2021/5/28
校則の改定プロセスの策定・明文化の必要性
2021年3月31日に熊本市教育委員会から「校則・生徒指導のあり方の見直しに関するガイドライン」が出されました。熊本市では、各学校において、2021年度から、このガイドラインに沿った見直しが実施されることになっています。
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=31344&sub_id=2&flid=244918
また、5月21日には、岐阜県教育委員会が、県内すべての県立高校と特別支援学校あわせて83校に、校則改定が問題となった際、改定の内容だけでなくその手順についても、生徒たちに考える時間を設けるとともに、教員や保護者などとの議論も促すなどの校則改定のプロセスを明文化するよう通知しました。
「校則改定プロセス明文化を通知」(NHK NEWS WEB 岐阜NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/gifu/20210521/3080006274.html
文部科学省から、校則の改定のプロセスに関して、特段、通知またモデルガイドラインなどが出されていない状況において、上のような地方自治体の教育委員会で校則改定についてのプロセスを明文化していく動きがあることは、非常に好ましい状況です。
最近、「学校内民主主義」ということが言われています。このような中で、岐阜教育委員会は、新しい高校の学習指導要領に「主体的に社会に参画し自立して社会生活を営む力」の育成が盛りこまれることに基づき、生徒達に校則をきっかけにして、そのような力を養ってもらいたい、ということを述べています。
現在、校則について、ブラック校則問題がクローズアップされており、いくつもの問題点が指摘されています。そのようなことで、校則の改定が問題とされるのですが、改正の手続き・プロセスがルール化・明文化されていないために、具体的な校則改定にまで進まないという状況が起こっているようです。
学校における校則改定の手続き・プロセスがルール化・明文化されていれば、児童生徒からブラック校則に関して声をあげることで、学校側は、その明文化されたルールに基づいて対応しなければならないことになります。ですから、この校則改定の手続き・プロセスのルール化・明文化は極めて重要なことになります。
そして、児童生徒に、中学校や高校で、校則改定に関与したという経験があれば、その後、有権者となった際の政治参加に積極的になることにつながると考えられます。すなわち、学校内民主主義に参加した経験が、地方自治体の議会の議員選挙また国政選挙への関心を高めることになるのです。
今までは、ブラック校則の問題点が指摘されても、その改定のためにどのようなことをすべきか、ということが明確にされていませんでした。ブラック校則をなくすためには、そのための手続き・プロセスをルール化・明文化することが極めて重要なものとなります。今後、校則の改定のためのルール作りの動きがますます進むことが期待されます。
地方自治体・学校の法律問題に関する調査・研究
http://www.jsc-i.jp 代表 金井高志
http://twitter.com/kanai_jsc (フォローをよろしくお願いします)
(なお、学校のコンプライアンス問題や校則の問題については、弁護士として、セミナー講師なども承ります。)
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