2024/12/25
12月議会の一般質問は、「男女共同参画社会の実現に向けた取組について」でした。
大垣市の男女共同参画推進室は、本庁舎ではなく、文化センターにあります。これだけ見ると、真剣に取り組もうとしているとは思えないのは私だけでしょうか。
大垣市では、2000年に「男女共同参画プラン」を策定し、2003年には「大垣市男女共同参画推進条例」を制定、2005年3月に岐阜県内初となる「男女共同参画都市宣言」を行い、2017年10月に「大垣市男女共同参画センター」をオープンさせ、男女共同参画社会実現に向けた取組をいち早く行っています。とはいえ、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みの解消、多様な分野における女性の活躍推進や男性の家事・育児への参画促進、ドメスティック・バイオレンス(DV)の防止など課題は多く残されています。
1979年、国連で生まれた女性差別撤廃条約(セダウ:Convention on the Elimination of all Forms of Discrimination against Women)は、あらゆる分野で女性が性に基づく差別を受けない権利と平等の権利を保障しています。条約が目指すのは「男らしさ」「女らしさ」の呪縛から解放されて、誰もが性別にとらわれず自分らしく生きることです。法律や規則のなかの差別はもちろん、社会慣習・慣行の中の性差別をなくすことも求めています。
1985年、日本はこの条約を批准し、それから40年あまりの歳月が経った今年、世界経済フォーラムからの最新の「男女格差」、ジェンダーギャップランキング2024が発表されました。日本は、146か国中118位で、G7では相変わらずのダントツ最下位、アジアでも中国・韓国よりも下位という結果です。女性の管理職や国会議員の比率が順位の低さに影響しているようです。ちなみに、1位はアイスランド、2位はフィンランド、3位はノルウエーなど北欧諸国が占めています。これを発表しているのが経済のシンクタンクであることがポイントで、男女格差が経済に大きく影響すると言わざるを得ません。
また、厚生労働省が2023年の都道府県別の男女賃金格差を初めて指数化し公表した結果、男性の賃金(100)に対し女性の水準は7~8割にとどまり、岐阜県においては、全国で7番目に格差が大きく、指数73.6という結果でした。ちなみに最も格差が大きいのが栃木県(71.0)、小さいのは高知県(80.4)です。岐阜県の女性就業率は比較的高いものの管理職割合が低く、愛知県についで下から2番目、正規雇用割合も同じく、最下位に近いようです。管理職割合の低さや正規雇用割合の低さなどが男女賃金格差の要因となっているようです。この格差こそ、男女共同参画社会が実現できていないことを表す指標であると考えます。
一方、岐阜県内の企業に勤めたり、大学に通ったりする女性を対象にしたアンケートで、「岐阜に住みたくない」とする回答が10~20代で42%だったという記事が9月の中日新聞と岐阜新聞に掲載されました。大学教授や自治体職員らでつくる「県人口問題研究会」が若年女性の県外転出に歯止めがかからない現状を受け、県内の企業や大学に通勤・通学する女性を対象に結婚観や仕事観などを訪ね、10代から40代の226人から回答を得た結果とありました。
「住みたくない」が42%である一方、円グラフをみると、「岐阜に住みたい」と回答したのは10~20代で52%、30代で66%と「住みたくない」より多かったことはほっと一安心するところですが、少しでも流出を食い止めるためにも住みたくない理由を分析し、その対策を考えることが必要と考えます。
その住みたくない理由として、「昔ながらの慣習や古い体制の企業が多い」「職場が少ない」などで、30代以上も34%が住みたくないと答えており、「昔ながらのしがらみが多く閉鎖的」などの理由が上がっていたようです。
地方都市における人口減少の大要因が20歳から39歳の若年女性が減少すること、しかも大都市圏に転出してしまうことですが、岐阜県内でも若い女性の転出超過が著しく目立っています。2023年の県の人口動態統計調査によると、20代の女性は1221人の転出超過で、キャリアを重視する女性が都市部に流出しているようです。大垣市においては、とくに20歳から29歳の若年女性の転出が顕著です。一般的に地方から女性が流出するのは、大学進学時というよりも、20代前半の就職時に転出傾向にあることから、大卒の女性が魅力を感じるような就職先が地方ほど少ないといえます。就労支援のほか、職場の環境づくりとともに、それを対象者に知らせる広報努力が必要不可欠と考えます。
また、岐阜労働局は「子どもができても仕事を続けたいと考える女性の割合は年々増えていて、企業としても女性が働きやすい環境を作ることが、男女の賃金格差を小さくすることにつながる」としています。先ほど紹介した県人口問題研究所における調査アンケートにおける「仕事と育児の両立に必要だと思う支援は何か」との問いに「柔軟な労働時間」と「管理職・上司の理解」を挙げた人が最も多かったとのことです。いかに労働環境を整え、制度づくりをするかが課題といえます。
また、住みたくない理由にあがっていた慣習や古い体質の企業が多いこと、閉鎖的などは、女性が寄り付かないというだけでなく、男女関係なく若者にも避けられてしまいます。というのも、そのような企業は、ハラスメントが横行する傾向にあるからです。
ハラスメント問題の構造として、個の尊厳の否定や多様性の否定が土台となります。旧態依然とした働き方、従来の制度を重視し、新たな発想や働き方を受け入れる柔軟性が欠如している組織体質からハラスメントが起きるのです。
組織にその体質が充満していると、上司に相談しても理解されず、それが続くと女性は黙って今の仕事を坦坦とこなし、管理職への声掛けがあっても無理と考えてしまいます。また、黙って辞めていく若者も昨今増えているようです。
国内の大手企業、特に製造業は十数年前から幹部社員へのハラスメント防止研修は徹底して実施しています。私自身、年間100件以上のハラスメント研修のために全国を行脚しました。某大手製造業では全国数千人の管理職を対象に研修を継続し、1回限りではなく、数年おきに1回、実施していたところもあります。また、真剣にハラスメント問題に取り組む県や市町村も少なくありません。毎年職員向けに実施している県庁もあります。それだけ、高度経済成長時代にがむしゃらに働いてきた男性社会で培われた慣習・体質は根強いのです。女性や若い世代がそこに馴染めず、辞めて行ったり、精神を病んだり、ひどい場合は過労死や自殺にまで至ります。働きにくい環境で、管理職を引き受けるなんて、多くの役割を担う女性たちが引き受けるわけはありません。
もちろん、高度経済成長時代の男性の諸先輩方の働きが、この日本経済を引き上げた功績は大きく、誰もが感謝すべきことです。しかし、バブルがはじけ、産業構造も変化し、時代は変わりました。人口減少も起きる中でこれまで通りのやり方では、新たな未来を切り開くことはできません。
新たな時代の職場環境づくり、そしてダイナミックな男女共同参画社会実現のために取り組みについて、提言を行いました。
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