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青木 たかし ブログ

松本市が目指す中核市とは何か?具体的なメリット・課題と、なぜ今、移行しなければならないのか。

2018/10/24

こんばんは、最年少松本市議会議員の青木たかしです。

9月議会開会初日、議員協議会が開かれ、松本市の中核市移行を当初より1年遅らせて、移行期日を2021年4月1日とする方針が了承されました。本記事で、中核市についての説明と、今後のことについて、次の目次に沿って書いていきたいと思います。

 

目次

1,そもそも中核市って何?

2,中核市になると何ができて、どんなメリットがあるの?

3,中核市になることによるデメリットは?

4,これだけの課題があるのに、どうして今、移行しないといけないの?

5,今後注目すべき課題は?

 

      画像は9月4日付市民タイムスより

 

1,そもそも中核市って何?

「松本市は中核市に移行するよ」ということはこれまでも新聞等で報じられてきましたが、「中核市に移行すると何が起きるの?」「生活にどんな影響があるの?」「そもそも中核市って一体何なの?」といったことが、まだまだ市民の皆さんに伝わっていないのが現状です。

まず、この中核市が何なのかということを説明すると、横浜市や福岡市が「政令指定都市」と呼ばれるのはよく耳にすると思いますが、中核市とは、この「政令指定都市」の次の規模として並ぶ、大都市制度の一つです。

かつて、中核市になるためには「人口30万人以上」が必要で、その下の都市規模として「特例市」「一般市」があり、約24万人の人口を擁する松本市は、これまで「特例市」に属していました。

しかし、2015年の法改正によって、「特例市」制度が廃止されて、松本市は「一般市」(経過措置として施行時特例市)となりました。その代わりに、中核市になるための条件が「人口20万人以上」に緩和されることとなり、人口24万人の松本市は中核市を目指せるようになったという経過があります。

ちなみに、県内では、長野市が唯一中核市となっています。

 

2,中核市になると何ができて、どんなメリットがあるの?

中核市に移行すると、主に福祉・保健・環境・都市計画に関する分野で、さまざまな事務権限が長野県から松本市に移されます。その権限の数は2,300を超えるのですが、それによって、一層効率的かつ市民に身近な行政サービスの展開ができ、独自の保健福祉事業を実施することができると言われています。具体的には、

  • 保健所と保健センターの業務を一体化することで、健康福祉サービスの質を高めることができる
  • 身体障害者手帳の交付をワンストップで行うことで、早くて便利な市民サービスを提供できる
  • 産業廃棄物に関する指導権限を強化することで、地域の実情に合わせた施策が展開できる

などといったメリットが挙げられてきました。しかし、これだけ聞いてもそのメリットはイメージしづらいもので、議会でもその詳細の説明が求められてきました。そこで、今回の議員協議会では、次のような具体例があわせて紹介されています。

  • 子どもや若者を取り巻いている「虐待」・「発達障害」・「ひきこもり」・「ニート」といった課題に対して、相談機能や依存症対策といった精神保健福祉に関する県の権限を持って対策をすれば、より市としての取り組みを強化できる
  • 民間保育所、認定こども園で保育に対する苦情があった際、保育指導担当が聞き取って指導をしているが、最終的な権限は県が持っているため、県が動かないと最終調整できないというケースも実際に出ている。中核市になることで、児童福祉施設の指導監査を市としてできるようになるため、住民ニーズを細やかに反映できるようになる

こういったことが、中核市になることで期待できる市民サービスの向上であると説明されました。また、直接的な「市民サービスの向上」とは異なりますが、

  • 長野市と同じ中核市となることで、都市としてのイメージアップにつながる
  • 9月時点で54の都市が中核市であり、今後さらに10以上の都市が中核市へ移行する予定となっている。全国におよそ1700ある一般市の内の一つであるのか、70ある中核市の内の一つであるのかは、自治体として、県を介さない「国に対しての発言力」という点で大きな違いがある
  • 中核市同士の横の連携・情報交換が可能となる

といったこともメリットとして挙げられており、松本市が、主体的なまちづくりと行政運営ができるようになることが、中核市を目指す大きな目的であることが説明されました。

 

3,中核市になることによるデメリットは?

一方、中核市に移行することによって、松本市は保健所や食肉衛生検査所を設置しなければならなくなります。そのためには獣医師や薬剤師などの専門職を新たに確保する必要がありますが、中核市に移行した別の自治体や、長野県の事例を見ると、この人材確保に苦労した例が多く見られます

これら専門職を含め、移行に伴って、職員は新たに約90人増員となる見込みで、財政への影響としては、交付税措置を踏まえても、初期経費が15億7730万円、毎年の経費が1億2230万円かかる見込みとされています。

そのため、人材確保をはじめとした諸課題をどうやって解決していくのかということと共に、「財政支出を伴ってまで中核市移行のメリットは一体何なのか」を市民に説明することが市には求められています。

そこで、冒頭に書いたとおり、松本市は課題解決のため、当初の移行予定を1年遅らせ、人員確保や予算措置に着実に取り組むこととなり、また、中核市推進室を10月1日に設置し、具体的な対応を検討する体制を整えることになりました。

 

4,これだけの課題があるのに、どうして今、移行しないといけないの?

協議会の中、中核市移行の目的に関する質問への答弁で、次のような説明がありました。

市民に最も身近な基礎自治体が、県を介さず国に直接働きかけたり、県の許認可を待たずに地域課題に対応する等、市として主体的な行政運営ができるようになるためには、周辺も含め、自治体の体力がある今のうちに、できる限り早く移行することが重要と考えている

(9月3日議員協議会より)

それぞれの自治体にまだ余力があるうちに、将来の少子高齢化・人口減少による様々な課題に備えたいということになります。

 

5,今後注目すべき課題は?

中核市移行を遅らせることとなった「専門職の人材確保」の他にも、まだまだ課題は残っています。まず、大きな課題のひとつは、保健所のあり方についてです。

今回の協議会の中では、保健所を市が単独設置する上、まずは合同庁舎内に設置した後、2025年に予定している市役所建て替えに合わせて、新庁舎内も視野に二段階で設置をする方針が明らかとなりました。

これは、保健所を独自で持つことによって、独自の健康福祉施策を展開するためとされています。中核市となって主体的なまちづくりを行うためには、保健所も自前で設置・運営することは原則的には必然で、「新しい形の保健所像」を実現するために、費用をかけてでも単独設置するとのことでした。市長は、「日本のモデルを目指す」とも述べています。

しかし、そこで言及されている「独自施策」の具体像とは一体どういったものなのか、これまで議会から何度も質されているものの、その内容が9月時点でも明示されていません。

8月に島根県松江市を視察してきましたが、そこでは、中核市移行に際して、県と保健所を共同設置するという手法を取りました。これによって、「人材確保」をはじめとする移行初期の高いハードルをクリアすることを目指したようです。イメージとしては、スムーズに中核市に移行できるようにするための「ソフト・ランディング」的手法であると感じました。

松本市が共同設置ではなく、単独設置を選択するというのであれば、そのことで発生する諸課題と経費をどう解決していくのか、そのメリットもあわせて、市民に理解してもらえるイメージを市は示さなければなりません

次に、食肉公社の今後のあり方も、中核市を目指す松本市に大きな影響を及ぼします。

市内の島内には食肉処理施設がありますが、中核市となった場合、これまで県で行っていた食肉衛生検査業務を市が行うこととなり、それに伴って獣医師などを市で採用しなければならなくなります。

しかし、この12月をめどに、長野県食肉公社が市内に将来的に残るかどうか、その方針が示されることとなっています。それによって、食肉衛生検査所を市で設置するか否かが決まるため、その方針がどうなるか注視する必要があるのです。

食肉公社あり方検討 畜産振興へ12月に方向性 | 政治・経済 | 株式会社市民タイムス https://www.shimintimes.co.jp/news/2018/07/post-1153.php

また、当初期待できる効果として据えていた「連携中枢都市圏の形成」についても、今は検討していないと明言され、今後の方向性は白紙となっています。

そんな中で、現時点における最も大きな課題は、多くの市民の方がまだ中核市移行のことを知らない、あるいは関心がないという状況です。

9月補正予算では、12月をめどに中核市移行の市民説明をするためのパンフレットが作成されることとなっており、今後市民説明会も開催されることとなっていますが、これまで書いてきたような課題やメリット・デメリット等について、市民への丁寧な説明が求められます。

議員協議会の中では移行に伴う細かなことが議論されなかったため、今後の議会ではこれらの点の精査をしていくこととして、少子高齢・人口減少社会を迎える中、どうすることが松本市の将来のためになるのか、慎重に考えていきたいと思います。

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