2024/12/12
畜産農家減少の危機と日本農業の未来
日本の畜産業は現在、農家戸数の減少や高齢化といった深刻な課題に直面しています。特に家族経営の小規模農家が影響を受けており、農業の基幹産業である畜産が持続可能性を失いつつある現状に、多くの関係者が危機感を抱いています。
私は過去に農林水産委員会でこの問題に取り組み、畜産業の重要性とその課題について質疑を行いました。その中で、「畜産と野菜のセット経営モデル」が地域経済の活性化に果たす役割を強調し、現行の支援制度にさらなる改善の余地があることを提言しました。
「牛マルキン制度」の評価と課題
肉用牛肥育経営安定交付金(通称:牛マルキン制度)は、畜産農家を支えるための重要なセーフティネットとして機能しています。この制度は、飼料価格の高騰や販売価格の変動に応じて補填を行う仕組みで、多くの農家から一定の評価を得ています。しかし、過去の質疑を通じて私は、この制度が十分に機能するためには、以下の点が課題として残っていると指摘しました:
1. 補助の柔軟性と迅速性の向上
牛マルキン制度は販売価格の補填に重点を置いていますが、飼料コストが急激に高騰する場合など、迅速な対応が求められる場面での改善が必要です。
2. 後継者不足への具体的支援
制度の対象を拡大し、新規参入者や若手農家が安心して経営をスタートできるような柔軟な設計が重要です。
3. 地域資源を活かした経営の強化
畜産業の安定には、「畜産と野菜のセット経営モデル」の拡大が欠かせません。産出額上位10位の地域は、畜産と野菜を組み合わせた経営が成功しています。このモデルを全国に広げるための政策支援が必要です。
「ベストミックス」と中山間地域の可能性
畜産と野菜を組み合わせた経営モデルでは、畜産から生じる堆肥を地域の野菜農家に活用することで、双方の生産性と収益性を向上させることができます。この「ベストミックス」モデルは、持続可能な農業を推進する鍵として注目されるべきです。
さらに、このモデルは特に中山間地域において有効です。南北に長く、地理的多様性を持つ日本では、近年の気候変動による熱帯化が農業に新たな課題をもたらしています。中山間地域は、降水量や温暖化の影響を受けやすい一方で、堆肥を活用した土壌改良や多様な作物の生産を通じて、環境変化に適応する可能性を秘めています。こうした地域の特性を活かし、堆肥を循環させる仕組みを整備することが、今後の政策の柱となるべきです。
未来への提言
日本の畜産業が直面する課題は一朝一夕には解決しません。しかし、現場の声を反映した政策立案と、既存制度の改善を通じて、持続可能な農業の実現は可能です。私は、農家と消費者の間の信頼を築きながら、農業の多面的な価値を次世代に伝えるための取り組みが必要だと考えています。
畜産業は、日本の食文化と地域経済の要でもあります。これからも、過去に委員会で行った質疑の経験を活かし、現場の声に耳を傾け、課題解決に向けた提案を続けていきます。
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令和6年12月11日現在
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イチタニ ユウイチロウ/49歳/男
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