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【博士(法学)の取得体験記】1契機2018年頃、北海道では、アイヌ問題に対する様々な議論がなさ...

2026/2/13

【博士(法学)の取得体験記】

1 契機

2018年頃、北海道では、アイヌ問題に対する様々な議論がなされていました。その中で、私が感じたのは、言論空間において、アイヌ擁護とは反対の立場からの意見、主張がすべてヘイトスピーチ認定されていたことへの疑問でした。

差別的表現を肯定するものではありません。しかしながら、果たして少数意見たる言論をすべて封殺する社会って正しいんだろうか。この疑問を、各々の主義主張から離れた立場で、中立公正な学問的見地、憲法学的視点から検証し私なりの解決策を提示してみたいと思い立ちました。

その気持ちを法科大学院でお世話になった先生に相談したところ、博士課程に受け入れて下さることになり、弁護士業務と研究の二足の草鞋が始まりました。

2 研究生活前半

試験に合格し、2020年4月、中央大学大学院法学研究科の学生となりました。先生との事前の打ち合わせでは、月一回は上京し直接指導を受ける予定でした。

ところが、突如、まさかの社会を揺るがすコロナ禍の大流行で上京は不可能となり、自宅での研究活動を強いられることになってしまいました。

幸い、中央大学は、かなり早い段階でweb講義環境を整えていきました。これにより、外出不可の状況でも、問題なく継続的に旭川の自宅で指導を受けることができました。

また、週一コマの大学院情報法講義もwebで受講でき、そこで学んだ最先端の知識、内容が、自身の研究のみならず、後述するように議員活動にも様々大変役立ちました。

3 研究生活中盤

当初の予定では、3年間で論文を仕上げるつもりでした。ところが、2021年9月、急遽、旭川市議会議員となり、議員活動と弁護士業務でてんやわんやになって研究どころではなくなってしまいました。

特に、当時、議員活動で重大な行政課題への早急な対処が求められていたことから、毎日、夜を徹して各種文献、資料を徹底的に読み込んで解決策に向けた調査をしていたため、そちらに没頭せざるを得ず、研究から遠ざかる日々が続きました。

このため、研究を断念し大学院を辞めることを真剣に考えました。しかし、web講義が大変興味深くインターネットを含む様々な誹謗中傷対策の最先端の知識を学んで議員活動にも参考になっていたことと、ここで断念したら一生後悔するとの想いから、指導教授のあたたかいご指導のもとで何とか踏ん張ることができました。

4 研究生活後半

意を決した2023年、研究を再開し、論文作成に向けて諸文献や資料の収集、調査を行いました。道内の様々な地域に赴いて現地調査も行なうという徹底したフィールドワークも実践しました。

それでも2023年度中の論文完成には至らず、翌年度に持ち越す結果となってしまいました。

2024年度に入り、これまでの調査結果をもとにいよいよ論文の構成の検討に入りました。毎月の上京とそこで受けた先生からの厳しい指摘を踏まえ、論理性、文言の正確性、裏付け資料の確実性などの緻密な再精査と修正の日々が続きました。

2024年12月、ようやく先生からOKをいただき、製本作業(札幌のキンコーズには大変お世話になりました)も完了して、論文審査のため郵送しました。札幌の郵便局でのその瞬間の安堵感は今でも忘れません。

2025年2月、最終口頭試問審査のため上京し、3名の審査教授との質疑応答が約1時間あって、同3月、はれて博士(法学)の授与式に至りました。

学位取得後「論文で現実の行政課題への解決策を提示する」との実務研究者としての当初の目的に従い、論文を北海道庁及び旭川市の各担当部局に提出して、私のチャレンジは終了しました。

5 終わりに

以上のとおり、三年計画でしたが、結局、五年かかりました。

研究、議員、弁護士の三足の草鞋を実践したのは、歴史上私だけと自負しています笑。ただ、その両立は非常に大変で、一分一秒も無駄にせず、ダラダラと無駄な時間を使わない習慣が身につきました。

また、最後の追い込みの2024年は、研究が理由で他業務が疎かになることは絶対にしたくなかったので、ほとんど寝ていなかったような思い出があります。すべてにベストを尽くし絶対に言い訳をしないことを信念として強く抱いていました。

私の場合、偶然、コロナ禍流行による大学のweb対応が進み、幸か不幸か北海道に居ながらにして東京の大学院の最先端の指導を受けることができる環境下での学位取得が実現しました(もちろんコロナ明けの最後の一年半は毎月上京し直接指導を受けていました)。

現在、わが国のみならず外国の大学院でもweb中心の指導に基づく学位授与カリキュラムが準備されるようになっています。日本の地方に居ながら世界中の高等研究機関に所属して高度かつ専門的な学問研究に取り組み、学位を取得することが可能な時代となりました。

本投稿は、そのような志を有する方の一助となればと思い作成しました。

いま、すべての方々に門戸は開かれています。

「憧れを知る者のみ我が悩みを知らめ」

この経験記が一人でも夢と志ある方の役に立つことがあるならばこれ以上の幸いはありません。

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著者

高橋 ひでとし

高橋 ひでとし

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肩書 弁護士、温泉ソムリエ、博士(法学) LL.D.
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