許可のための配置転換だと言うことは理解できます。しかし、陸上兵力を減少させて国防上問題ないのでしょうか。
令和4年版防衛白書 13ページ、主要国・地域の兵力一覧(概数)によるとそれぞれの陸上兵力は、北朝鮮110万人、中国97万人、韓国42万人、ロシア33万人に対して日本は14万人です。周辺国と比較して兵力が少ないところ、更に減少させて大丈夫なのでしょうか。
同じく概要によると、共同の部隊を現行の1,588人から1,732人へ144人増員するとあります。これは自衛隊サイバー防衛隊の体制強化のためと理解しました。ロシアによるウクライナ侵略によって、武力侵攻前のサイバー攻撃のような従来にはなかった新しい戦闘の様相が明らかになったことから、自衛隊のサイバー防衛隊を強化することは大歓迎です。
しかし、144人の増員で十分なのでしょうか。2022年3月17日読売新聞の記事によると各国のサイバー部隊の規模は、米国6,200人、中国約3万人、北朝鮮約6800人、ロシア約1,000人となっております。他国と比較して日本のサイバー防衛隊の人数は圧倒的に不足しているように思いますが、この規模で十分だと考えているのでしょうか。
今回の法改正で自衛隊全体の隊員数に変更はありません。しかし、上述のように周辺諸国と比べて日本の自衛隊員数が不足していることは明らかです。なぜ不足しているのか。入隊する人が少ないことが報じられています。自衛隊員の給料が安いことや待遇の悪さをジャーナリストの小笠原理恵氏が指摘しいます。それが採用難の原因ではないでしょうか。自衛隊の人材確保へ有識者会議 22日に初会合と2023年2月21日に産経新聞が報じています。どのような対策を予定しているのか、聞いてみたいです。
そもそも、サイバーとは何か、ですが、パソコンに繋がったインターネット網と理解しています。
どこの国がサイバー攻撃をするのかを自民党の有村治子君議員が国会で質問しています。
○有村治子君 サイバー攻撃の実態についてお伺いしたいと思います。
人々の資産や財産、信用、社会秩序など、価値あるものを奪うサイバー攻撃に国家として自ら手を染めている国を挙げてください。また、その目的を明らかにしてください。
○政府参考人(森元良幸君) お答えいたします。
サイバー攻撃でありますが、様々な目的のために行われているものと認識をしております。特に国家の関与が疑われますサイバー活動として、中国は軍事関連企業、先端技術保有企業等からの情報窃取のため、またロシアは軍事的及び政治的目的の達成に向けて影響力を行使するため、サイバー攻撃等を行っているものと見られます。また、北朝鮮におきましても、政治目的、政治目標の達成や外貨獲得のため、サイバー攻撃等を行っていると見られます。
警察といたしましては、引き続きサイバー攻撃の厳正な取締りを推進いたしますとともに、その実態解明を推し進め、被害の未然防止と拡大防止を図ってまいる所存でございます。
○有村治子君 ありがとうございます。
ロシア、北朝鮮、中国のサイバー攻撃という具体的な国名が出てきたわけです。いつもは慎重な言い回しに徹しておられる日本政府、中でも慎重な警察が、サイバー攻撃を仕掛ける国の可能性が高いとして具体的な国名を列挙されました。事実でなければ名誉毀損にもなりかねない答弁でございますが、論拠を、詳細は明らかにされないまでも、論拠が明確にあるという、そういう御答弁と理解してよろしいのでしょうか。
ロシア、中国、北朝鮮というのは日本を取り巻く近隣国でございます。強権的な統治、独裁国家であるという指摘もなされます。核、ミサイルを保持する国々でもあります。
中国、ロシア、北朝鮮がサイバー攻撃をしていると国会で明言されています。
では、具体的にどのような事例があったのでしょうか。次の動画で紹介されています。
中曽根元総理の知り合いA氏から「あけましておめでとう。今年の年賀状は頑張ってエクセルで作ってみました。添付ファイルを見てください」とメールが届いたが、調べたら、A氏からのメールではなく、中国からのメールだった。
2015年、年金機構へのサイバー攻撃により125万件の個人情報が流出。
2015年、米国連邦人事管理局のシステムへの不正侵入によって約400万人の職員・元職員の個人情報が流出。
2015年、2016年ウクライナ電力網へのサイバー攻撃により停電が発生。
2017年、英国のNHS(国民保健サービス)のITシステムが停止したなど欧州の医療機関がサイバー攻撃を受け、手術が出来ないなどの被害。
2016年、米国大統領選挙に秘密の暴露、偽情報の流布などで工作。
2022年9月6日、日本政府のポータルサイトに対してサイバー攻撃が行われ、アクセス障害が発生。
自民党チャンネル「日本を脅かすサイバー攻撃の脅威~私たちが守るべきこと~」有村治子 自民党中央政治大学院学院長、大澤淳 中曽根康弘世界平和研究所主任研究員(2023.1.31)より抜粋
今は何でもコンピュータで動いていて、それがネットで繋がっているから、そこに入り込んで攻撃されたら、停電が起きたり、銀行のATMが動かなくなったり、病院で治療が行えなくなったり、政府の機能が止まったりと、色々大変なことが起こるようです。大変なことです。
こういう攻撃に対する防護力を高めましょう、というのが今回の法案の目的なのですから、反対ではありません。でも、十分かと言えば、全然、不十分なのだろう、と思います。以下の動画では問題点が指摘されています。
以下は、私がこの動画を見ながら取ったメモです。
以下の動画でも問題点が指摘されていました。
この動画を見て取ったメモは以下です。
以上、2つの動画のメモを元に浮かんが疑問は以下のようになります。
需要の高いサイバー人材を確保するため給料などの処遇面に配慮する予定はあるか
自衛官になるのは躊躇するがサイバー自衛官にならなりたいという人材はいる可能性がある。サイバー自衛官として直接採用する制度はあるのか。ないのであれば今後、作る予定はあるか。
サイバー防衛する上で必要な機材の購入や維持費に掛ける予算は、中国、ロシアと比較してどの程度か。現状の予算で十分か。
「陸自高等工科学校、サイバー専修コースを新設へ」と2020年2月19日、航空新聞社が報じているが、さらにサイバー人材の育成環境を発展、拡大させる予定はあるか。
サイバー攻撃は国際法上、違法な行為に該当するか。
(質問8が該当しない場合)日本が他国にサイバー攻撃をすることは憲法9条で禁止されているか。
先制攻撃は可能か。攻撃を受けた場合、即座の反撃は可能か。防衛出動が出るまでは反撃は出来ないのか。専守防衛で反撃は不可能か。反撃が可能な場合、他国のサーバーに侵入しての反撃は可能か。
岸田総理は危機管理上は「集中よりも分散」を提唱しているが、自衛隊の全システムは中央一元管理されていると聞く。それは本当か。サイバー攻撃を受けた場合、ハイリスクではないのか。
自衛隊のサイバー部隊は、自衛隊内部に対するサイバー攻撃のみを防御するのか。それとも、官公立の施設まで防御するのか。発電所や鉄道など民間の重要インフラも防御するのか。
他国からのサイバー攻撃を特定した場合、資産凍結などの対抗手段を講じることは可能か。
他国からのサイバー攻撃の動きを察知した場合、相手の攻撃を封じるため先に攻撃することは可能か。
サイバー攻撃に対する防御は、防衛省・自衛隊のみの管轄ではないと考える。他省庁との連携はどうなっているのか。最終的にどこが責任をもって対応するのか。
最近になってやっと国防力を高めようという動きが活発になってきたところですので、他国と比較して不十分な所はあると思いますが、問題点、疑問点を指摘することによって防衛力増強の力になれれば、と考えます。
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予算案から上記の問題についても触れています。
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モリヤマ ヒデキ/歳/男
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