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坂本 雅彦 ブログ

選挙の投票行動に関する一考察 前編

2024/9/26

(前編)皆さんは選挙に毎回行きますか、それもと毎回行かないですか。たまにいくタイプですか。国政選挙だけ行くとか、首長選挙だけ行くとか、いろいろなパターンがあると思いますが、それもこれも選挙に行くことは義務ではなく任意だから起きている現象です。

 自由民権運動が巻き起こり選挙権を命がけで得てから約130年が経過しました。板垣退助が岐阜で演説中に暴漢に刺された際に「吾死するとも自由は死せん」と発した言葉はあまりにも有名です。近代国家の幕開けの象徴とも言える帝国憲法の制定、総選挙、国会開設への道中では、数多の事変と闘争が繰り返されました。多くの犠牲を経て掴んだ民主主義なのです。130年近くも経てば時代はガラッと変わるもので選挙の投票率は年々下がり続ける傾向にあります。直近の令和4年に行われた参議院議員選挙の投票率は52%ですから有権者の約半数が投票していない状況です。つまり、有権者の半数の意向しか選挙結果に反映されない状況となっています。今となっては投票に行かない権利が大いに行使される時代となりました。民主主義の基礎が選挙権の行使にあるとすれば現状は民主主義の母数が半分しか見当たらない状態です。いや、考えようによっては半分以下かもしれません。投票する人の中には連合などの労組による動員や公明党などの創価学会の票の誘導などが含まれており所謂組織票も少なからず存在します。逆に言えば、投票に行かない人の多くはそのような組織に属さない無党派層の人が多いということなのでしょう。

 憲法で保障される基本的人権には、言論と表現の自由、宗教と信仰の自由、法の下での正当な手続きと平等な保護、そして組織を結成し、発言し、異議を唱え、社会の公共生活に全面的に参加する自由などがあります。民主主義は多数決の原理に従うことを是とします。とはいえ少数派を排除するわけではありません。多数決の原理と少数派の権利という一対の柱として受容されています。少数派や個人の基本的な権利と自由を取り上げることができないこと、少数派の独自性、良心は憲法で擁護されます。多数決と少数派の共存は一見矛盾を孕んでいるように思えますが民主主義的過程を通じて相互に補完し擁護される不可欠な存在なのです。

 選挙が近づくと町中に「選挙に行こう」とか「投票して明るい未来を」などという選挙啓発ポスターが貼られているのをよく見かけます。このことこそが投票に行くことは任意であり行かなくても構わないということを世の中に知らしめる行為なのではないでしょうか。選挙啓発ポスターが目につけばつくほど選挙で投票に行く人が減っていることを示しており、選挙に行かないことへのマイナスの感情が覆されることになっているようにも思えます。

 令和4年の参院選での年代別に投票率をみると10代、20代、30代がとりわけ低く50%を切っています。逆に投票率の高いのは50代、60代、70代です。この傾向は変わらず30年以上続いています。当然、政党や政治家は高齢者やシルバー予備軍向けの政策に傾注するようにならざるを得ません。これでは法の下の平等を損なう可能性があります。

 令和4年6月の政党支持率の世論調査を上記のように纏めました。投票率の低い10代、20代、30代はネット世代と言って良いのかもしれません。逆に60代、70代はアナログ世代なのでしょう。電話での調査とインターネットでの調査の結果にはある程度の違いがみられます。例えば、自民党は電話での支持率が35.5%、ネットでの支持率は15.2%ですが、実際の選挙での得票率は34.4%でした。自民党の場合はほぼ電話での支持率にリンクしているようです。ネットでの支持者が投票していれば自民党の得票率はもっと伸びたと思われます。つまり、電話での支持者の投票行動は結果につながりやすいがネットでの支持者は投票に行かない人も少なくないという可能性があります。れいわ新選組やNHK党は電話での支持率よりもネットでの支持率の方が高いことから有権者全体の指示率と選挙での得票とは乖離が発生している可能性が高いです。

 より正確に政治に民意を反映させ、民主主義の機能を強化する為に、全世代の有権者が投票に行くようにするにはどうすればよいのでしょう。選挙での投票の義務化を含めた一案を後編で探ってみたいと思っています。参議院法制局に検討を依頼しておりますので、その回答を参考に方策を思案します。

後編に続く

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著者

坂本 雅彦

坂本 雅彦

選挙 三鷹市議会議員選挙 (2023/04/23) 1,462 票
選挙区

三鷹市議会議員選挙

肩書 作家 学者 参議院議員政策秘書
党派・会派 無所属
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