かいでん 和弘 ブログ

目黒区政のリーダー像を巡る議論

2024/3/25

 

こんにちは。30歳の目黒区議会議員、かいでん和弘です。

 

私はよく、区民の方や、区の職員、それから報道関係など様々な方から、目黒区政に対する次のような評価をお聞きします。

 

「目黒区は他の自治体で行っていないような目新しい取り組みや、時代に先駆けた挑戦をしない保守的な区政だ」

 

こういう趣旨のお話を本当に頻繁に頂きますし、私もそのように感じます。

 

20年もの間、区政運営の先頭に立ってこられた青木区長は、こうした世間の評価についてどのように受け止めているのか、議会で質しました。

 
 

青木英二区長の見解

 

次の目黒区長選挙にも挑戦する意向を示している現区長の発言ですので、回答の全文を掲載します。

 

区政には様々なご意見があるものと真摯に受け止めております。

 

現在、私は区長として5期20年目を迎えておりますが、これまで、一貫して区政運営の基本方針としてきたことは、安全・安心で安定した区政運営に努めることでございます。

 

この間、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナ感染症の流行、ウクライナでの紛争など、全国的に負の影響を与える大規模な危機的事象が発生しましたが、そのような危機的状況に迅速かつ柔軟に対応し、区民の皆様の安全・安心を第一に、その確保に努めてまいりました。区民の皆様の生活を守るためには、常に不測の事態に備え、安定した区政運営に努めることが最も重要であると考えております。

 

しかし、変化が著しい社会状況に対応するためには、新たな取組みも必要であることは認識しております。例えば、令和3年度には広報部門の管理職に民間経験のある職員を任用し、広報誌の全面リニューアルや全戸配布など情報発信の強化に努めております。

 

また、令和4年度にも民間経験のある職員を複数任用し、DXの推進を力強く進めているところです。令和5年度には区の広報物のデザインレベル向上のため、民間経験のある職員を2名任用いたしました。

 

新型コロナ対策では、23区ではトップクラスのスピードでのワクチン接種、その申し込みへのLINEの活用など先進的な取組みにもチャレンジしました。LINEの登録者数は18万人を超え、23区の中では突出して多いものとなっております。

 

令和5年度に行いました第47回目黒区世論調査では、目黒区に住み続けたいと答えた方は、95.6%となっており、これは、23区中2番目に高い数字で、目黒区の過去の世論調査と比較しても2番目に高い数字となっております。また、私が区長に就任した平成16年度以降は常に93%を超えております。この結果からも、総合行政としてみた場合、私の区政のかじ取りは正しいものであったと自負しております。

 

加えまして、5期20年にわたり区民の皆様から区政の運営を託されてこられたことは、この間、常に社会情勢を正しく見極め、皆様の安全・安心を第一に考えた施策を着実に実施してきたことを評価されたものであると認識しております。

 

ただし、このような結果につきましては、決して行政の力だけで成し得るものではなく、議会の皆様のご理解とご協力があったからこそのものであることは十分認識してございます。

 

ご指摘の世間の評価については真摯に耳を傾け、今後も安全・安心・安定した区政運営に重きを置きながらも、社会状況の変化を踏まえた新たな取組にもチャレンジし、区民の福祉向上に努めてまいりたいと存じます。

 

 

青木区政に対して思うこと

 

区長の答えのなかに、世論調査結果を引用した部分がありました。これを額面通り受け取れば、「区長の施政は評価されているのね」と思うかもしれませんが、私はこの部分、明確に異議ありです。今後のブログで取り上げますので、今回はそれ以外で私の感想を書いていきます。

 

私がこれまで区議会議員として区政に携わらせていただいた5年間、区の予算や施策を見ている中で、青木区政に別に何か大きな失政があったとは思いません。けれども同時に、施策のなかから区長の“思い”とか“熱意”を感じられたことが、正直一度もないというのが正直なところです。

 

毎年、並んでいる事業名を見ていて、提案した議員の顔や、成立へ向けて調整を尽力された職員さんの顔は浮かんでも、「これは区長が指示した肝いりの政策だろうな」と、区長の顔が浮かんだことは一度もありません。

 

それは結局、区長の政治姿勢として、「トップダウンの政治」というものを行ってこなかったからではないかと思われます。

 

 

上の画像は4年前の区長選の公報です。“やります”とされた政策は、確かに4年間で大きく前進したものが多い(受動喫煙対策など一部は不十分)ですが、これらは議員が指摘していたことや、結果論としてそうなったこと(目黒川の水質浄化に高濃度酸素溶解水を用いることになったのは、区長が旗を振ったわけではなく、科学的なシミュレーションの結果です)であり、このなかに青木区長がリーダーシップを発揮して訴えたことや、青木区長だからこそ実現できたといえる独自性のある政策は見受けられません。職員主導の提案を決裁するだけで区政運営ができるのなら、誰が区長になっても同じことができるのではないでしょうかね?

 

本来、リーダーに、街をこう変えていきたいという思いが強ければ強いほど、自然とトップダウンのかたちになっていくはずが、目黒区政においては、区長が描いたビジョンのもとに指示が出されていると感じたことが、私には少なくともありませんでした。

 

これからの激変の時代、現状維持はすなわち後退を意味します。私はこれからの時代にこそ、明確なビジョンのもとで職員をリードし、街をドラスティックに変えていくトップダウンの姿勢が必要だと思っています。

 

そこで次に、区長がトップダウン型の区政運営に対してどのように思っているのか聞きました。最初の答弁でも「安心安全で安定した区政運営に努める」ことを強調されていますし、リーダーの姿勢として望ましくないと否定的にとらえられているでしょうか……?回答は次の通りです。

 

 

トップダウンorボトムアップ

 

区長ですから全てトップダウンで指示をしております。それから、すべてトップダウンが良いという事では全くありません。気をつけないと独裁につながってしまいます。

 

トップダウンがいいのかどうか、私はいくつかの区長さんがすべてトップダウンで決めている区も知っています。しかしその時にそれがすべて正しいかどうかは相当吟味する必要がありますから、やはりボトムアップ(はじめ区長はボトアップと言い間違え、周囲に訂正される)も大事で、トップダウンとボトムアップをつないでやっていくということが区政の大事な事で、みんな私が「やれ」「やれ」「やれ」という事になれば、逆に言えば、職員は私に言われたことしかやらないという面も出てくるのではないかと思います。

 

最終的な責任は全て私が負っていますが、かといって、全て私がトップダウンでやるべきかという事については、若干、(かいでん)議員と見解が違うのではないかと思います。

 

私はなにも、「全てトップダウンで決めるべきだ」とは言っていないのですが、“独裁”というワードまで持ち出して、いいように二項対立に持ち込まれてしまいましたね。そして、区長は冒頭、「トップダウンでやっています」とおっしゃいますが、正直「?」です。おそらく議員をはじめ、目黒区政に関わったことのある方なら大方が同じ感想を抱かれるのではないでしょうか。

 

私の申し上げていたトップダウンというのは、職員からのお伺いや決裁願いよりも先に自ら決断し指示し、リーダーシップをもって職員を引っ張っていく、そんな区政運営のことであり、青木区長は、そのようなリーダーシップを発揮するタイプの政治手法を取っているとは思えません。

 

ただ一方で、「下手に挑戦をして失敗するのではなく、何もしないことによる安定性が重要なんだ」というご意見もあると思います。

 

あるいは職員の方の中には、「逆に職員がやりたいことをできて良い(←本当か?むしろトップから言われない限り面倒なチャレンジはしなくていいやとならないか?)」、「目黒区役所には青木区長着任以前からもともと新しいことに挑戦する風土は無かった」という意見もあるようです。

 

目黒区長選挙まであと1か月。皆さんは、どのような目黒区政を望まれますか?

 

《区政の最新情報はこちらから!》

 

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著者

かいでん 和弘

かいでん 和弘

肩書 めぐろの未来をつくる会(7人の第二会派)幹事長
党派・会派 無所属

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