2024/11/1
先日『中村ただし白岡市政通信』第12号を発行させていただいたところ、ありがたいことに大反響をいただいております。支持者の方から「インターネットでも公開してほしい!」というお声をいただきましたので、早速公開することといたします。是非ご覧ください!
藤井市政の「特別の縁故」疑惑を追及
土地の払下げで市は実質約1億5000万円の損
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10月21日に、埼玉りそな銀行白岡支店が移転しました。この土地はもともと「旧保健センター分館跡地」と呼ばれる市の公有財産で、昨年藤井市政から埼玉りそな銀行への払下げが行われました。
古今東西、土地の払下げには様々な疑惑がつきまといます。古くは明治14年の官有物払下げ事件で、約1400万円(当時)の国費が投じられた公有財産を、何と39万円の激安価格で政商(政治癒着業者)に払下げたことが大問題となり、藩閥政治への批判が高まるとともに、黒田清隆開拓長官は失脚しました。
また、最近では、いわゆる森友問題で、9億5600万円の土地を1億3400万円の激安価格で森友学園に払下げたことが大問題となり、とりわけ約8億円の除染費用を国が引き受けるかたちで値引きが行われたことに対して国民からの批判が集中しました。これとよく似た問題が、白岡市でも起こっています。
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【令和5年12月議会 議案第94号「令和5年度白岡市一般会計補正予算(第7号)」 質疑要旨】
中村 歳入第16款「財産収入」第2項「財産売払収入」第1目「不動産売払収入」の「土地売払収入(財政課分)」につき、買主・面積・平米単価などの契約の詳細について伺う。
経営企画部長 旧保健センター敷地は、埼玉りそな銀行に売却した。面積は1751.85平方メートル、単価は1億8394万4250円である。補正予算に計上した「売払収入」411万3000円は、当初予算の見込収入額との差額である。
中村 次に、これが合法な取引かを伺う。
地方自治法の規定によれば、売買契約は一般競争入札の方法により締結するのが原則となっており、随意契約については、政令で定める場合に限り例外的にのみ行うことができる。
当該土地はとても人気のありそうな土地であるから、当然、一般競争入札にかけられたものと推察するが、入札の詳細について伺う。
経営企画部長 市では、随意契約による売買を行った。法令(地方自治法施行令第167条第1項第2号)に照らして適正であったと考えている。
中村 第2号によって随意契約にしたという話だが、売買契約については本来第1号である。第1号だとすると、市の規則に30万円以下という基準があり、約1億8000万円の場合には随意契約にすることはできない。そこで第2号という話だが、第2号の逐条解説によれば、土地を「特別の縁故」がある者に売払うときには例外的に随意契約にできるとされている。この「特別の縁故」に該当するので合法だということか。
経営企画部長 逐条解説はあくまで事例として挙げられているものであり、この事例には当てはまらない。
中村 この事例に当てはまらないとすると、(第2号の逐条解説によれば)最高裁判所の判例に基づき、行政の判断が「合理的な裁量」を超えているかどうかを個別具体的な契約ごとに検討しなければならない。「合理的」の検討にあたっては、取引の妥当性という点が大変重要になるが、令和5年議案第28号では土地の除染を約3億3000万円で実施しており、契約額が約1億8000万だとすると、市としてはこの土地に関し約1億5000万円のマイナス(損)となる。これは妥当な取引なのか。
経営企画部長 鑑定評価を行い適正な金額で契約をしているので、取引は妥当だと考えている。
中村 妥当だったという答弁だが、市民目線から見てマイナス1億5000万円の取引がとても妥当とは思えない。「特別な縁故」に基づいて合理的な裁量を逸脱した疑いがある。答弁を求める。
経営企画部長 鑑定評価を行い適正な金額で契約をしているので、取引は妥当だと考えている。
中村 今の質問は、「特別の縁故」を加味したことにより合理的な裁量を逸脱したのではないかという点を訊いている。イエスかノーで答えられたい。
経営企画部長 鑑定評価を行い適正な金額で契約をしているので、取引は妥当だと考えている。
中村 鑑定評価を行ったことはもう聞いた。そうではなく、それにプラスして「特別の縁故」を加えたことによって合理的な裁量を逸脱したのではないかと訊いている。
経営企画部長 答弁した内容がすべてだ。
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部長は官僚的答弁に終始して最後まで口を割りませんでしたが、ここでいう「特別の縁故」とは、埼玉りそな銀行が藤井市長の出身銀行だという点を指しています。例えばウィキペディアには、「旧埼玉銀行(現・埼玉りそな銀行)に入行。銀行再編の中、早期退職制度の募集があり、支店長代理だった48歳で退職。農業などをしながら地域の活動に関わった。また、ゴルフ練習場「黒浜グリーンゴルフ」の支配人となった」との記述があります。
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さて、あらためて事実関係を整理してみると、藤井市政は約3億3000万円で土地の除染(アスベスト除染)を行った上で、原価割れの約1億8000万円で、随意契約により、「特別の縁故」がある埼玉りそな銀行に市有地を売却した、ということになります。この取引には次の3つの疑惑があります。
①法令の定める一般競争入札を行わず、違法に随意契約とした(契約の相手方や価格を自由に決定した)疑惑。
②原価割れの激安価格で払下げ、市に少なくとも実質約1億5000万円の損害を与えた疑惑。裏を返せば、藤井市政が埼玉りそな銀行に対して実質約1億5000万円の便宜を供与した疑惑。
③右の2つの不正の動機が、市長と埼玉りそな銀行の間の「特別の縁故」であった疑惑。
しかし、疑惑はこれだけではありません。遡ると、実は、藤井市政はかなり強引なかたちで、「旧保健センター分館」に入居していた3施設(観光協会・教育支援センター・筋トレ室)の移転を強行しています。まず、観光協会については、多くの反対意見を押し切って市役所の2階に移転させました。次に、教育支援センターと筋トレ室についても、多くの反対意見を押し切って消防署(篠津分署)を強引に廃止した上で、旧消防署の建物に入居させています。つまり、
④消防署を廃止した真の目的もまた、市長と埼玉りそな銀行の間の「特別の縁故」であった疑惑。つまり、「特別の縁故」ある埼玉りそな銀行に土地を提供するために、市の消防力・救急力を弱体化させた疑惑。
もあるのです。
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【令和3年12月議会 一般質問要旨】
中村 消防署篠津分署の存置について伺う。
埼玉東部消防組合の正副管理者会議(最高決定機関)の議事録によれば、組合の合理化計画としてもともと篠津分署については「全廃」しかなかったのが、令和2年8月18日・10月2日・11月12日の3回の会議で小島前市長が救急ステーション化を主張した結果、白岡市としては篠津分署の「全廃」と「救急ステーション化」のどちらも選べることになった。ここで小島前市長が任期満了を迎える。
ところが、次の正副管理者会議(令和2年12月22日)に初めて出席した新任の藤井市長は、次のような驚くべき発言をする。
「今のところ白岡市としては、白岡消防署に統合ということでやっていこうと思っているところです。これから、住民説明会あるいは議会に説明して、統合で行こうかという方針で考えているところです。」
この発言を受けて大橋加須市長が「この組合全体の消防力のあり方を考えるとそういう方向だということなので、そういう方向で進んでいただくということでよろしいですか」と藤井市長に問い掛け、藤井市長は「お願いします」と答えている。
私はこの経緯を読んで愕然とした。せっかく小島前市長が交渉を通じて救急ステーション化という選択肢を確保し、いわばお膳立てをしていたのに、なぜ藤井市長はこの選択肢をわざわざ捨てて、篠津分署の全廃へと舵を切ってしまったのか。
総合政策部長 市では、藤井市長就任後、あらためて埼玉東部消防組合の統合再編案と救急ステーション化について検討を行った。検討にあたっては、①一部内容の変更はあるものの、既に組合の消防力適正化計画に基づき杉戸町・宮代町・加須市・幸手市において署所の合理化が進められている状況、②同計画に基づき配置車両の見直し等を行い、共通経費の削減に努めてきたこと、③篠津分署を統合再編した場合でも、常備消防の規模の拡大や行財政上のスケールメリットを生かした高度な消防サービスの提供により消防力低下が抑えられること、④篠津分署を救急ステーション化した場合、本市においては約6500万円の特別負担金を引き続き負担しなければならない状況であったこと、等を考慮した。また、⑤財政推計により、令和7年度には市の財政状況が赤字になる見通しであること、⑥新たな行財政改革の一環として、市の施設の統合再編により財政負担の軽減や、⑦「街づくりに関する他の事業」の推進に寄与すること等も考慮し、総合的に検討してきた。その結果、組合設立の趣旨に合意し、4市2町で連携を図りながら、引き続き将来に亘って持続可能な消防体制の整備確立を行っていくため、篠津分署を令和4年4月に白岡消防署へ統合再編することを決定した。
中村 小島前市長が交渉により手に入れた「篠津分署の救急ステーション化」という選択肢を藤井市長が自ら放棄し、篠津分署全廃へと舵を切ったのは、主に特別負担金を心配したからだとの答弁であった。しかし、10月2日の議事録を見る限り、特別負担金については全廃してすべて共通経費化する方向で議論が進んでいるし、実際に幸手や加須の救急ステーションは共通経費化されるようだ。そうだとすると白岡だけ「特別負担金を引き続き負担しなければならない」と心配するのは根拠薄弱である。そもそも何を共通経費にするかは管理者会議の市長同士の政治交渉で決まる話であり、政治家なら普通「まずは救急ステーション化で押してみて、どうしても特別負担金が押し付けられそうなら全廃に切り替える」くらいの政治交渉はできそうに思うが、それすらせずに「最初から全廃で行きます」と言ってしまうのは、市長は本当に市民の皆様の命を守る気があるのか。
「市民の方が救急車を呼んだら1分1秒でも早く到着するのが良い」と考えるならば、まずは救急ステーション化で交渉すべきであったが、藤井市長がそれすらしなかったのは返す返すも残念な話だ。
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部長は「もし救急ステーション化すると約6500万円の特別負担金が引き続き発生する」という懸念をあたかも既成事実のように述べていますが、実際はそのような流れではありませんでした。やはり実際には、部長が7番目に挙げていた「街づくりに関する他の事業」の推進、つまり埼玉りそな銀行への土地提供こそが真の目的であったと考えられます。
(つづく)
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