2024/9/13
今日は総務常任委員会。請願第9号「阪神芦屋駅バス停周辺でバス利用者と歩行者(自転車)の安全を求める請願書」についての審査を行いました。
請願の趣旨について大いに賛同できるものだったため、紹介議員になっています。審査の結論としては、[請願事項]の2だけを採択する一部採択という結果になりました。
請願の話を伺った際、議員も事務局も「道路の話だから建設公営企業常任委員会が所管だな」と思いました。市民の多くもそう思うと思います。
しかし芦屋市によると、当該地は公道ではなく、芦屋市の敷地内に設けられた通路という位置づけだそうです。いわゆる私道と同じです。そして市は「道路管理者」としての担当ではなく「市有地管理者」という位置づけで関わっているとのこと。道路を所管する道路・公園課ではなく、市有地を所管する総務課の担当となり、対象となる委員会も建設公営企業常任委員会ではなく総務常任委員会となりました。
敷地内通路ということなので、私道と同じく道路交通法の適用除外地域となります。これがまたモヤモヤした話に繋がります。
今年の4月1日より、阪神芦屋駅駅前バス停に置かれていた2脚のベンチが撤去されました。その理由は、複数の路線が混在している停留所において、バス待ち客が一列に並んでいるために広がってしまっているなど、交通安全上の問題があったからとのことです。
市と阪急バスは、今のように行き先ごとに並んでもらうように対策する必要があると協議しました。その協議の中で、ベンチの存在が邪魔になったので撤去したということのようです。
しかし、同バス停は電車利用客が利用することも多く、待ち時間が長くなりがちです。高齢者や配慮を要する方、妊婦など、ベンチに座って待ちたいと思う人たちにとって、ベンチが撤去されると非常に困ります。
なので、請願者の団体を中心として、ベンチ復活を求める署名を実施。1245筆を集めて市と阪急バスにベンチ復活を要望しました。
結果として、阪急バスによって1脚のベンチを「優先ベンチ」と位置付けて設置してくれることになっています。
ただ、1脚のベンチで座れる人数は3名。無論、これが2脚になったとしても6人です。バス利用者のうちの全てのベンチを必要とする人に利用してもらうのは難しいと思うものの、せめて現状復旧は求めたいということで請願を検討されました。
請願者は、元々はベンチを復活してほしいという思いで署名を行われました。署名を行うにあたり、現地を見たりその他の停留所を見たりする中で、当該エリアは自転車と歩行者、バス待ち客が交錯する形になっており、非常に危険。ベンチの設置のみならず、そもそもの危険を解消しなければならないという思いに至ったとのこと。
市として、自転車は押してくださいと啓発していることは知っているものの、実情としてはほとんどの人が自転車は押さずに、歩行者等の横を猛スピードですり抜けている状況が見られます。何とかしてほしいとの思いで請願項目として加えられたという背景があります。
ちょっと複雑な経緯がありますので、解説しておきたいと思います。
質疑が一通り終わった後、公明党の田原委員より「請願事項2だけを採択する一部採択を求める動議」が出されました。芦屋市議会請願・陳情取扱要綱第8条第4項に定められているとおり、全会一致が成り立つ場合に限り、本動議は認められます。
うちの会派は、全部採択を求めて紹介議員となっています。なので本来であれば、一部の請願事項が棄却されてしまう本動議には反対すべき立場です。
しかし、動議に対して賛成しました。というのも、この動議を不成立にした場合、議案が否決される可能性が高いと考えたためです。理想は2つの請願事項両方を採択してもらうことではありますが、ゼロになってしまうよりは半分でも採択されたほうが良いと考えました。
会派としては一貫性のない対応のように見えると思いますが、請願者を最大限慮った結果の判断ですので、ご理解いただければと思います。
請願事項1についても大いに賛同できる内容だったため、正直なところ紹介議員としては残念ですが、半分でも採択されたこと自体はまだ良かったと思いたいと思います。
請願には、以下のように具体的な方策が記されています。
答弁で何度も伝えましたが、これらは具体的なことではありますが、例えばの話です。請願者は当該の方策を実現してほしいと請願しているのではなく、阪神芦屋駅駅前バス停付近の道を安全に利用できるようにしてほしいと請願しています。
当該地域では、特に朝の通勤・通学の時間帯において歩行者やバス待ちの人たちの横を自転車が猛スピードですり抜けていく状況が見られます。
自転車ドライバーとしては、当たらないように避けてるよって言うと思いますが、後ろから来てすぐ横をすり抜けられると誰でも少なからずびっくりします。びっくりして、自転車の動線の方に動いてしまうことだってあるかもしれません。歩行者、バス待ち客、自転車が交錯している現在の状況は、安全とは到底言い難い状況です。
こうした状況を改善してくれるのであれば、どういう対策でも良いんです。
ですが、例示として挙げている個々の方策の実現性や詳細な確認を行う質問が何度も出されました。
また、芦屋市としては「自転車は押して歩いてください」というような看板を設置している。もう対策してるじゃないかというような質問もありました。
その看板によって、状況が改善されているのであればそれでいいですが、今現在、その看板はほとんど守られずに歩行者やバス待ちの人が怖い思いをしている訳です。だから何とかしてほしいという請願が出されています。
普段議員は、行政に対して「今の施策ではうまくいってないじゃないか。どうすれば改善されるのか」と提起されることも多いです。それと同じことだと思います。いずれにしても、市としては改善のために更に検討を重ねる必要があります。その検討をしてくれという趣旨の請願でした。
当該地は道路交通法の適用外のエリアであるため、芦屋市が管理者としてルールを設ける必要があります。当局の答弁では「市としては自転車を押して歩くことを励行しているため、当該道で自転車に乗ってはいけない」というような発言がありました。
それを受けて、請願項目にある「自転車がスピードを落とすか~というような方策」「自転車専用レーンを設ける」というところは現状と違ってるのではないか?自転車を乗っても良いという話になってしまうのではないか?というような話がありました。
繰り返しになりますが、請願者は別に請願書に挙げられている対策をやってほしいと固執しているのではなく、それも含めて検討して、より実効性の高い対策を講じてください。それによって、市民の安全を担保してくださいという趣旨で請願を出しています。
例えば、降りないまでも足を着いた状態で漕がずに自転車を進めている状態。この乗り方はスピードはさほど出ませんし、スピードが出ていないが故に急停止もできます。
ここの道は、道路交通法で「原則として、自転車(軽車両)は歩道を走行してはならない」と決められているのではなく、芦屋市が安全管理上、自転車は押してほしいと定めている場所です。危険を伴わない形であれば、進み方について厳格な対応はなくても良いと思います。どうして杓子定規的な話になってしまうのか。
請願は、あくまで市民の願いから始まるものです。「〇〇という手立てを講じてほしい」であったり、「〇〇という補助制度を設けてほしい」などという直接的なことが願意であれば、実現可能性というのが判断の一つの基準になることは分かります。
が、今回の場合は方策に固執するものではなく、あくまで当該地における安全を確保してほしいということに主眼を置いた請願です。現状でも市は対応しているが、それでは不十分。今の対策を更に推し進めるにせよ、新しい切り口で対策するにせよ、更に自転車対策を考えてくださいという趣旨です。行政として、自転車対策はやらなければならないことですし、趣旨として求めておられる交通弱者たる歩行者の安全の確保は何も実現困難な夢物語ではありません。
委員会で委員が言われていたように、文面ももちろん大事です。ですが今回のケースは文面から見ても、特定の方策を実施してほしいという趣旨でないことは明らかです。なぜ枝の方を見てしまうのか。請願というのは重たいものではありますし、採択すると議会の責任があるのは分かります。でも市民が勇気を出して申し出てくれているものですから、もう少し真摯に寄り添う姿勢も必要だろうと思います。
結果として、一部でも採択していただいたことは感謝します。ですが、紹介議員としては、もう少し検討の余地はなかったのかなと思うところでもあります。
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