2021/1/25
先日、「北九州市の令和元年度の財政状況」が発表されました。
そこで、「ん?実質収支は53連続の黒字」と大きく表示されていることに違和感を覚えました。ということで、「実際どうなの~北九州市の財政状況」について記事を作ってみましたので、ご覧ください。
――歳入と歳出の割合
まずは、市政だよりに掲載された「北九州市の財政状況」はこちら↓
(北九州市HPより引用)
「歳出(出ていくお金)と歳入(入ってくるお金)を比べると歳入が多いので黒字」となっていますが、歳入のうち、628億円は、市債という市の新たな借金です。実は北九州市の借金(市債)の残額は、臨時財政対策債を加えると1挑1,512億円もあります。これは、過去からの借金ですが、私たちが未来に渡って払っていくもの。実際に令和元年度の決算でも返済額が支出の一部として「義務的経費」に含まれています。
次に、令和2年度予算の歳入と歳出の内訳をみてみましょう!「何にお金を使っているのか」各分野で支出額が確認できます。 歳出で多いのは、保健福祉費1,618億円、公債費など諸支出金767億円、教育費708億円、子ども家庭費707億円、産業経済費547億円となっています。
(北九州市 市税のしおりより引用)
実は各分野のソフト事業にも費用はかかりますが、一番大きく負担する費用は施設の維持費です。北九州市では、五市対等合併の経緯等から、様々な種類の公共施設が、旧市あるいは区ごとに配置されています。その結果、市民一人当たりの施設保有量が政令市で最も多くなっているのが現状です。(なんと政令市平均の1.5倍!)
北九州市の公共施設をこのまま保有し続けると…今後40年間に維持管理するには1兆2040億円(年間301億円)必要との試算から、市では、投資的経費を毎年650億円程度と見積もっています。
この施設維持費の負担を改善するために、役目を終えた不要な施設は、廃止・売却することで、投資的経費を抑制し、できる限り建築事業費と市の借金(市債)を増やさないようにする。これを「公共施設マネジメント」といい、市が密かに進めています。これが進むと「体育館の利用料が高くなった!」「近くの図書館がなくなって、利用するのに遠くなった」と市民生活の実感として影響を感じるものです。だからこそ、市民負担を強いる計画を進めるのであれば「53年連続黒字」という安心させる表現は避けるべき、と私は考えています。
次に、市民一人あたりでみる市債残高はこちら。
(川崎市HPより引用)
政令市比較だと市債残高は北九州市がトップ。「黒字」という表現と矛盾?を感じます。
――市税収入と支出の比較
次に、借金(市債)ではなく、市の経営状況として分かりやすい収入(市税収入)と支出(歳出)を政令市比較で見てみましょう!
収入は19万円弱と最下位ではなくとも下位でありながら、支出は一人あたり58万円で最高額となっていることが分かります。ちなみに、福岡市は歳出額も大きいですが、収入額としては約22万円と大きく、川崎市に続いて2位となっています。
(福岡市HPより引用)
――これからどうなる?マイナス経営をカバーするには?
「マイナス経営を黒字」にするために「貯金(財政調整用基金)」が充てられています。
福岡市の令和元年度の決算資料によると、市の貯金(財政調整用基金)の残高は、441億円で前年度比37億円増でした。一方、北九州市の残高は、259億円で前年度比20億円減です。右肩上がりの福岡市と右肩下がりの北九州市の差は、年々拡大中・・・
――問題の先送りを知ってほしい
以上から伝わったと思いますが、マイナス経営を改善しないままでは「市債による問題の先送り」と「いずれ貯金(基金)が枯渇する」ということです。
確かに、行政視点では「黒字収支」という表現かもしれませんが、公共施設マネジメントなどの市民へのマイナス負担に理解が必要な中で、「黒字」という安心材料ばかり全面に出しては財政危機の共感は得られません。
もちろん、市民サービスに直結する公共施設の行財政改革だけでなく、行政・議会ともに「経営危機」の意識から、議員報酬を含め見直しが必要だと考えています。
「未来の子どもたちのために、財政危機からの脱出」を市民みんなで考えなければ、「子ども達がマイナス負担を背負わないために北九州市からの脱出」となる連鎖は止まりません。
だから、この機会に知ってもらいたい!と思い、財政状況についてまとめてみました。
一般家庭の感覚。経営の感覚。から見ると、とても分かりづらい世界ですが、皆さんが知ることで、明るい未来へ一歩を進むと思っています。
今回のように「北九州市のピンチ!」を感じながら可能性も一緒に考えてほしいと思って記事を作っていきますので、これからもよろしくお願いします♪
※「市債」「国債」については「増やすことで経済が活性化する、いくらあっても問題ない」という考え方もありますので、あくまでも「井上じゅんこの私見」としてご覧ください。
【2020.11.21】
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イノウエ ジュンコ/35歳/女
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