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かいでん 和弘 ブログ

武雄市図書館の“陰” ~図書館どうする問題(3)~

2019/10/22

『長崎(佐賀)行ってきました報告(その4)』2019.10.22

 

「図書館どうする問題」
~~~目次(仮)~~~
(1)革命的!武雄市図書館!
(2)図書館で調べてみよう
(3)武雄市図書館の”陰” ←★ココ
(4)目黒区立図書館の今
(5)こんな図書館がいいな

 

さて、再び武雄市図書館の問題に戻ります。

この問題を巡っては、当時の市長がリコール(=解職請求)を受けていますし、非常に微妙な案件だということは分かっていましたが、なかなかに難しいですね。

図書館はそもそもどうあるべきか。市民のニーズはどこにあるのか。……こうした問いと向き合って考え出したら、図書館問題の底なし沼にハマっていきました~

今回は、私が直感で「素敵な場所」と感じていた、武雄市図書館の問題点を考えていきます。ただ、このブログの本旨は「目黒区の図書館をどうしようか」ということにあるので、主に4点にわたって軽く(?)触れる程度にとどめます。

 

問題点1 図書館の機能よりも空間演出を優先している

 

上の写真をご覧いただければと思いますが、本が手を伸ばしても届かないくらい高いところまで配置されています。上の方の本を読むにはわざわざ職員の方を呼ばないといけませんし、地震の時に突っ張り棒だけで本を支え切れるのか心配です。

また、この写真を拡大しますと…

上から2段、実はこれ、紙製のダミー本です。“本に囲まれた居心地のよい空間”を演出するために入れているんですね。確かに雰囲気はいいですよね。

でもここは民間の書店ではなく市の図書館です。図書館の書架は全部埋めるのではなく、後から新しい図書を補充できるようにスペースを空けておくべきと思いますし、このダミー本の購入費にも市の予算(税金)が充てられていると考えると「その分本物の資料購入費に充てた方が」と思ってしまいます(山口県周南市の蔦屋図書館では、3万5千冊のダミー本に152万円をかけていて、税金の使い道として良いかどうか議論になっています)

 

問題点2 資料を探し出すことが困難な独自分類

武雄市図書館はじめ蔦屋図書館では、日本全国で使われている日本十進分類法とは違った独自の分類(ライフスタイル分類)に基づいて本を配置しています。

しかしこれがどうやらおかしいぞ、という指摘が。例えばおなじく蔦屋が運営し、ライフスタイル分類を採用している海老名市立中央図書館では…

旅行ジャンルの中に『伊勢物語』や旧約聖書の『出エジプト記』のほか宮沢賢治の『やまなし』が分類されるなど予測不能な配架がなされたのです。

出典:「ツタヤ図書館」の“いま”-図書館友の会全国連絡会

ということに。(ちなみに村上春樹の『ノルウェイの森』も同じく旅行ジャンルだそうです。)また、同じ蔦屋図書館であっても例えば海老名市中央図書館と武雄市図書館のあいだでも分類法が微妙に違っているそうで、しかもその分類表は「企業秘密」ということで非公開。これも、物議を醸しました。

もともとこの“ライフスタイル分類”を始めたのは、十進分類法が分かりにくい、という理由からでした。例えば、釣りに関する本が「芸術」に分類されていたり、ペットに関する本が「産業」に分類されていたりというように。

しかし結果的に独自分類を始めたことで、余計分かりにくくなっている気がします(書店ならこの「本との思いがけない出会い」という配置はいいと思うんですけどね…)。そしてこの分類法、利用者だけでなく司書の方の業務にも支障をきたすのではとも指摘されています。

 

問題点3 数字の示す意味

昨年度は年間107万人(過去最高)を記録した武雄市図書館。しかし、この値は、図書館を利用せず書店&カフェだけ使う人も含んでいます(一つの建物に一体となっているため、分けてカウントできないのです。したがって実際の利用者はもっと少ないと思われます)。

図書館の指標としてむしろ着目すべきなのは、図書貸出利用数と図書貸出数。ただ来ただけじゃなくて、どれだけ本を借りる人がいて、何冊本が借りられたかという数字です。

この表を見ると、昨年度の図書貸出利用数、14万5千人というのは、実はオープン1年目と比べて2万2千人も減っているのがわかります(復調気味ですが)。そして図書貸出数も同じく減少傾向。過去最高の来館者数=「過去最高の利用数」ではなさそうです。

ただ、私としては、「カフェだけ使う」人が多くてもいいと思うんです。何回も通っていれば図書館が「親しみのある場所」になります。いざ何か調べものをする時に「そういえばいつも行っているカフェは図書館だったよな」と、図書館の本来的な利用にもつながるのではないでしょうか。

 

問題点4 書店とセットで運営する難しさ

先だって書いた通り、武雄市図書館は入り口付近が書店ゾーン、奥に進むと図書館ゾーンというように、2 in 1の施設になっています。 “図書館”と営利を追求する“書店”がいっしょくたになっているのが蔦屋図書館の特徴でもありますが、“書店”はあくまで営利を追求しないといけないため、図書館との共存には多くの課題があります。

 

・職員の方が書店と図書館の両方の職務を兼務するため、司書としての責務を十分に果たせない恐れがあります。

・人気が高い本やニーズが大きい新しい本は売り物の側に多く配置され、図書館に配置されるのは発行年度の古い本ばかりになるという事態が、海老名市で報告されています。

・武雄市の小学校で、児童に対して一斉にTカード(図書館利用カードと一体)の作成を促したことは、特定企業の囲い込みとも捉えられかねません。

 

またオープンに当たって、CCCの系列のネット新古書店からの書籍の大量購入が発覚しました。その中には、佐賀県の図書館なのに埼玉県のラーメンマップが混ざっていたり、古い試験問題集が多く選書されるなど、“在庫処理”疑惑も巻き起こりました。

その騒動を受け、同じく蔦屋図書館を導入している海老名市では、教育長自ら7,000冊を確認し、不適切な本を排除。今度は逆にそれが図書館の自由を脅かす行政による“検閲”にあたるのではないかという話まで……。いろいろ飛び火しました。

以上、改めて武雄市図書館について思うこと。

 

武雄市図書館、やっぱり魅力的な施設ですよ。私自身も現地で本能的に思いましたが、何度も行きたくなるような、何時間でもいたくなるような「居心地のいい空間」でした。武雄市という人口5万人に満たない市にもかかわらず、多くの人が集まる場になっていて、地域の拠点施設としては、抜群にうまくいったケースであると感じました。

ただ一方で、それはあくまで “地域の拠点”(人が集まる賑わいの中心地)としての成功で、“図書館”としての成功とは違うのかな、とも感じました。いろいろ問題点もありますし、改めて目黒区の図書館と比べてみても「目黒の方が良いな」と思うところは多いです。人のあふれたこの東京・目黒区において、武雄市図書館のような“外から人を呼び込む拠点施設”としての図書館が求められているかと考えると、どうやら違う気がします。

 

次回以降は「目黒区ではどうしようか」ということを書いていきます。まだ視察報告がすべて終わっていないのに、すでに次の視察が迫っている(木曜~)!!…ほかにも書きたいテーマはたくさんあるのに…

頑張ります!!長文失礼いたしました。

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