柏原 すぐる ブログ

【視察報告】博多駅のまちづくりを横浜市にどう活かすか――「博多コネクティッド」と官民連携のエリ...

2026/8/17

こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

8月17日、横浜市会「未来のまちづくり推進特別委員会」の行政視察で、福岡市の博多駅周辺を訪れました。

今回のテーマは、「博多コネクティッド及び駅周辺のまちづくり」

博多まちづくり推進協議会から、実際の活動内容や組織・財源の仕組み、福岡市との連携、さらに博多駅周辺で進む建替えについて説明を受け、意見交換を行いました。

横浜市にも横浜駅をはじめ多くの駅がありますが、単に「博多で成功しているものを横浜でもやればいい」という話ではありません。

一方で、行政による都市政策と、民間・地域によるエリアマネジメントをどう結びつけるのかという点では、非常に参考になる視察でした。

217の企業・団体等が参加する「博多まちづくり推進協議会」

博多まちづくり推進協議会は、企業、地域の自治協議会、大学・学校、行政などが参加し、博多駅周辺のまちづくりを進めています。

2026年8月現在の会員数は217。JR九州をはじめ、鉄道・不動産・金融・商業などの企業だけでなく、地域や教育機関など幅広い主体が参加しています。

博多まちづくり推進協議会「会員一覧」

印象的だったのは、単に「イベントを開催する協議会」ではないことです。

にぎわいづくり、ウォーカブル、防犯・防災、清掃、緑化、交通対策、公共空間活用、建物の建替えまで、かなり広い範囲を「まちの運営」として体系的に扱っています。

2026年度の事業計画でも、「にぎわい」「ウォーカブル」「アイデンティティ」「イノベーション」「みどり・環境・健康」「安全・安心」という6つのテーマに加えて、「博多コネクティッド推進」を掲げています。

博多まちづくり推進協議会「事業計画」

イベント、清掃、交通、喫煙対策まで。「まちを使う」活動が幅広い

実際の活動も非常に具体的です。

博多駅前通りを使った「ハカタストリートバル」や「はかた駅前“どんたく”ストリート」、筑紫口側での「ハカタ イーストリート」、社会人の学びの場である「はかた大学」など、公共空間を積極的に使った取組が行われています。

一方で、華やかなイベントだけではありません。

毎月、企業などから多くの参加者が集まって博多駅周辺を清掃する「クリーンデイ」、フリンジパーキングによる都心部への自動車流入抑制、路上喫煙対策、植栽管理、防犯活動、まち歩きマップの作成など、日常的な「まちの管理」にも力を入れています。

クリーンデイは長期間継続されており、2026年7月には第344回を迎え、503人が参加したとのことです。

博多まちづくり推進協議会「クリーンデイ」

説明を聞いていると、個別の事業を点で実施しているというより、「博多駅周辺をどういう場所にしたいのか」というビジョンから逆算して、一つ一つの事業が組み立てられていることが特徴だと感じました。

民間企業が「人」を出してまちづくりを支える

もう一つ非常に興味深かったのが、事務局の体制です。

博多まちづくり推進協議会の事務局は、JR九州の開発部博多まちづくり課内に置かれています。

視察では、JR九州だけでなく複数の会員企業が社員を事務局活動に出しているとの説明がありました。

つまり、協議会がすべてのスタッフを独自に雇用しているのではなく、それぞれの企業に所属した人材が、企業の業務とエリアマネジメントの仕事を担っています。

これはかなり重要なポイントだと思います。

まちづくりには、都市計画、不動産、交通、商業、イベント、広報、地域調整など多くの専門性が必要です。

それを行政だけで抱えるのでも、協議会だけで人材を確保するのでもなく、地域に関係する企業そのものが人材を出すことで、専門性と実行力を確保しているわけです。

同時に、こうした仕組みは博多駅という大きな経済圏だから成立している面もあります。

会費だけに頼らない「まちづくりの財源」

持続的なエリアマネジメントでは、当然ながら財源も重要です。

協議会では会員からの会費や協賛金に加え、街路灯を活用したバナー広告、キッチンカー、まちづくり支援自動販売機、公開空地の活用などによって収益を確保し、その一部をまちづくりに還元しています。

例えば、イベントや広告、公共空間の活用そのものを「稼ぐ仕組み」にして、その収益を清掃や植栽、にぎわいづくりなどに再投資する。

行政から補助金を受けて事業を行うだけではなく、自分たちでまちを良くしながら、その活動から次のまちづくりの財源を生み出す考え方です。

さらに2026年7月には、新たに「一般社団法人まちづくり博多」が設立されました。

これまでの任意団体である協議会には、契約行為や事業上の責任などに限界があることから、協議会で方向性や合意形成を行い、法人格が必要となる事業については一般社団法人側で実施していく体制へ移行しようとしています。

一般社団法人まちづくり博多について

組織をつくること自体が目的ではなく、「実際に事業を行える組織」に変えていくという点も参考になりました。

福岡市の「博多コネクティッド」と民間のまちづくりを連動

そして、今回特に注目したのが福岡市の「博多コネクティッド」です。

対象は博多駅から半径約500メートル、約80ヘクタール。

福岡市は、交通基盤の整備とあわせて容積率などの規制を緩和し、古いビルから耐震性の高い先進的なビルへの建替え、歩行者ネットワークの拡充、博多旧市街との回遊性向上などを進めています。

福岡市「博多コネクティッド」

特に興味深いのは「博多コネクティッドボーナス」です。

単純に「もっと大きなビルを建ててもいい」という規制緩和ではありません。

回遊できる歩行者空間をつくること、イベントなどに使える広場を設けること、緑化を進めること、ユニバーサルデザインに配慮することなど、まち全体にプラスとなる取組を行う建物に対してインセンティブを与える仕組みになっています。

条件を満たすことで容積率緩和の拡大などを受けられ、制度には期限も設定されています。

期限を区切り、民間投資を促しながら、その投資を公共空間の改善にもつなげる。

ここは横浜市でも研究する価値があると感じました。

「行政の制度」と「地域のガイドライン」が別々に動いていない

博多まちづくり推進協議会では、「博多まちづくりガイドライン」を策定し、まちの将来像を民間側でも共有しています。

また、福岡市の「博多コネクティッド」が進む中で、協議会側でも建替えや公開空地、ウォーカブルなまちづくりについて継続的に議論しています。

福岡市は道路や駅前広場を整備する。

民間側は沿道の建物や公開空地を整備する。

まちづくり協議会は、地域全体の将来像を描き、企業や地権者をつなぎ、公共空間を使ってにぎわいをつくる。

それぞれが独立して事業を行うのではなく、行政の都市政策と、地域側のエリアマネジメントが同じ方向を向いていることが強みだと思います。

横浜市も「何もしていない」わけではない

では、横浜市はどうでしょうか。

横浜駅周辺では「エキサイトよこはま22」があり、その中に「エキサイトよこはまエリアマネジメント協議会(はまマネ)」があります。

鉄道事業者、地域の団体、横浜市などが参加し、安全・安心や社会実験などに取り組んでいます。

横浜市「エキサイトよこはま22・エリアマネジメント」

また、横浜駅西口では一般社団法人横浜西口エリアマネジメントが活動しています。

さらに横浜市全体としても、エリアマネジメント団体と市が計画を策定し、協定を締結して公開空地等を活用する仕組みがあります。

横浜市「エリアマネジメントの推進」

したがって、横浜市にエリアマネジメントの仕組みがないわけではありません。

今回の博多との比較で私が感じたのは、制度の有無というより、「どこまで体系化され、日常的なまちの運営まで踏み込んでいるか」という違いでした。

一方で、博多駅だからできることもある

もちろん、この仕組みをそのまま横浜市に持ってくればいい、という話でもありません。

博多駅は「九州の玄関口」です。

鉄道、新幹線、地下鉄、バスなどが集中し、大きな商業・オフィス需要があり、大手企業も多く集まっています。

今回、「博多駅以外の駅でも、JR九州が同じようなエリアマネジメントに関わっているのか」と伺いました。

説明では、少なくともJR九州として、博多駅周辺ほどの規模・体制でエリアマネジメントに深く関わっている駅は限られるとのことでした。

これは非常に大切な視点です。

横浜駅でできることと、鶴見駅をはじめとする市内の各駅でできることは当然異なります。

商圏も地価も利用者数も、地権者や企業の構成も違います。

博多の仕組みをそのままコピーして、すべての駅に大規模な協議会をつくることが答えではありません。

横浜市で参考にしたいこと

一方で、「仕組みの考え方」は大いに参考になります。

特に横浜市で考えていきたいのは、次の点です。

  1. 行政の都市政策と地域のまちづくりを連動させること
    道路、公園、駅前広場、民間開発を別々に考えるのではなく、地域としてどのようなまちを目指すのかを共有する。
  2. 規制緩和には、公共への還元をセットにすること
    容積率などのインセンティブを与えるのであれば、歩行者空間、広場、緑、防災、バリアフリーなど、市民にもメリットのある空間を生み出す。
  3. 期限を設定し、民間投資を動かすこと
    いつまでも利用できる制度ではなく、一定期間に投資判断を促す制度設計も一つの考え方です。
  4. 地域の規模に合わせたエリアマネジメントを考えること
    横浜駅のような巨大ターミナルと郊外部の駅では、必要な組織も事業も違います。郊外部では、駅前広場、空き店舗、交通、安全、子育てなど、その地域の課題に絞った小さなエリアマネジメントの方が現実的かもしれません。

「誰がまちをつくり、誰が育てていくのか」

今回の視察を通じて改めて感じたのは、建物や道路を新しくするだけでは、まちは完成しないということです。

イベントをする。
掃除をする。
植栽を管理する。
公共空間に椅子を置く。
人が歩きたくなる動線をつくる。
企業や地権者と将来の建替えを話し合う。
行政に制度改善を提案する。

こうした一つ一つを継続していく「人」と「組織」が必要です。

博多駅は九州の玄関口であり、横浜市の他の駅とは条件が大きく違います。

だからこそ、博多で行われている個別の施策だけを見るのではなく、行政の施策、民間投資、地域の将来像、公共空間活用、そして活動を支える人と財源を一つの仕組みとして組み立てていることを参考にしたいと思います。

横浜市でも、横浜駅のような都心部だけでなく、それぞれの駅・地域の特性に合わせて、「行政が整備して終わり」ではない、地域と民間が継続的にまちを育てる仕組みをどうつくることができるのか。

今回学んだ内容を、今後の横浜市のまちづくりの議論にもつなげていきたいと思います。

委員の柏原すぐる、坂井太。事務局を担うJR九州のご担当者からお話を伺いました。

隣接する明治公園の全景

博多まちづくりガイドラインも、事務局が策定の中心であることは驚きました。

※正式な報告書は別途横浜市HPに掲載されます。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

日本維新の会横浜市会議員団・無所属の会

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柏原 すぐる

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肩書 横浜市会議員 / 日本維新の会横浜市会議員団政調会副会長/地域スポーツ団体代表
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