2024/12/23
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↑↑一般質問の様子です。ご覧ください。
令和6年12月の本会議では、「スフィア基準に対応する避難所環境の整備について」を議題とし質問しました。石破首相は所信表明演説の中で、災害関連死ゼロを実現すべくスフィア基準(国が現行の避難所運営指針として参考にしている国際基準)を踏まえ避難所の在り方を見直す、と訴えました。直接死より災害関連死の方が4倍多かった2016年の熊本地震を考えると、避難所の環境改善は必要不可欠です。本市のスフィア基準に対する認識と基本的な考え方を伺いました。
以下、発言内容を記述します。正確な文字おこしは後日市議会の会議録に掲載されます。
【質問者:金沢はるき】
議長のお許しを頂きましたので通告に従い、「スフィア基準に対応する避難所環境の整備について」を議題とし、質問いたします。
本年10月4日、石破茂首相の所信表明演説の中で、避難所の満たすべき基準を定めた「スフィア基準」について、言及がありました。スフィア基準とは、国際赤十字などが1998年にまとめた「人道憲章と人道支援における最低基準」を指し、日本語訳版は約400ページに及びます。給水・衛生、食料、避難所、保険医療の4分野にわたり、最低限の基準やその目的、効果が記載されたものです。我が国の現行の避難所運営指針はこの「スフィア基準」を、「避難所の質の向上を考えるとき、参考にすべき国際基準」として扱っており、最近では、国の予算委員会の質疑などでよく取り上げられるようになりました。
「スフィア基準」の中身をみてみると、基本理念として、被災者には尊厳ある生活を営む権利、支援を受ける権利があり、また苦痛を軽減するため実行可能な手段が尽くされなくてはならない、の二つを掲げています。具体的には、飲料水と生活用水については合計一人一日当たり最低15リットルを確保することや、一人当たりの居住空間は最低3.5㎡、またトイレについては、災害発生当初は50人に一つ、発生中期には20人に一つ、かつ女性用を男性用の3倍にすること、等が示されています。
2016年に起きた熊本地震では、建物の崩壊や土砂災害などの被害を直接受けて亡くなった「直接死」が50人に対し、避難生活などで病気が悪化したり体調を崩したりして亡くなる「災害関連死」が222人いました。「直接死」と比較し実に約4倍もの方が「災害関連死」でお亡くなりになったことについては、やはり、避難所環境の整備がいかに重要な災害対策であるかを物語っています。環境を変えれば防ぐことができたかもしれない「災害関連死」をゼロにすべき、というのが、年度内の指針改定に大きく影響しています。
ただこの「スフィア基準」は、元々は紛争地帯の難民救済を目的としてまとめられたものであり、全ての基準を満たすには、財源や人材確保の観点から困難な状況にあると考えます。実際、この基準に則り避難所運営を行っている国としてイタリアの取り組みがよく引き合いに出されますが、避難所の運営主体が基礎自治体である我が国と違い、イタリアでは国とボランティアが中心となっており、住居としてのテント村の設置や、コンテナトイレの即日整備、食事の提供ではイタリア料理のフルコース、とここまできますとなかなか日本とは在り様が違ってくるわけで真似できるものではありませんが、やはり、先進国の中でいまだに体育館で雑魚寝をしている状況は唯一日本だけであり、災害関連死の多さは、避難所環境の改善が可能な限り追求されなければならないものと感じます。また、日本の災害の多さ、国民性からして、避難所に避難してきた方々がお客様のような感覚は、イタリアと違い日本では、そぐわないものと思います。公助・共助・自助はもとより、避難している方々同志、助け合い、協力し合う関係性がより強く必要になってきます。避難所運営の方向性を、正しく伝えなければいけません。私がよく例えとして使うのが、おにぎりを我先にと列に並び、冷たい、具がないなどの文句を言う人が増えれば、避難所運営は絶対に機能しない、そうではなく、おにぎりを取りに行くことが困難な高齢者、障がいのある方のために、弱っている方々におにぎりを届ける人を増やさねばなりません、これが、日本の避難所運営の、土台であるべき、と考えます。私が申し上げている避難所の環境改善は、この考えが基本にあります、
石破首相は、演説の中で、「災害関連死ゼロを実現すべく、避難所の満たすべき基準を定めたスフィア基準も踏まえつつ避難所の在り方を見直し、発災後速やかにトイレ、キッチンカー、ベッド・風呂を配備しうる平時からの官民連携体制を構築します。」と訴えられました。そして政府は今般、能登半島地震などを踏まえ、避難所運営に関する自治体向け指針を年度内に改定する方針を固めています。この、国が参考にすべきとしている国際基準である「スフィア基準」に関する本市の認識と、「スフィア基準」に対応する避難所環境の整備についてのお考えを伺い、壇上からの質問といたします。
【回答者:総務部長】
スフィア基準につきましては、災害関連死を防止し、避難所の生活環境を整えるための一つの参考にすべき基準であり、避難所運営マニュアルなどに取り入れている自治体もあることを認識しております。
国からは、今後災害が起きて避難所が設けられた場合には、発生から48時間以内に、衛生や生活環境などの指針を定めた国際基準であるスフィア基準を満たすことができるよう自治体に必要な支援を行っていく考えが示されました。
本市においては、愛知県が公表した南海トラフ地震被害予測調査における最大想定避難者数は15,000人であり、現在の指定一般避難所41施設では、避難者1人当たり3.5平方メートルの面積要件からして、この基準を満たすことが困難な状況であります。
スフィア基準を満たすために指定一般避難所を増設することは、その施設、人材、財源の確保が課題となり、現状においては困難でありますが、発災後は、被災状況や避難者数の把握に努め、避難者の分散化や、避難所の追認により、基準を満たす避難所運営をめざすこととしております。
今後は、国が検討を進める自治体への支援内容や他自治体の動向などを注視しながら、スフィア基準を満たす避難所の設置が、発災後できる限り速やかに行えるよう研究してまいります。
【質問者:金沢はるき】
ご回答ありがとうございました。言わずもがな、日本は、世界有数の災害発生国であります。近年では、頻発化、激甚化する風水害、そして発生が懸念されている大型のかつ長期の地震活動。避難所運営を行う基礎自治体として、本気の事前防災のための組織作りが必要であります。先月には、防災庁の設置準備室が発足されました。防災庁の設置により、「スフィア基準」を踏まえた、被災者の方々が安心、安全な環境下で生活ができる環境の整備、そしてその改善、また、発災後直後に、トイレ、キッチンカー、ベッド・風呂などの配備ができる官民連携の構築、被災地の情報を迅速かつ効率的に収集する防災DXの取り組みなど、今後の避難所運営の在り方のさらなるアップデートが期待されます。本市においても、官民の連携をより強め、例えば、物流や食事提供の知見のある民間事業者との協力体制の構築や、トイレカーやキッチンカーの登録制度の運用、ボランティアの方々が活動しやすい活動支援のための制度設計に関し、国の方針が進めば、基礎自治体である本市の取り組みがより求められるはずであります。人命最優先の上で、避難所環境のさらなる整備、さらなる改善のための方策をどこまでも追求していただくことを期待いたしまして、私からの質問を終わります。
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