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郷原 信郎 ブログ

音声公開への「反論書」で一層明白になった、横浜市長選山中竹春候補の「パワハラ体質」

2021/8/19

8月22日に投開票が行われる横浜市長選挙の立憲民主党推薦で立候補している山中竹春氏(元横浜市立大学学長補佐・大学院研究科長)のパワハラ疑惑を指摘した週刊誌フラッシュの記事について、同党神奈川県連や同党所属の国会議員などが「フェイク」だと喧伝するのに使っていたのが「しらべえ」というネットサイトの記事【菅首相が負けられないため加熱する横浜市長選 山中竹春元教授がフェイクニュース被害】だった。

その「しらべえ」に、前のブログ記事【立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」】で公開した山中氏の「パワハラ音声」に対する山中陣営の反論書が掲載されている。(【過熱する横浜市長選で山中竹春元教授の音声データが公開 陣営に直撃した】

これは、山中陣営で山中氏から聞き取った内容をまとめたものとのことである。

《「しらべえ」に掲載された「山中氏の反論」》

今般、インターネットの動画投稿サイトにおいて、『山中竹春パワハラ音声』といった音声録音が字幕入りで流されていた。これは、約 2年前の会話が無断で録音されたものであり、この時期にインターネット上で流布されていることについて、大きな問題を感じる。

この会話は、切り取って掲載した人物の意図と全く違う状況でかわされたものである。2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究を横浜市立大学で行なっており、内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクトだった。

この音声は、当該研究の担当者が期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わなかったことが明らかになり、また、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示したことから、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下で当該人物と山中竹春とで行なった会話の一部である。

この人物による職務不履行はこれまでにもあり、納期のある研究等において支障をきたす状況が続いていた。

動画では、『ほんと、潰れるよ』と発言したことがクローズアップされているが、これは『このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる』という趣旨で発言をされたものである。

また、音声の最後において、『終わりだ』と繰り返し述べているのは、非常に重要なプロジェクトが頓挫し、違約金まで発生してしまうことへの焦燥感から出た発言である。

この前提で、音声データを聞いて頂ければ、相手に対してではなく、研究が潰れる、研究が終わりになるという趣旨で発言していることがわかっていただけると思う。

その後、関係各位のご尽力により、このプロジェクトは契約不履行とはならず、違約金の支払いが発生することなく完了することができた。

公開されている動画は、恣意的に編集がなされているほか、音声がないまま山中竹春の言動として文書で記載されている内容は、全くの事実無根であり、投稿者に強く抗議する。

 上記の反論の中には、「2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究」、「内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究」など、山中陣営では山中氏本人しか知り得ない話が多数含まれており、山中氏の現時点での供述と考えられる。

 山中氏は、公開された音声が自分の声だと認めた上で、公開された音声は、2019年頃、外部団体から多額の研究費の拠出も受けた研究で、担当者が、期日までに海外の研究機関等に必要な連絡や書面作成を行わず、突如としてプロジェクトから離脱する意思を示した、というような「職務不履行」があったために、プロジェクトの継続が危ぶまれることとなった状況下での、山中氏と担当者との会話だというのである。

 そして、『ほんと、潰れるよ』と発言したのは、「このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる」という趣旨の発言であり、音声の最後で、『終わりだ』と繰り返し述べているのは、「非常に重要なプロジェクトが頓挫し、違約金まで発生してしまう」という趣旨だそうだ。

山中氏の反論に出てくる「担当者」はフラッシュ記事の「Cさん」

 大学関係者によれば、この山中氏の反論で出てくる「内外の研究機関10箇所程度と共同して行う医学研究の非常に重要なプロジェクト」というのは、「SUNRISE-DI試験」というプロジェクトである。

上記の反論書で出てくる同プロジェクトの「担当者」というのは、上記フラッシュ記事で、山中氏のパワハラ被害者として出てくる「Cさん」に間違いない。

 被害者のCさんは、山中氏のパワハラによって、精神的に追い詰められ、「適応障害」を発症したもので、横浜市大での山中氏のパワハラの中でも特に悪質なものと認識されていた。

私の手元には複数の大学関係者から聞いた話をまとめたメモがあり、そのメモによれば、経過は以下のようなものだった。

 

2018年、山中氏は、ある臨床研究の統計解析責任者としてCさんを指名していたが、2019年1月頃に、Cさんは山中氏から

「この件は私が引き取るのでCさんはやらなくてよい」

「君はもういい」

と言われ、Cさんは、同研究の統計解析の仕事から外れたと認識していた。

ところが、当該臨床研究の共同研究者が海外から2019年3月初旬に来日することとなり、2月下旬に、山中氏はC氏に、

「やはり私は多忙でできないので解析を行うように」

と指示した。

統計解析は、通常、臨床データが固定されてから1か月程度かかることが多く、急ぎの案件でも2週間程度は必要となる。それを、およそ1週間で急遽まとめてほしいということだった。

しかし、作業の進め方に関する具体的な指示はなく、山中氏に確認してから中間結果を報告する日までは、3日間しかなかった。

その中間結果報告では、図表などは後で作成することを前提に、結果の数字をまとめて報告したが、山中氏は、

「これでは全然ダメ」

と一蹴した。

その後、山中氏からほぼ毎日、電話などでの進捗確認があり、頻繁に叱責を受けるようになった。

この頃から山中氏は、感情を荒だてることも多くなり、Cさんに、電話で

「いい加減にしろ」

「さぼるな」

などと怒号したり、

「君のためにプロジェクトが潰れる」

「君がそんなようなら私にも考えがある」

などと叱責したりされたことなどから、Cさんは精神的に追い詰められ、2019年3月、心療内科で適応障害の診断を受けた。

 適応障害の診断を受け、2週間程度休暇をとった後も、Cさんは統計解析を続け、論文投稿まで、統計解析責任者として関わっていた。

ところが、連日必死に解析をおこなったCさんは、論文の共著者から外されてしまった。しかも、論文投稿前に解析に加わった者も、同時に共著者から外されていた。フラッシュ記事で問題とされたのは、この点だった。

しかし、学内関係者の間では、Cさんが適応障害になった直接の原因は、中間報告後の電話などでの頻回の進捗確認やその際の叱責・怒号であり、そのような山中氏の言動が、重大なパワハラ問題として認識されていた。

 フラッシュ記事でその点が取り上げられていないのは、Cさん自身がフラッシュの取材に協力していなかったことと、録音等の直接の証拠がなかったことが理由だったのであろう。

山中「反論書」によって明らかになった事実

 今回、パワハラ音声の公開に対する「反論」として、山中氏は、音声が、自分自身のCさんに対する発言であることを認め、「このままでは非常に重要なプロジェクトが潰れる」という趣旨で「潰れるよ」と言ったと説明している。

実際の音声データの中では、

「僕は最後の行動に出るからね。君が、君がわからない知らないような。ほんとにそれでもいいんだったらー、ほんと潰れるよ」

というような恫喝的発言をしているが、そのような発言をした相手がCさんだったと認めているのである。

 上記のとおり、Cさんが、2019年3月頃、山中氏から電話で叱責された際に言われたという

「君のためにプロジェクトが潰れる」

「君がそんなようなら私にも考えがある」

などの発言をしたことを認めたものと言える。

 この点について、Cさんに話を聞こうとも考えたが、Cさんは、今回のフラッシュの記事が出たことで、報復を恐れ、山中氏の件には関わらないようにしているとのことであった。(フラッシュ記事でも「私はもう大学を離れていますし、この件には関わりたくありません」と述べている。)

 しかし、今回、山中氏が、Cさんに対して、上記のような発言をしたことを認めているのであるから、今後、山中氏からのパワハラ被害について、横浜市や市大で調査が行われる可能性があり、その場合は、調査に応じる意向を示しているとのことだ(大学関係者の話による)。

公開したパワハラ発言の相手は、「Cさん」ではない

 以上のとおり、パワハラ音声の公開によって、山中氏は、Cさんに対するパワハラ的発言を行ったことを自ら認めたのであるが、ここで、重要なことを明らかにしておかなければならない。

それは、公開したパワハラ音声を提供したA氏は、上記のCさんではなく、全然別の立場の人だということだ。

 音声の公開の時点では、情報源が特定されないよう、事案の内容は抽象化し、A氏の声などは音声データから削除した。しかし、公開された発言だけでも、上記のような露骨な脅しをかけた相手が誰であるかは覚えているはずなので、山中氏にはA氏が誰であるかはわかることも覚悟していた。

しかし、山中氏は、音声を聞き、A氏ではなく、発言の相手がCさんであるとした上、山中氏の発言は、Cさんの側の「職務不履行」が原因だったとして、パワハラ的発言を正当化しようとしている。「職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、他者に対して、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与える」というパワハラ体質を象徴するものと言える。

音声で公表したようなA氏に対して行った発言は、実は、A氏だけでなく、他の人にも、日常的に行っていたことになる。

A氏は、公開された音声について、山中氏がCさんが発言の相手方であったかのように反論していることを知り、それを否定するのに必要な情報の最低限の情報開示に同意してくれた。

A氏が山中氏から受けた「不当要求」、パワハラ発言

前のブログ【立憲民主党は、「パワハラ音声」を聞いても、山中氏推薦を維持するのか ~問われる候補者「品質保証責任」】で指摘したように、山中氏については、「外形的なパワハラ」の一つとして、「大学関係者がいる前で、教室の出入り業者や製薬企業の営業を大声で怒鳴り叱責する。」という行為があった。

音声データの提供者であるA氏は、横浜市立大学と契約を締結しようとしていた比較的小規模の企業の役員であった。学長補佐・大学院研究科長として、横浜市立大学の契約締結に大きな影響力を有していた山中氏は、同企業は同大学との契約を失うと会社が存続できないとの認識の下に、優越的地位に基づいて、「会社の役員を変更しろ」という不当な要求をしていたのである。

取引先の役員構成に口出しをするなどということは、民間企業同士の取引でも、認められるものではない。公立大学の学長補佐が、契約を締結しようとしている企業の役員選任に介入するなどということはなどということは絶対にあり得ないことである。

山中氏に対して、「そのような要求には応じられない」と拒絶し続けていたA氏は、公開した音声データに出てくる露骨な恫喝を受けることとなった。

先般、A氏から提供を受けた山中氏の音声データを一部YouTubeで公開したが、その前の部分で、以下のとおり、取引先業者であるA氏に対する露骨な「脅し」の発言をしている。

山中:だけどね僕らーと、僕とねー、こんなことになったらー、君、大学の日本の大学病院に多く入れられなくなるよ、色んな病院に。

(A:はい。)

山中:マジで商売できなくなるからね。

(A:はい。)

山中:本気だよ、俺。こんだけ俺に、ここまで恥かかせてといてー、俺もうこれで県庁のコネとかー、大学での信用とかパアだから。…

上記部分を含む音声を【山中竹春氏パワハラ発言 音声&起こし(第2弾)】と題して、YouTubeで公開する。

「ほんと潰れるよ」という言葉は、山中氏が反論書で言っているような「プロジェクトが潰れる」という意味ではなく、「会社が潰れる」という意味である。

それは、「言うことを聞かなければ、最後の行動に出て、会社を潰してやる」という脅しなのである。

大学の取引先の企業の経営者を「会社を潰す」と言って脅迫し、不当な要求をしているのであり、刑法上「強要未遂」(刑法223条3項)に該当する犯罪である。

優越的地位に基づくパワハラ言動の構図の共通性

山中氏のパワハラは、横浜市大内部でも多数の被害者を生じている。しかし、彼らは、学長補佐・研究科長として学内で絶大な権力を持っていた山中氏のパワハラを告発することなどできなかったし、市長選挙で当選し、横浜市長に就任する可能性が高まっている山中氏に対して、名前を明らかにしてパワハラ被害を公にすることなどできない。

そのような学内のパワハラと形式は異なるが、実質的には同じ構図の事象が、A氏に対する不当要求と、それに際して発せられた山中氏の恫喝的発言なのである。

そして、山中氏は、その音声を聞いて、学内者である「Cさん」に対する発言だと思ったのである。それは、山中氏のパワハラ言動が、教職員・学生等の学内者に対しても、契約関係にある学外の業者に対しても、同じように行われていたということと、それらは優越的地位に基づく恫喝的言動・強要という点で全く同じ構図であることを、端的に示している。

 

山中氏のパワハラの事実は、今回の「反論書」からも一層明白となった。

このようなパワハラ体質そのものの人物が横浜市長の強大な権限を握った時、どのようなことが起きるのか、想像に難くない。

8月22日の横浜市長選挙では、山中氏の優勢が伝えられているが、仮に、当選したとしても、新市長に就任する前に、「パワハラ問題」、「横浜市大学内文書発出強要問題」、「NIHリサーチフェロー経歴詐称問題」など、様々な問題がマスコミ報道で噴出し、市議会での追及の対象となることは避けられない。

「市長候補」の品質保証責任を厳しく問われることになる立憲民主党にとって、衆院選に向けての最大のリスクになりかねない。

 

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著者

郷原 信郎

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肩書 弁護士 元検事
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