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かいでん 和弘 ブログ

目黒区に津波は来る?

2022/10/1

 

こんにちは。28歳の目黒区議、かいでん和弘です。

 

タイトルをご覧になって、「海から離れた目黒区に、津波なんて来ないでしょ?」って思いませんでした? 果たして本当にそうなのか、考えてみます。

 

1分で解説

 

時間が無い方向けに動画を作りました(でもかなり内容を端折っているので、ブログ記事の方がおススメです)。

 

ふらつく区の見解

 

「目黒区に津波が来るかどうか」については、目黒区議会でも度々取り上げられてきたテーマです。区の見解はおおむね、次のようなものです。

 

 

「なんだ、やっぱり津波は来ないんだね」と思ったあなた!!

 

それが結論なら、わざわざこんなブログを書こうとは思いませんので(笑)、もう少しお待ちを!

 

実は目黒区役所は、基本的に「目黒区で津波被害はない」としつつも、たまにちょっと歯切れの悪い回答があるんです。例えば2019年には、当時の都市整備部長から次のような発言がなされています。

 

 

他にも、2013年には当時の防災課長からこんな発言が。

 

 

どうでしょう。津波被害はないですが、目黒川からの浸水被害があるそうですよ?「それって結局、津波被害があるって事じゃん!!」って思いませんか?(私は思いました)

 

そこで、このように区の見解をふらつかせるもととなっている、国の調査資料を見てみました。2013年に内閣府のもとに設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」による調査結果です。

 

内閣府HP「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」

 

この調査は南海トラフで「最大クラスの地震・津波」が起こった場合の浸水域を10mメッシュで推計したものですが、その報道資料のなかで確かに、目黒区では10ヘクタール未満の範囲において、1㎝~30㎝浸水する場所があるとされています。

 

内閣府HP「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」より「都府県別市町村別浸水面積一覧表

 

国と都での矛盾

 

一方、東京都が今年度発表した「首都直下地震等による東京の被害想定」の中では、目黒区内において津波が堤防を越えることはない(=津波被害は無い)とされています。両調査間で矛盾が生じている状況ですね。

 

東京都HP「首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)

 

で、このことについて、東京都に問い合わせたところ、都から国に確認していただくことになりました。

 

その結果……

 

国からは「当時の担当者がいないので詳細は分からない」と言われたとのこと(デスヨネー)で、都の担当の方からは「都の想定が最新の想定だと思っていただければ」とご返答頂きました(両調査では時期が9年違います)。

 

以上を踏まえて、改めて目黒区の見解を確認したところ、このような回答でした。

 

本年に発表された東京都防災会議による被害想定において、目黒区内の津波は、今のところ、市街地への被害がないということで確認しております。

この件については東京都にも問い合わせて確認をしたところで、津波が堤防を越えて市街地に浸水する想定はないということで、区の認識としては、平常時には、街なかへの浸水が発生する想定はありません。

 

平常時には「街なかへの浸水はない」と、明言いただきました。国の想定ではなく都の想定に従い、平常時において津波被害はないというのが、区としての結論のようです。

 

津波被害が無い≠津波が来ない

 

さて、ここからが本題です。

 

先にご紹介した東京都の最新の資料「首都直下地震等による東京の被害想定」では、目黒川の各地点に最大でどれくらいの高さの津波がさかのぼって来るかというデータが載っています。

 

東京都HP「首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)

 

この図の画素数に限界があるため、最大限拡大してもあまり判然としないのですが、

 

東京都HP「首都直下地震等による東京の被害想定(令和4年5月25日公表)」より矢印・凡例はかいでん追加
目黒川沿いにオレンジや綠色の点々が見えますが、都に確認したところ地図の精度上のエラーとのことで、津波があふれるわけでは無いそうです。ここでは川の色(青~水色系)にご注目ください。

 

この図によると、目黒川の品川区界から船入場のあたりまでは、最大で1.4m未満、それよりも上流、中目黒駅方面へは1.2m未満の津波がさかのぼるとされています。でも、堤防の方が高いため、川から津波があふれることはないのです。

 

船入場から中目黒駅方面を望む

 

ですから、津波が目黒区内に来ない訳では無いんです。確かに目黒川をさかのぼっては来るのですが、堤防の方が高く作られているので大丈夫というのが、正確な表現だと思います。

 

目黒川船入場の広場は一段低くなっていますが、1.4mの津波が来てもあふれないだけの高さはありそうです。それでも近寄らないのが吉。

 

目黒川を津波が遡る

 

だとすると、目黒区でも目黒川クリーンアップ大作戦いきもの発見隊等、区民の方が目黒川に入るイベントを行う事もありますし、また、川の浚渫(しゅんせつ・川底のヘドロを取り除く作業)など、事業者が川に入ることもあります。

 

ですから、イベントを行う前に、区と主催者の間で、「(当たり前のことですが)揺れを感じたら一刻も早く川を出ることの徹底」の確認と、大地震発生時には、固定系防災行政無線や生活安全パトロールカーを走らせて近隣住民の方に「川に近づかないでください」と放送するなど、区としても相応の心構えをしておく必要がありますよね。

 

区からは、

 

まさにご意見のとおりと存じます。

地震があった際には、川や海岸には近づかないことなど、テレビなどでも呼び掛けられているところです。区においても広報車や青パトもありますので、そういったことで取り組んでいく予定です。また、役所の中のイベントの担当職員や団体の代表者、役員、参加者等に向け、被害が起こりうることについては理解が深まるように取り組んでまいりたいと存じます。

 

と回答がありました。

 

他の河川は?

 

なお、区内には目黒川の他にも蛇崩(じゃくずれ)川、立会川、呑川、九品仏川等の川が流れていますが、これらのほとんどは暗渠化(あんきょか=川にふたをされて下水道の状態になっている)されていますので、津波がさかのぼり、あふれる心配はありません。

 

目黒区HP「歴史を訪ねて 目黒の川 1 目黒川」

 

唯一、呑川に関しては緑が丘3丁目のあたりで地上を流れている地点がありますが、実は東京都の資料では呑川についての推計データがないため、呑川をさかのぼる津波の具体的な高さは分かりません。

 

ただ、目黒区よりも海に近い大田区のハザードマップを見てみると、呑川の河口部では一部、津波被害が発生する地域がありますが、そのほかの沿川地域の大部分では、すでに大田区内の地点でも被害が想定されていないことが分かります。

 

大田区HP「大田区ハザードマップ(震災編)」

 

目黒区でも、呑川は川面から5m以上の高さの堤防がありますから、津波被害は基本的に無いと考えて良いと思います。

 

本当に津波被害はないのか?

 

話は目黒川に戻ります。

 

ここまでの内容は、あくまで「平常時」に津波が発生した場合、「目黒区内で津波被害は発生しない」ということでした。

 

一方で忘れてはならないのが、地震による津波が、他の災害と同時に起こった場合のコトです。例えば、大雨で目黒川の水位が上昇しているときや、高潮で水位が上がっているときに津波が起きたらどうだろう、という事です。先日も、台風14号が通過した直後の沖縄県に、台湾での地震による津波注意報が発令されましたよね。

 

https://www.youtube.com/watch?v=D2d1qqNMjuo

 

大雨時に水位が上がるのは言わずもがなですが、高潮も危険です。目黒区のハザードマップの裏面には、高潮の被害想定が書かれています。高潮が発生した場合、下目黒の一部地域が浸水する恐れがあるとされているんですね。

 

目黒区HP「目黒区水害ハザードマップ」

 

そのような、ただでさえ浸水する恐れがあるような川の水位が上昇している状況下で、地震による津波が発生した場合、どうなるのでしょうか。目黒川には最大1.4mの津波がさかのぼってくるわけですから、溢れてしまうのではないでしょうか?

 

 

都も注意を促す

 

東京都の資料でも、「大雨時の津波」や「高潮時の津波」となると、さすがに予測が困難で、数字での想定はされていません。

 

ただし、資料にはこんな記述が。

 

 

最近、大雨による目黒川の水位上昇が頻発していますから、決して無視できない想定ですよね。

 

 

“絶対”なんて、無い

 

私は、「津波と高潮が重なった際の詳細な被害想定をすべきだ」など主張するつもりはありません。区役所には、それよりは備えるべき優先順位の高い災害が他にあるからです。

 

ただそれでも、「目黒区で津波被害は発生しない」という認識に固執してはいけませんよね。区役所として「さまざまな条件が不運にも重なってしまった場合には被害が発生するかもしれない」という心づもりをしておくべきで、実際にそういう事態になった場合には、即時に沿川住民の方に避難指示を出す等の対応ができるよう対応を確認しておくことが必要だと思います。

 

最後に、このことについて区の認識を聞きました。

 

東京都によると、今回の被害想定では大雨による川の水位上昇時の津波被害までは想定していないため、いかなる場合でも区内には津波による浸水被害が想定されないわけではなく、特に大雨による増水や高潮の際には、津波の被害を区民に周知・啓発する必要があるかと存じます。

危機管理対策のあり方については、今回の新型コロナウイルスを契機として、これまでの自然災害を中心とした対応から、複合災害を想定した取組が求められているところです。

区としては、今後も複合災害を含め、様々な災害に対して、迅速かつ適切な対応ができる仕組みを構築するとともに、区民への適切な啓発に努めてまいりたいと思います。

 

目黒区では、基本的には「津波被害は無い」ですから、過度に心配になる必要はありません。ですが、防災に“絶対”という言葉が通用しないのもまた事実。皆さまの方でも、情報収集や高い場所の確認をするなど、万が一に備えておいてくださいね。

 

 

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著者

かいでん 和弘

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選挙 目黒区議会議員選挙 (2019/04/21) [当選] 2,035 票
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