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CEO詐欺が映し出す「従う社会」の脆さ――福島県民が主体性を取り戻すために

2026/1/8

このような詐欺が発生してきています。

福島県内で、社長や役員を装って従業員に現金振り込みや機密情報の送信を指示する「CEO詐欺」メールが確認され、県内の地銀や県警が注意を呼びかけているとのことです。

そのメール、本当に社長? 従業員への指示装う 現金振り込みや機密送信 福島県内で確認

 

CEO詐欺が成立する背景には、権威に従うことを疑わない社会構造があります。
これは単なるサイバー犯罪や巧妙なIT詐欺の問題ではありません。
むしろ、人の心理と組織文化、そして地域社会が長年抱えてきた構造的な弱点を突いたものです。


CEO詐欺は、企業の社長や役員になりすまし、従業員をだまして金銭や機密情報を引き出す詐欺です。高度なIT技術よりも、人の心理や職場の慣習を巧みに利用する点が特徴です。

実在する社長・役員名を使用
 実際に存在する社長や役員の名前を差出人に使い、本物の指示であるかのように装います。メールアドレスも、一見すると本物に近いものが使われます。

緊急性を強調する文面
 「至急」「今すぐ対応してほしい」「戻ったら説明する」など、時間的余裕を与えない表現で、冷静な判断や社内確認をさせないようにします。

例外的な対応を求める
 「今回は特別」「手続きは後でいい」と言って、通常の承認フローやチェック体制を意図的に外させます。

送金や情報提供を直接指示
 現金の振り込み、電子マネーの購入、取引先情報や社内機密データの送信など、具体的な行動を指示します。

連絡手段を限定・誘導
 電話確認を避けさせ、メールやSNS、チャットアプリだけでやり取りを続けさせるケースもあります。最近では、SNSグループに招待するためのQRコードを送らせる手口も確認されています。

段階的に要求をエスカレート
 最初は簡単な返信や確認から始め、信用させた上で、最終的に金銭や重要情報を要求します。

この手口の核心は、「上司の指示には従うもの」「緊急時は確認を省く」という心理を突く点にあります。そのため、個人の注意だけでなく、必ず複数確認を行う組織ルールの徹底が重要とされています。

部下を怒鳴りつけている上司のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

■ CEO詐欺は「技術」ではなく「文化」を狙う

CEO詐欺の多くは、決して高度なハッキング技術を使っているわけではありません。
使われるのは、

実在する社長や役員の名前

「至急」「戻ったら説明する」といった緊急性を強調する言葉

通常の確認手続きを省かせる心理的圧迫

これらはすべて、「上からの指示は疑わない」「今は従うしかない」という思考を前提に成立しています。

つまり狙われているのは、システムの脆弱性ではなく、人と組織の在り方です。

■ 福島という地域が抱えてきた構造

福島は、国策や大企業に従うことを長年求められてきた地域でもあります。
原子力政策をはじめ、国が決め、企業が進め、地域は受け入れる――
その構図の中で、「疑問を持つこと」「確認を求めること」は、時に「空気を読まない行為」とされてきました。

原発事故後も、

「復興のためだから」

「今は我慢の時だ」

「専門家や国が言うのだから」

こうした言葉が繰り返され、異議や確認は抑え込まれがちでした。

福島第一原発のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

その積み重ねが、
「上の指示を確認する」という当たり前の行為を、心理的に困難なものにしてきた
という側面は否定できないと思います。

■ 「従順さ」は美徳か、それとも弱点か

日本社会では、従順さや真面目さが美徳とされてきました。
福島の人々は特に、その傾向が強いと言われることがあります。

しかしCEO詐欺は、その善意や誠実さを、外部から冷酷に利用します。
従順であることが、そのままリスクになる現実が、すでに突きつけられているのです。

ここで問われるべきなのは、
「だまされた人が悪いのか」
という話ではありません。

そうした判断を個人に押し付ける組織や社会構造こそが問題なのです。

■ 詐欺対策は「主体性」の回復から始まる

詐欺対策というと、
「注意しましょう」「気をつけましょう」
という個人責任論に流れがちです。

しかし本当に必要なのは、

●社長名義でも必ず確認してよいというルール

●確認しても叱責されない職場の空気

●「従わない判断」を評価する文化

です。

これは単なる防犯対策ではありません。
地域や組織が主体性を取り戻せるかどうかの問題です。

■ 問われているのは「誰の判断で生きるのか」

CEO詐欺は、一過性の犯罪では終わらないでしょう。
権威に依存し、判断を委ねる社会である限り、形を変えて繰り返されます。

だからこそ今、私たちは問われています。

誰の言葉を信じるのか

誰の責任で判断するのか

黙って従う社会で生き続けるのか

詐欺対策とは、防犯であると同時に、
福島県民が「自分の頭で考え、確認し、判断する地域」へ変われるかどうかの試金石なのだと思います。

自信満々の男の子のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや


県政広報テレビ番組(2026年1月放送予定) 

 今月の県政広報テレビ番組の放送予定。


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✍️ 大坂佳巨(おおさか よしきよ)                      
👉 プロフィールページはこちら

 フリーランスや個人事業主として働く中で、  
「社会保障がこの働き方に合っていない」と感じたことはありませんか。

現在、雇用でも自己責任でもない“中間的な支え方”について考えるため、  
社会保障や働き方に関する意見・関心の確認を行っています。

雇用や加入を募集するものではありません。  
制度をどう見直すべきか、当事者の声を聞かせてください。

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著者

おおさか 佳巨

おおさか 佳巨

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肩書 土木技術者・元国務大臣秘書
党派・会派 無所属
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