2024/10/5
令和6年9月の本会議では、「子ども達の心の状態を把握する取り組みについて」を議題とし質問しました。文部科学省等の調査によると、昨今の子どものいじめの認知件数や、不登校児童生徒数、また子どもの自殺者数が右肩上がりに増加しています。令和4年度には過去最高を更新しました。「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた取り組みの強化が必要です。国は1人1台端末を活用した「心の健康観察」の導入を推進していますが、春日井市の導入の現状と課題、今後の方向性について質問しました。
以下、発言内容を記述します。正確な文字おこしは後日市議会の会議録に掲載されます。
動画はこちらからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/live/eAfpgJHwH28?si=iHzZAEACNKQRbkBn&t=9231
【質問者:金沢はるき】
議長のお許しを頂きましたので通告に従い、「子ども達の心の状態を把握する取組みについて」を議題とし、質問いたします。近年、いじめの認知件数や不登校児童生徒の増加等、子ども達を取り巻く教育環境、家庭環境に対し多くの問題点が指摘されるようになってきました。文部科学省の令和4年度の調査によると、小中学校における不登校児童生徒数は約30万人で過去最多、そのうち学校内外の専門機関で相談・指導等を受けていない小中学生は約11万4千人とこれも過去最多を更新。本市でも令和5年度に1000人を超え過去最多。また、本市の不登校相談件数と不登校の児童生徒数をみますと、不登校の児童生徒は令和元年度比で2倍となっているにも関わらず、相談件数はほぼ毎年変わらない件数であります。相談機能の強化や、相談先に選んでもらえるよう、相談をしやすい、相談を受けやすい雰囲気づくりは、急ぎ必要な事です。また、不登校対策にあたっては民間施設等の連携はより強化すべきものであります。いじめについては、令和4年度のいじめ認知件数は約68万2千件と過去最多です。いじめ重大事態の件数も923件と過去最多。本市でも令和5年度の認知件数は419件と過去最多となっています。いじめ、不登校対策のため、子ども達が安心して学ぶことができる、「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた取り組みの緊急強化が必要であります。心の小さなSOSの早期発見、いじめの早期発見の強化に繋げるため、文部科学省では1人1台端末等を活用した「心の健康観察」の導入を全国に推進しています。児童生徒の心や体調の変化を把握し、児童生徒が発するSOSを早期に発見して対処することが重要です。これまでは教職員によるスクリーニングや児童生徒からの訴え等を通じSOSを把握されていましたが、把握するまでの間に既に、いじめや不登校、自傷行為といった具体的な問題として表面化してしまうケースが多いことから、問題が表面化する前から積極的に支援に繋げることで未然防止を図る必要がでてきました。「誰1人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」や「教育振興基本計画」を踏まえ、1人1台端末を活用した「心の健康観察」を実施し、児童生徒のメンタルヘルスの悪化や小さなSOS、学級の変容等を教職員やスクールカウンセラー、スクールショーシャルワーカー、養護教諭等とも情報を共有しつつ、チーム学校のもと早期支援を実施する体制整備が求められています。また、アプリ等を用いることで、データに基づいた児童生徒の理解を行うことが可能となり、児童生徒の言動や行動だけではわからないほんの小さなSOSを把握できます。令和5年2月の文部科学省実施の「不登校対策に係る取り組み状況調査」によると、「心の健康観察」としてとある有償のアプリを導入した市の例では、アプリ導入後のメールでの相談件数が導入前に比べ、10倍以上増え、いじめ認知件数も5倍以上増加した、また相談内容はいじめに限らず、自傷行為に関わるものもあり、早い段階から児童生徒に寄り添った対応が行えるようになった、との報告があったようです。他の教育委員会からの意見も多数あるようですが、アプリの導入により普段の様子からは気づけない部分も可視化でき、児童の姿を客観的に見直すことにつながった、との声が寄せられています。本市でも、「心の健康観察」を導入していると聞いています。その導入の現状と詳細についてお聞きし、壇上からの質問といたします。
【回答者:教育部長】
本市では、株式会社EDUCOMの学校支援システムを導入しており、その機能の一つとして、「心の天気」があり、すべての小学校と中学校で利用することができます。その活用については、学校ごとに判断しているところでございます。
この「心の天気」は、児童生徒が朝や帰りに、その時の気持ちを天気に例えて、晴れ、曇り、雨、雷の4種類から選んで入力するものでございます。日々の気持ちの見える化をすることで、教職員は児童生徒の心の変化や揺れに気づきやすくなり、適切なタイミングで声掛けや支援ができるようになるとともに、児童生徒も、自分自身を客観的に振り返ることができるようになるものでございます。
【質問者:金沢はるき】
ご回答ありがとうございます。「心の天気」を活用されているとのこと、でした。このシステムを導入されてみて、実際、現場として、どのような意見があがってきていますでしょうか。上手く、活用されていますでしょうか。活用される中で、課題点などが共有されていましたら、併せてお聞きしたいと思います。
また、いま私は1人1台端末を使った話をしてきていますが、やはり、画面上のやりより以上に、人間同士の会話、コミュニケーションが一番大事でありまして、端末やアプリ等のICTはあくまでもそれを補完する役割であるわけであります。生のコミュニケーションが教育の土台であると思いますが、今後、この「心の天気」をどのように活用されるのか、方向性を伺いたいと思います。
【回答者:教育部長】
「心の天気」については、4種類の天気を選び入力するものであることから、児童生徒は手軽に入力することができ、教職員も児童生徒の気持ちを一目で理解することができます。一方で、入力操作が単純なため、形式的な作業になってしまうことや、児童生徒の心の小さな変化までは読み取ることができない面もあります。
児童生徒の心の変化を把握するための方法としては、「心の天気」のほか、日々、児童生徒と担任がやり取りをしている「連絡ノート」や、養護教諭との相談、いじめ匿名連絡サイト「スクールサイン」での投稿など、様々な方法があり、各学校は、それぞれの実情にあった方法を実施しているところでございます。
そして何よりも、児童生徒との日頃のコミュニケーションが最も重要であると考えておりますので、今後も、教職員と児童生徒が信頼し合い、児童生徒がいつでも相談しやすい関係づくりに取り組んでまいります。
【質問者:金沢はるき】
ご回答ありがとうございます。是非、よろしくお願いします。
先ほど、私は、端末やアプリ等のICTの活用は、生のコミュニケーションを補完する役割である、と申し上げました。文部科学省がいう、この1人1台端末を使った「心の健康観察」の導入の方法やアプリの種類は様々ありますが、取り入れれば解決というものではない、と思っています。SOSを把握するための便利で活用しやすいツールを用いるべきであり、そのためのアップデートも欠かせないものと思いますが、こうしたICTの利用は、いじめや不登校児童生徒数の増減をみる限り、今までの方法では限界があり、より革新的な方法が求められます。
最近の子ども達は、昔の子ども達と比べて、子どもらしさが失われていると言われています。その原因の一つに、今の子ども達は「忙しい」ようであります。学校外の習い事に関しては、今は勉強や運動系だけでなく、プログラミングやドローン教室、そし体験学習等、種類がどんどん増えています。子どもたちの「忙しさ」を裏付ける調査やデータはいまや世に多く出回っています。ベネッセ等の大手教育研究機関やNPOの調査結果で非常に興味深いものがありました。学年や地域、質問の仕方等で結果は多少変わるとは思いますが、例えばこういうものがあります。「あなたは放課後にどれぐらい友達と遊んでいますか」との問いに対し、「週1回以下」と答えた割合が70.9%、そして「どうして放課後に思うように友達と遊べないのか」との問いに対し、「友達と予定が合わない」が48.7%、次いで「自分と友達どちらかが忙しい」と並んでおり、つまり友達と遊べない最大の理由は「忙しい」であります。実際、子ども達の「多忙感」を調べる調査では、小中高生いずれも基準年と比べ上昇し、またスマホの普及やSNS等の利用により、テレビやDVDの利用時間が減った一方、スマホの使用時間は軒並み増えています。そして放課後時間にみる子ども達の「まじめ化」も問題であると指摘されています。これもまた基準年と比べ、子ども達の、学校の宿題をする時間も、そして学校の宿題以外の勉強時間もみな増えており、まじめに学習に取り組んでいる分、総合しますと、今の子ども達は、頭も体も心もゆとりのない日々を送っているといえます。令和5年度の子ども家庭庁による調査によると、いまや小学生の7割以上が自分専用のスマホを持つ時代です。一日3時間以上インターネットを使用する高校生は8割を超えています。海外では、「子どもたちを子どもらしく。Let Them Be Kids」を合言葉に、子どものSNS利用の禁止を求める動きもあります。子どものスマホ、そしてSNSの使用はスマホやオンラインゲーム依存、睡眠時間の減少、陰湿ないじめ、仲間外し、視力の低下、姿勢の悪化、またAI技術の発達により興味のある分野の広告や投稿が表示されやすくなることによる取得する情報の偏り等、多くの問題が指摘されています。
子どもらしさが失われている件に関連してですね、先日、夏休みでありましたけど、とある公園で子ども達が集まっておりまして、あーこんな暑くても子ども達は元気でいいなと思っていましたら、なんとあの灼熱のですね、日陰のない場所のベンチに座ってですね、スマホで子ども達が数人でゲームをしているのを見ました。ゲームをするならクーラーの効いた部屋ですればいいのにと思ったわけですが、今の子ども達にとっては不思議なことではないのかもしれません。
少し話がそれてしまいましたが、いじめや不登校を解決するための手段の一つとしての「心の健康観察」については、より有効的に運用がなされてほしいと思いますし、いま様々申し上げたように、子ども達の取り巻く環境は本当に変化が激しいものであります。不登校の対策として学びの多様化学校の設立の話もよく話題になりますが、設立すれば問題解決とはなりません。様々変化する子どもの環境、そして教員の皆さん側も部活動の地域移行等働き方改革の真っ最中でありますし教員の多忙もよく問題になるわけで、教員側の環境、また家庭教育の大切さ、それぞれが複合的に混ざり合って相乗効果を生まないといけないわけであります。不登校生徒の急激な人数の増加の理由も、根本的な所はだれも分かりませんし、直接的で効果的な対策が打てないというのが国も市も現場も思っている本音であると思います。本市では、ソーシャルスキルトレーニングという、生のコミュニケーションを学ぶ授業を取り入れている先進事例もあると聞いています。子ども達の未来は、私たち大人にかかっているわけでありまして、この国をつくる、そして守っていく世代が、より良い環境の下、すくすくと育っていかれることを切に願うところです。本市の取り組み、そして将来の子ども達の更なる成長を期待し、私の質問を終わりたいと思います。
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ホーム>政党・政治家>金沢 はるき (カナザワ ハルキ)>一般質問しました『子ども達の心の状態を把握する取り組みについて』2024.09.25