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罰則法案に国会議員が反対しないのはなぜ?新型コロナに関する法改正が閣議決定…(解説編)

2021/1/22

こんにちは、

東京都議会議員(町田市選出) 

無所属 東京みらい おくざわ高広です。

 

本日、新型コロナに関する2つの法律が改正されることが閣議決定されました。

私たちの暮らしだけでなく、価値観や国のあり方について大きく関わることなので、3回に分けて丁寧に考えを述べていきたいと思います。第一回は【解説編】です。

1.法律のどこが変わるの?

改正される法律は、①新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)と②感染症法の2つです。

それぞれ、何が変わるのかを整理すると、

①特措法に関する主な変更点

・「まん延防止等重点措置」という新たな枠組みがつくられ、指定された地域や期間において、都道府県知事から時間短縮営業などの措置を要請、命令、公表できる。※これまでは命令ではなく指示。公表も緊急事態宣言中のみ。

・罰則が追加される。具体的には、

 ✔「まん延防止等重点措置」としての命令に違反した場合30万円以内の過料(罰金)。

 ✔「緊急事態措置」としての命令に違反した場合50万円以内の過料(罰金)。

 ✔上記の命令に必要な立入検査・報告・徴収を拒否した場合20万円以内の過料(罰金)。

・その他、臨時の医療施設や各種要請における事業者への財政支援、差別解消といったことも規定。

※日本経済新聞の記事より抜粋

 

②感染症法に関する主な変更点

・都道府県知事による「宿泊療養・自宅療養の協力要請」を新設(これまで法的な根拠が乏しかった)。

・都道府県知事による「食事の提供・日用品の支給等」「市町村長との連携」を努力義務に。

・都道府県知事による「宿泊施設の確保」を努力義務に。

「病状が重い者、重篤化するおそれのある者等」と「宿泊療養等の協力の求めに応じない者」に対する入院勧告・措置。※後者には入院費用の自己負担を求めることもできる。

入院措置に応じない場合又は入院先から逃げた場合の1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金

積極的疫学調査(陽性判明後の調査)について、正当な理由なく協力しない場合の 50 万円以下の罰金

※毎日新聞記事より抜粋

 

2.私たちの暮らしは何が変わるの?

これまでの各種要請や検査・調査、陽性判明時の入院や宿泊療養などのお願いに従っていた人にとっては、特に変わることはありません。これまでお願いベースで行ってきた要請等に法的な裏付けができるという程度です。

しかし、営業時間短縮などの事業者への要請に従わなかったり、陽性判明後の調査に協力しなかったり、入院や宿泊療養を拒否したりすると、罰則がつくことが大きなポイントです。

これまで「ゆるやかな法体系」のもとで、あくまでも「国民の協力」によって「弱い制約」のもとで感染拡大をおさえようとしてきたのが日本のスタンスでした。一方で、今回の法改正によって、罰則という「強い制約」が生まれ、「強制」的な対策ができるようになります。感染拡大をおさえるためには、事業者は人々が行動を変えることが必要なことは言うまでもありませんし、結果的には同じ変化が生まれるとしても、「協力」と「強制」では、大きな違いがあると考えるのは私だけでしょうか…

 

3.罰則は誰が決めるの?

まず、これまでに最も強力な対策として行われてきた「緊急事態宣言」においても罰則はありませんでした。※そのため、緊急事態宣言の発出について「国会の承認」などのブレーキ機能を必要としなかったものと考えられます。

今回の法改正によって、事業者については、「まん延防止等重点措置」や「緊急事態措置」の出た地域や期間において、都道府県知事の権限によって、罰則が出る可能性があります。なお、この地域や期間においては、国と都道府県との調整、あるいは専門家からの意見を聴くなどするのだとは思いますが、「国会の承認」を必要としません。また、入院の拒否等の個人への罰則については、都道府県知事の権限により、法施行後いつでも罰則が出る可能性があります。これまた議会等の承認を必要としません

罰則という「強い制約」をとれるようになるということは、つまり時の為政者(総理や知事)に対する「強い権限」をもたせることになります。このような法改正について、これまでの日本は抑制的であった(積極的に行わなかった)と認識しています。

記憶をたどると、春の緊急事態宣言中にも法改正の話があったと思いますが、その際は「感染収束後、つまり落ち着いて議論できるタイミングで法改正に臨む」といった見解を示していたはずです。こうした議論を今のような正常な思考がしにくい環境下(危機的状況)で行うことは適切ではないと考えるものです。

 

4.もう決まってしまったの?

感染拡大をおさえる目的なら罰則くらいあってもいいのでは?と考える人が増えているのも事実です。

例えば読売新聞の調査(2021/1/17)によると、事業者への罰則については「反対」が52%で、「賛成」の38%を上回るものの、入院拒否等への罰則については「賛成」が68%、「反対」27%という状況で、一定程度罰則を受け入れていることを表しています。

しかし、これまで書いてきたことを読み、あるいは、罰則が自分の身に降りかかることを想像したときに、もう決まってしまったの?もう変えられないの?と思う方もいるかと思います。

今回、法改正が閣議決定したわけですが、そもそも国会でも議論されていないじゃないかと思った方もいるかと思います。確かに閣議決定は、あくまでも内閣によって法律案が承認されたに過ぎませんが、与党が多数となる現在の国会において、閣議決定された意味は大きく、罰則規定が覆ることはまず無いと考えたほうがいいと思います。

一方で、これから国会での審議がなされる中で、必要な修正がなされる可能性は大いにあります。しかし、日本共産党以外は罰則は致し方ないと考えているとの報道も出ていることから、どのような歯止め機能を設けるか、制約を与えることから生じる影響への補償をどうするのか、あるいは講じた措置が誤りだった場合の救済措置をどのようにするのか、といった論点について注目し、意見をしていくことは国民全員が考えるべきことなのではないでしょうか。

 

次回は、【課題編】として、法改正の問題点について書いていきます。

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おくざわ 高広

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