2022/9/17
令和4年9月定例会に当たり、通告に基づき、人工透析患者の環境整備についてと出生数維持と20代の転出についての2点を質問します。
1、人工透析患者の環境整備について。人工透析の原因第1位は糖尿病腎症、次いで腎硬化症、慢性糸球体腎炎となっており、原因不明も一定数見られます。腎臓はとても大切な臓器で、水分と毒素を振り分けて体内を浄化する役目があるため、腎機能の悪化は様々な病気を引き起こします。すぐに透析が必要になるわけではなく、腎機能の悪化の結果必要となるものです。まさに見附市が目指す健康寿命を損なう腎臓病ですが、全国には日本腎臓病協会もあり、腎臓病対策に力を注いでいます。防ぐには早期発見が大切で、腎臓病療養指導士制度も立ち上がり、看護師、管理栄養士、薬剤師を資格対象としました。
見附市では、現在身体障害者手帳の腎機能障害の方で人工透析を受けておられる方が106名おられます。しかし、見附市内には人工透析が受けられる病院がありません。見附市立病院では、人工透析患者の要望があることから、将来人工透析を担当してもらえる専門医を募集して尽力してきました。しかし、まだ実現していないことから、患者さんたちは市外の病院まで通院しているのが現状です。
(1)、市立病院も医師業界最大級の掲載求人数と言われる求人サイトなどに人工透析専門員募集のため掲載等、尽力しておられますが、人工透析を行う環境整備について近年の現状と課題を数点伺います。
ア、求人サイトを見て、実際全国から医師の反応はあるのか、求人サイトの経費は年間どのぐらいか。
イ、現状として何が一番の課題か。
ウ、今後の見通しについて。
エ、仮に見附市立病院に人工透析を行える環境整備が整った場合、経営改善の一つの要素となると考えているのか。
(2)、全国の人工透析患者数は約33万人と言われ、1人当たりの医療費は1回当たり約3万円、人によっては年間400万円から600万円と言われております。(保険適用、様々な医療費助成制度あり)早期発見、早期治療が大切と言われており、進行すると元に戻せないのが腎臓です。啓発活動など地域社会が担える分野も多いとされておりますが、見附市としてどのような取組をしているか、今後の展望もお聞かせください。
2、見附市は人工透析を受けられる病院がないことから、人工透析を受けるために定期的に市外に通院をしている方を対象に助成制度を市の単独予算で設けています。令和3年度見附市の保健と福祉より、福祉タクシー助成制度、自家用車利用通院助成事業、福祉デマンドタクシー補助事業、いずれも市単独予算でやっております。この助成事業や補助事業について数点質問いたします。
(1)、見附市民の人工透析を受けられている方々が高齢化しているとのお声をいただきました。介助がないと車の乗り降りができない方はデマンドタクシーに乗れないため、そこが問題ではないかとのご指摘があります。年齢層の内訳をお伺いいたします。
(2)、当初高額だった治療により、経済的負担から治療を諦める患者さんもいたそうです。多くの患者さんたちが全国各地で患者会をつくり、国や行政に働きかけて保険適用になったり、自治体の補助事業が実現してきたと伺いました。この補助事業を見附市の単独予算で行っていることは大変ありがたいことですし、身体障害者手帳をお持ちの方々が既に税の軽減等をされていることも承知しております。見附市においては、制度ができた時点から補助率の見直しをしたことは過去にあったのかお伺いします。したとすればどの部分かも伺います。
(3)、年齢構成や社会情勢に考慮して、再度この補助制度の見直し、拡充が必要と考えますが、それに当たり課題を含めて見附市のお考えをお聞かせください。
2、出生数維持と20代の転出について。1、見附市では現在第5次総合計画後期計画に基づき市政が運営されています。令和3年度実績の進捗状況評価では、新型コロナウイルスの影響を受けたものを除き、進捗状況が下降となった項目は3項目です。その中で、より最優先に対応していかなければならないと考える2項目、出生数の維持と20代の転出についての具体的な取組、対策を伺います。
(1)、令和3年度目標出生数250人、実績値は224人でした。そもそも15歳から49歳の女性の人口が減っております。これに対し、見附市は安心して妊娠、出産に臨むための経済的支援、各種健診体制の維持を掲げております。それに対して数点質問します。
ア、出産一時金は42万円ですが、実際の出産費用がどのぐらいで、明細としてどのような内容のものが費用として病院に支払っているか。例えば新生児管理料、新生児スクリーニング、食事代など細かな内容というのは市としては把握しておられるのか。
イ、把握しているとすると、まだ支援できる項目はないか。把握していないとすれば、今後実際に出産したご家庭からの明細を調査し、具体的な支援をさらに考えていくことが必要かと考えますが、お考えをお聞かせください。
(2)、20代の職業理由による転出が顕著であることから、働く場の創出、市内産業の活性化及びPRの強化を掲げております。一方で、30代は住宅理由の転入は増加とのことです。働く場の確保のためには、現在の見附市内企業への支援と同時に企業誘致もさらに注力すべきものと考えております。
ア、委員会でも以前申し上げました関連企業を企業側が自ら声がけして連れてきた場合、紹介する側も紹介を受けて進出した側も両者に恩恵がいくような減税や補助金上乗せなど、具体的な仕組みづくりも今後見附市全体の産業を盛り上げるためには必要かと考えております。企業誘致の担当職員の方の現在の業務内容も含め、現状と今後の展望をお聞かせください。
イ、現在の産業団地進出企業と見附市の連携について現在の具体的な取組をお聞かせください。
見附市稲田市長
渡辺議員の人工透析患者を減らすための取組についての質問の部分につきましてお答えさせていただきます。
人工透析が必要な状況になった場合の影響についてですが、長期間継続した治療が必要となるなど、ご本人やご家族の日常生活に大きな影響を及ぼします。また、透析にかかる医療費は高額なことから、透析患者の増加は医療費の増加につながり、市財政や保険財政にも大きな影響がございます。このため、市が目指す誰もが健やかで幸せに暮らせるまち、スマートウエルネスみつけを実現していくためにも、人工透析が必要になった方への環境整備とともに、人工透析に至る方を一人でも減らしていくことは重要な課題だというふうに考えております。
人工透析に至る背景としましては、腎臓疾患を要因とする場合もございますが、糖尿病や高血圧等の生活習慣病の重症化を要因として発症することが多いことから、市では生活習慣病の早期発見、発症、重症化予防に関する様々な取組を行っています。例えば住民健診における市独自の取組としまして、腎機能の低下などを把握できる検査項目を追加するなどリスクの早期発見に努めております。また、重症化予防としましては、慢性腎臓病などのリスクが高い方に対して、市内医療機関とも連携して保健師や管理栄養士が生活習慣の改善指導や医療機関への受診勧奨を行っています。さらには、発症予防としまして健康運動教室や健幸ポイント事業、食育講座などを継続して実施し、多くの方の参加を呼びかけております。加えまして、市民の皆様に人工透析のリスクや正しい生活習慣などを広く知っていただくことが重要であることから、地域の保健委員やコミュニティと連携した各地区での啓発活動や健幸フェスタなどのイベントを通じて、自分事として予防を考えられる市民を増やす取組を進めてございます。今後はこれまでの取組を継続するとともに、健診受診率のさらなる向上などに取り組んでいく必要があると考えております。
また、人工透析の大きな要因である糖尿病につきましては、若い頃からの生活習慣の改善が発症、重症予防につながることから、働き盛りの世代に対する取組も重要です。そこで、市の国民健康保険だけでなく、働き盛りの世代の方が多く加入する協会けんぽなどの被用者保険の保険者ともこれまで以上に連携する体制を構築していきたいと、このように考えております。
続きまして、出生数維持と20代の転出についての取組の対策についての質問にお答えさせていただきます。まず、働く場の創出のための取組についてですが、企業誘致に係る担当職員の現在の業務内容としましては、これまでは見附市に進出を希望する企業のご要望に合わせまして、適切な用地をご紹介するなどの業務を行ってまいりました。しかし、中部産業団地が完売し、葛巻地区にある葛巻下水終末処理場脇の工業用地も既に民間企業が購入していることから、現状では広い面積の用地を希望する企業に対して、なかなかご要望にお応えするのは困難な状況にございます。そのため、市街化区域と市街化調整区域の区域区分、いわゆる線引きにつきまして県が見直しを進めており、その結果を踏まえまして企業誘致の促進を図るための工業用地の拡大に向けた検討を進めていきたいと考えております。今後は工業用地の拡大に向けた検討を行いつつ、同時並行的に既存の市街化区域の中にある施設跡地などの情報収集に努め、公有地の活用も含め、チャンスを逃さずに市内に企業を誘致できるよう体制を整えていきたいと、このように考えております。
なお、市としましては、見附市に進出してくれる企業に対し、税金の免除や建設資金の融資、助成金の交付などの支援を既に行っておりますが、見附市全体の産業を盛り上げるために、さらなる企業誘致を図る仕組みづくりが必要になるかもしれません。今後市内や近隣市町村への企業進出の状況を見極めながら、補助制度等の拡充の必要性について検討していきたいと思っております。
次に、産業団地進出企業と見附市の連携についての質問ですが、産業団地には現在55社が進出し、54社が操業、約1,000人の市民が働いております。産業団地は大きな雇用を生み出しており、若者の働く場に貢献していただいているほか、まちづくりや税収面においても非常に大切なものであると考えております。ご質問のあった市との連携についてですが、産業団地に進出された企業を中心に進出企業交流会を開催し、市と企業、また企業同士の関係づくりを15年間にわたり続けているほか、職員は企業を定期的に訪問し、情報交換をしております。私自身も企業訪問させていただいておりまして、情報交換をさせていただいているところでございます。その中から進めてきた具体的な団地内企業の取組としましては、小学生から市内企業を将来の就職先として考えてもらうためのわくわく体験塾への協力やクリーン作戦への参加、道路沿線の植栽活動、見附まつりへの協賛など、見附市の企業として市や市民のための様々な取組を行っていただいています。また、進出企業との交流は見附市に進出したい新たな企業の情報を得ることにもつながるのではないかと、このように考えております。引き続き良好な関係を保ちながら取組を進めてまいりたいと考えております。
〇病院事務長 渡辺議員の市立病院における人工透析の実施環境についての質問にお答えします。
まず、人工透析については100名を超える市民の方が市外の病院に通院している現状や、市民や患者の皆さんから市立病院の透析体制の整備についてのご要望があることは承知しております。市立病院の医師の求人等についてですが、まずは人工透析につながる可能性がある腎臓疾患の外来診療体制を維持するために、以前から内科医師の募集に当たり、循環器内科や透析に関する知識や経験を有する医師を募集しております。これに対する医師紹介事業者等からの求職者の情報は年間を通じて1件から2件程度です。これまでは、いずれの場合も見附市立病院を転職先として指定したものではなく、新潟県内あるいは北信越エリア等で求職されている方の情報で、直接医師と具体的な話ができる状況に至ったことはありません。
なお、求人サイト、医師紹介事業者の経費については、全て採用に至った場合の成功報酬型で経常的な経費はかかっておりません。
次に、現在の一番の課題ですが、何といいましても医師の確保は困難だということです。これは当院だけではなく、県内全般における課題でもあります。仮に市立病院で人工透析治療を行う場合、透析専門医が2名以上在籍することが必要となります。しかし、人材紹介事業者の応募状況は先ほどご紹介のとおりです。また、新潟大学の医局にも相談をしておりますが、人工透析については将来的には医師の配置先を現在よりもさらに集約を図ることも考えている状況とお聞きしており、新たな配置先を検討いただくことは非常に困難な状況だと認識しております。人工透析は長期にわたって継続して治療が必要であり、患者の受入れを始めるに当たっては治療体制の継続性についての見通しを立てることが必要となります。医師のほか、臨床工学技士や看護師といった専門職の採用も新たに必要となることから、長期的な人材確保が大きな課題だと考えております。
次に、今後の見通しについてですが、今ほどお話ししたとおり、長期的な人材確保の見通しが立たないことから、今後も市立病院において人工透析を行うことは難しいと考えざるを得ない状況です。
次に、仮に環境が整った場合に経営改善の要素となるかについてですが、人工透析患者の外来通院に係る診療報酬については、患者1人当たり、概算で1か月35万円、年間でおよそ420万円となります。一方で、費用の面では、まず人件費として新たに医師2名のほか臨床工学技士、看護師の採用が必要となります。また、設備投資としては、市立病院の旧病棟を活用するとしても、透析用のベッド、精製水製造や透析の監視装置などの整備が必要となります。これらを合わせますと、現在の市民の人工透析患者の約3分の1に当たる40名を市立病院で受け入れることとした場合、あくまで概算となりますが、年間で8,500万円程度の収支の改善につながるものと見込まれます。
〇健康福祉課長
初めに、人工透析を受けている市民の年齢層についてですが、直近の8月末現在では市が把握する腎臓機能障害者のうち人工透析を受けている方は106名おり、年代別には30代が2名、40代が5名、50代が13名、60代が30名、70代が29名、80代以上が27名となっており、60歳以上の方が全体の約8割を占めています。
次に、人工透析の方への通院費助成事業についてお答えします。現在、人工透析にかかる高額の医療費については、医療保険や各種補助制度により、国、県、市から助成させていただいており、個人の負担は極力抑え込まれているものと考えております。それに加え、市では透析をされている方への通院費助成事業として見附市福祉タクシー利用料金助成事業、見附市人工透析通院費助成事業としての自家用車両通院助成事業、見附市人工透析患者に特化した福祉デマンドタクシー事業の3事業を市単独予算で実施しております。福祉タクシー利用料金助成事業は、障害のある方の社会参加や外出にかかる経済的負担の軽減を目的に、在宅の身体障害者手帳の1級、2級、3級の一部、療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方にタクシー券を交付しています。年間24枚つづり1冊の交付を基本とし、月2回以上医療機関に通院している方へは2冊を交付しております。ただし、人工透析で週2回通院の方へは3冊、週3回通院の方へは4冊交付しています。この制度は平成3年度から実施しており、当初は透析の方も2冊までの交付でしたが、透析を受けておられる方からの要望を受け、平成21年度から交付冊数を増加させ、現在の交付枚数となっております。
自家用車両通院助成制度は、人工透析に自家用車で通院される方を対象に通院費用の一部を助成するものです。年間でタクシー券24枚相当額を助成しています。この制度は平成22年度から実施しております。タクシー料金の改定による補助金額の変動を適宜行いましたが、補助要件等の変更は行っておりません。
人工透析に特化した福祉デマンドタクシー助成事業は、体力の低下等で公共交通機関による通院が困難な方で、かつ家族からの送迎援助を受けられない方を対象にデマンドタクシーの利用にかかる費用を助成するものです。長岡市で福祉デマンドタクシーの運行を行っている福祉デマンド・ネットワーク研究会と協定を結び、研究会へ運行費用を補助しております。この制度は平成26年度から実施しており、小型タクシー1台、1コース4人からスタートし、現在はジャンボタクシー2台、2コース、16人の利用となっております。利用者からは一部負担金をいただいて事業を実施しております。
次に、補助制度の見直しと課題についてお答えします。前述しましたとおり、人工透析にかかる医療費については医療保険や補助制度によって助成されており、個人の経済的負担は大きく抑えられていることから、医療費の面での課題は大きくないものと考えております。一方で、人工透析を受けられる医療機関が市内になく、市外まで週に数回通わなければならないという現状や、高齢化や核家族化といった社会情勢の変化によって家族送迎が困難になっていく状況は、医療とは別の通院に関する負担という形で市は課題認識しております。通院の負担を軽減させるための医療体制の整備については、当市単体ではなく、新潟県全体の課題として検討すべきものと考え、毎年県の新年度予算要望の中で遠隔診療による人工透析の実施体制整備を継続して要望しているところでございます。また、市としても通院の負担軽減につきましては、課題解決に向け、引き続き市民の声を聞きながら福祉施策全体の中で検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
〇こども課長
見附市出生数の維持に対する取組についての質問にお答えします。
まず、出産費用の把握についてですが、市では国民健康保険の被保険者の方のみ出産一時金の支給の際に国から提供される資料により把握しているところです。令和3年度に支給した8人の状況としては、利用した部屋や分娩の状況等により、個々の金額に差はありますが、平均すると1人当たり約58万円となっており、主な内容としては食費を含む入院料、分娩料、新生児管理保育料などとなっております。
なお、内訳の詳細については、提供いただく請求明細に記載の項目のみを把握しているところです。
次に、さらなる出産時の支援についてですが、出産費用は、かかる医療機関や分娩の状況により費用に差があり、室料の差額、処置、手当料など中身や金額もそれぞれ違い、出産費用の個別の項目に対して助成することは難しいものと考えています。一部報道によると、政府は出産費用の実態調査を行い、出産一時金の増額の検討を始めているようですので、まずはその動向を見極めたいと考えています。市としては、経済的支援に限らず、ネウボラみつけを中心として、お母さんの不安軽減や産後のサポート体制の充実を図り、出産時に発生する様々な負担を軽減していきたいと考えております。
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