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池田市長家庭用サウナ持込事件(その2)・報道された事件大阪府池田市の市長が市役所に家庭用サウナ...

2021/5/5

池田市長家庭用サウナ持込事件(その2)

・報道された事件

大阪府池田市の市長が市役所に家庭用サウナを持ち込んで使用することなどをしていた問題で、市議会は27日、臨時議会を開き、市長に対する不信任決議案の議決をしたところ、否決しました。市長は、新型コロナウイルスの高齢者ワクチン接種にめどがたった時点で、サウナ問題の責任をとって辞職すると表明したため、一部会派が反対に回り、可決に必要な4分の3以上の賛成に届かなかったとのことです。
ただ、市議会は、市長が百条委員会で虚偽の証言をしたとして、地方自治法違反の疑いで大阪地検に告発する議案については可決しました。

この事件の報道において、市長が、不信任決議案が可決された場合には、議会を解散した上で、自ら市長を辞職し、市長選に立候補するという「ダブル選」とする可能性を示唆し、議会をけん制した旨が報道されています。

この事件では、市議会は、市長に対する不信任決議案を否決し、他方、市長について刑事告発をする議案については可決していますので、市議会と市長の間での対立構造について、法律的な制度に基づくバランスをとった対応ではなく、政治的なバランスをとった対応ということがいえるかもしれません。

そこで、地方自治法では、議会による不信任決議がなされた場合に、市長が市議会を解散すること、また、市長が議会を解散せずに10日経てば市長は失職するとされているのですが、今回の事件では、市長が、議会を解散し、かつ、自分自身も辞職し、市議会議員選挙と市長選挙を同時に行うことの可能性を示していたということですので、この問題について、検討をしてみたいと思います。

(朝日新聞2021年4月27日)
https://www.asahi.com/articles/ASP4W6RCXP4WPTIL01V.html

まず、不信任決議が成立するためには、議員数の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者が同意することが必要です(地方自治法178条1項・3項)。これは、不信任決議が住民の意思により選ばれた地方自治体の長を議会が失職させるものであることから、通常の表決(地方自治法116条)の場合とは異なり、その手続きを慎重にしているものです。

議会で不信任決議があったときは、議長は直ちにその旨を長に通知しなければなりません。これに対して、長は、議会への対抗手段をして、その通知を受けた日から10日以内に限り議会を解散させることができます(地方自治法178条1項)。そして、長が10日以内に議会を解散しなければ、長は、その期間を経過した日にその職を失うとされています(地方自治法178条2項)。

これらの条文について、長か議会の議員のいずれか一方がその職を失うことで事態の調整を図ることが法の趣旨であると考えられ、市長による議会の解散、または、市長が議会を解散せずに10日間が経過することでの市長の失職が想定されているものです。ただ、市長が議会を解散して、その後に、市長が辞職することについて、地方自治法では想定されていないものと思われますが、禁止されているものではないと考えられます。

現職市長が辞職を申し出た場合、公職選挙法第111条第1項第4号の規定により、5日以内に市の選挙管理委員会に通知が行われ、通知から50日以内に後任の市長を決める選挙が実施されることになります。ただ、市長が辞職をしようとする場合、地方自治法第145条本文により、辞職の20日前までに市議会の議長に申し出る必要があります(ただし、市議会の同意がある場合には、その期日よりも前に辞職することができます(同条但書)が、市議会が解散されている状況である場合には、その同意を取ることはできないのではないか、という問題が生じます。)。このような法律の制約はありますが、市長による議会の解散と市長の辞職の両立がありえるものと考えられます。

公職選挙法
(議員又は長の欠けた場合等の通知)
第百十一条 衆議院議員、参議院議員若しくは地方公共団体の議会の議員に欠員を生じた場合又は地方公共団体の長が欠け若しくはその退職の申立てがあつた場合においては、次の区分により、その旨を通知しなければならない。
一 衆議院(小選挙区選出)議員及び参議院(選挙区選出)議員については、国会法第百十条の規定によりその欠員を生じた旨の通知があつた日から五日以内に、内閣総理大臣は総務大臣に通知し、総務大臣は都道府県知事を経て都道府県の選挙管理委員会(参議院合同選挙区選挙により選出された参議院選挙区選出議員については、合同選挙区都道府県の知事を経て参議院合同選挙区選挙管理委員会)に
二 衆議院(比例代表選出)議員及び参議院(比例代表選出)議員については、国会法第百十条の規定によりその欠員を生じた旨の通知があつた日から五日以内に、内閣総理大臣は総務大臣に通知し、総務大臣は中央選挙管理会に
三 地方公共団体の議会の議員については、その欠員を生じた日から五日以内に、その地方公共団体の議会の議長から当該都道府県又は市町村の選挙管理委員会に
四 地方公共団体の長については、その欠けた場合には欠けた日から五日以内にその職務を代理する者から、その退職の申立てがあつた場合には申立ての日から五日以内に地方公共団体の議会の議長から、当該都道府県又は市町村の選挙管理委員会に
2 前項の通知を受けた選挙管理委員会、参議院合同選挙区選挙管理委員会又は中央選挙管理会は、次条の規定の適用があると認めるときは、議員が欠員となつた旨又は長が欠け若しくはその退職の申立てがあつた旨を、直ちに当該選挙長に通知しなければならない。
3 地方自治法第九十条第三項又は第九十一条第三項の規定により地方公共団体の議会の議員の定数を増加した場合においては、当該条例施行の日から五日以内にその地方公共団体の議会の議長から当該都道府県又は市町村の選挙管理委員会にその旨を通知しなければならない。

地方自治法
第百四十五条 普通地方公共団体の長は、退職しようとするときは、その退職しようとする日前、都道府県知事にあつては三十日、市町村長にあつては二十日までに、当該普通地方公共団体の議会の議長に申し出なければならない。但し、議会の同意を得たときは、その期日前に退職することができる。

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肩書 弁護士・武蔵野大学(江東区所在)法学部教授
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