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食品消費税ゼロでは食品価格は下がらず物価対策にはならないのでは

2026/2/13

物価けうどん。

 物価高が長期化する中で高市政権は船出した。高市首相は石破茂政権時代の不利な国会運営を強いられる状況を改めるべく通常国会の冒頭で衆議院の解散総選挙に打って出た。この奇策が功を奏し自民党は単独過半数どころか3分の2議席を単独で獲得する大勝利を収めた。圧倒的多数の国民の支持を得た自民党に対して公約である食品に対する消費税減税の期待が寄せられている。物価高対策として生活必需品である食品の税負担を軽くするという発想自体は理解できる。しかし、この政策は本当に有効な物価対策なのだろうか。冷静に制度と現場を見れば、むしろ問題点の方が目立つ。

 まず、食品消費税ゼロが消費者の実感につながるとは限らない。原材料費、エネルギー費、人件費の上昇が続く中で、減税分が確実に価格に反映される保証はない。結果として「税率は下がったが価格は下がらない」という事態も起こり得る。しかも、食品購入額の多い高所得層ほど恩恵が大きく、物価高の影響を最も受ける低所得層への効果は限定的だ。

 消費税は言い換えれば売上税であり、付加価値税である。インボイス制度の導入でその実態はより顕著となっている。消費者から預かっていない税を事業者が納め、価格転嫁できなければ事業者に所得課税される。消費税として食品購入者に付加して販売するかどうかは事業者の思惑と判断次第である。食品に対する消費税を2年間非課税にしたところで8%、もしくは10%を下げて販売するかどうかは事業者に委ねられる。ガソリンなどとは違い産地や品質、製造方法、育成方法が様々な食品は一物一価ではなくピンキリである。価格を下げようが下げまいが消費者が価格の高低を判断することは極めて困難である。つまり、制度として消費税を非課税にしても事業者は消費税分を下げて販売する理由も意義もない。下げて販売している体を装っていればよいだけである。

 さらに深刻なのが飲食店への影響である。食品が非課税になれば、飲食店は食材仕入れで消費税を支払わない一方、設備投資や光熱費、備品購入には従来通り消費税がかかる。仕入税額控除ができなくなり、実質的な税負担が増える店も少なくない。特に中小・個人経営の飲食店にとっては死活問題となりかねない。

 本当に必要なのは、分かりやすい減税パフォーマンスではなく、的を絞った支援策である。低所得世帯への直接給付や、エネルギー・物流コストへの対策、中小事業者の負担軽減こそが、実効性のある物価対策と言える。食品消費税ゼロは、善意の政策に見えて、その裏で新たな歪みを生む可能性が高いことを忘れてはならない。


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著者

坂本 雅彦

坂本 雅彦

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