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江戸川区の「学校連携観戦プログラム」への参加の可否と是非

2021/8/21

江戸川区の「学校連携観戦プログラム」への参加の可否と是非
                                                              (金井たかしの「江戸川区情報)

 

パラリンピック競技大会『学校連携観戦プログラム』への参加

令和3年8月20日に江戸川区教育委員会から「東京2020パラリンピック競技大会『学校連携観戦プログラム』への参加予定について」という文書が保護者に対して出されました。ここでは、江戸川区として「希望者全員が観戦できること」「感染防止対策として、貸切バスによる移動ができること」を東京都教育委員会に要望し、学校連携観戦プログラムを実施する方向で協議していることが記載されています。

江戸川区教育委員会「東京2020パラリンピック競技大会『学校連携観戦プログラム』への参加予定について」
https://edogawa.schoolweb.ne.jp/weblog/files/1310036/doc/87380/678170.pdf

江戸川区教育委員会について

これは、江戸川区教育委員会の名義で出された書面で、江戸川区教育委員会の判断ですが、まず教育委員会がどのような組織であるかを確認します。

江戸川区の教育委員会の仕組み

教育委員会の概要 江戸川区ホームページ (city.edogawa.tokyo.jp)

教育委員会は、合議制の執行機関であり、教育長及び4名の委員により組織されます。この教育長は、区議会の同意を得て区長により任命される者で、教育委員会の会務を総理し、教育委員会を代表します。このように、教育委員会は合議制の機関ですが、今回の8月20日のパラリンピックの学校連携観戦プログラムを実施する決定が、どのようになされたか気になります。教育委員会の合議での決定なのか、教育委員会事務局での区長による決定なのかという点です。


東京都では、パラリンピックの学校連携観戦プログラムの実施について、東京都教育委員会の事務方において教育委員会で報告したのみで、教育委員会の議決を必要としない案件であったことが報道されている(毎日新聞2021年8月19日https://mainichi.jp/articles/20210819/k00/00m/050/052000c )ことからすると、江戸川区においても、教育委員会で議論された結果ではなく、教育委員会事務局での区長による決定であることが考えられます。このあたりの事情は、8月20日時点での江戸川区のサイトを見てもはっきりしませんが(サイトで「パラリンピック 学校連携観戦」などのキーワード検索をしても情報が出てきません)、牧野けんじ江戸川区議会議員によると、牧野区議が区長への要望を伝えた際に「区長が校長会等と相談し、観戦を希望する思いも大事にしたいと判断した」と説明を受けた旨が報告されています(8月20日のツイート)。

牧野けんじ江戸川区議会議員のTwitter
https://twitter.com/kenji_makino/status/1428411872856793089

行政による政策実施(学校連携観戦プログラムの実施)の手続の透明化の必要性

行政による政策実施(パラリンピックの学校連携観戦プログラムの実施)の手続きの透明化(クリア化)という視点で考えれば、コロナ禍において江戸川区民の保護者の意見が分かれる「学校連携観戦プログラム」の実施の可否については、教育委員会・教育委員会事務局で実施を決めたのであれば、どのような意思決定過程で実施が決められたのかは江戸川区民の保護者に説明されるべきものと考えられます。

例えば、①学校連携観戦プログラムの実施と②学校連携観戦プログラムの不実施の二つの選択肢があるなかで、どちらかの選択肢に決めるにあたり、パラリンピック競技観戦の目的・意義などからその実施のメリットなどを考え、同時に、実施する場合の新型コロナウイルスの感染の危険性(リスク=児童・生徒が感染する危険性)というデメリットなども考え、それらに関する資料(データ)に基づき、新型コロナウイルスの感染の危険性が低く(デメリットが小さい)、メリットのほうが大きいなどの判断に至ったのかもしれません。

実際の議論の内容は外部の者からはわからないのですが、教育委員会・教育委員会事務局での意思決定の過程について、それが妥当・合理的な判断であったのか、という事後的な検証ができるような説明がなされるべきものと考えられます。私自身が上場企業等の役員を10年以上経験し、取締役会で様々な議論をしてきた経験から、行政においても、意思決定の基礎データ、また、その判断の過程などがきちんと残されるべきものと考えます。

児童・生徒の保護者の判断はどうするか~判断資料の必要性

次に、江戸川区の教育委員会として、パラリンピックの学校連携観戦プログラムの実施を予定しているものですが、児童・生徒の保護者がその教育委員会の判断に従うかどうかが問題となります。江戸川区教育委員会の文書では「実施が決定した場合に備えて、保護者の皆様に参加のご意向を確認させていただきます。現在の感染状況を鑑み、同プログラムに参加しない選択をされるご家庭もあるかと存じます。」と記載されていますので、児童・生徒を学校連携観戦プログラムに参加させるか否かは、保護者の意思決定にまかされるものと考えられます。そうすると、江戸川区民である保護者としてどのように参加の可否について意思決定をすればよいかが重要な課題となります。

児童・生徒の保護者として、児童・生徒をパラリンピックの学校連携観戦プログラムへ参加させるかどうかについて、何を判断基準に、どのような判断をすればよいか、江戸川区教育委員会からは具体的に示されていません。保護者としては、児童・生徒の新型コロナウイルス感染の危険性(リスク)を増やしたくないと考えれば、参加させないということになると思います。これは妥当な判断であると思います。

また、もし、江戸川区教育委員会が、東京都と連携しての施策として、貸切バスでの移動中、そして、パラリンピック競技の観戦時、また、帰宅のための移動時などにおいて、児童・生徒への感染予防として採る具体的な対策を示すのであれば、そのような対策を前提として、保護者として、新型コロナウイルスの感染リスク(危険性)が小さいと判断し、教育的視点からパラリンピック競技観戦に参加させることが妥当であると考える方もいるでしょう。また、デルタ株による感染拡大の中では、そのような江戸川区教育委員会の感染予防対策でも不十分と判断し、児童・生徒への感染リスク(危険性)が高いと判断し、パラリンピック競技観戦をさせることはしないと考える保護者もいると思います。いろいろな判断がありえますが、それぞれの保護者の判断であると思います。ただ、一番重要なのは、江戸川区民である保護者として、判断のための資料・データを持っているかということです。判断の資料・データを持っていなければ、妥当な合理的な判断ができないからです。

江戸川区教育委員会としての情報提供の必要性

上で書きましたように、江戸川区教育委員会としては、抽象的に、「感染防止対策として、貸切バスによる移動ができること」の説明だけでなく、より具体的に、感染予防対策として、どのようなことを予定しているのかを示すことが必要であると考えます。

学校連携観戦プログラムを実施するか否かという課題、そして、江戸川区教育委員会がそれを実施するとして、次に、児童・生徒の保護者の立場として、具体的に児童・生徒を参加させるかという課題があり、二段階の課題があるわけです。保護者が考えなければならない課題の判断のための資料・データについて、江戸川区教育委員会としてもう少し詳しい説明をすることがよいように思います。

 

自治体スクールコンプライアンス研究所 (東京都江戸川区)
http://www.jsc-i.jp   代表 弁護士 金井高志(金井たかし)
(江戸川区在住 弁護士 武蔵野大学[江東区]法学部・大学院教授)
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肩書 弁護士・武蔵野大学(江東区所在)法学部教授
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