2026/3/15
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾とインド洋をつなぐ海峡です。
世界の原油輸送の約2割がここを通過し、日本の場合は輸入原油の93%がこの海峡を通っています。つまり、日本経済は「幅数十キロの海峡」に依存しているともいえます。
今回、イランと米国・イスラエルの戦争、中東各国への戦火拡大という流れの中で、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態になりました。
イラン側が既に機雷を撒いたとの情報もあり、そうなれば本格的な封鎖となります。
もしこの状態が続けば、原油価格がまず急騰し、その後、ガソリン価格、物流コスト、物価全体の上昇へとつながり、日本経済への影響は避けられません。
日本を含む世界中が、ホルムズ海峡の封鎖に繋がるこの中東での戦争の推移を注視しています。
しかし、そもそもの問題は、世界のエネルギー輸送が、たった一つの海峡に依存している構造と、それを放置していることにあります。
安全保障の世界では「チョークポイント」と呼びます。ここを止めれば世界経済が止まる一点です。
そのため、ホルムズ海峡は政治、軍事、外交のすべてのカードとして使われてしまうのです。
今回、世界中がホルムズ海峡の封鎖だけはさせないよう、全力で動いています。
米国はホルムズ海峡に機雷を撒こうとするイランの船を次々に爆撃して沈め、封鎖に動かないようイラン側に国際的な圧力をかけ続けています。また、日本を含む各国にホルムズ海峡を通過する船の護衛を依頼しています。
このことの是非は別の機会に論じるとして、いすれにせよ、それらは今目の前の危機に対する短期的な対策に過ぎず、恒久的な解決策が必要です。
その一つは、ホルムズ海峡を国際管理下に置くことだと考えています。ホルムズ海峡を特定の国の政治カードにしない構造を創るのです。
具体的には、国連や多国籍機構による管理、国際航行保証区域の設定、多国籍艦隊による警備という仕組みを創ります。
スエズ運河が国際航行の枠組みで守られているのと同じように「ホルムズ海峡=世界の公共財」として扱うのです。
こうすれば、イランvs米国という二国間の対立を超えて、国際法の枠組みで航行の自由を守ることができます。
さらにもう一歩踏み込んで、「海峡通行料モデル」が考えられます。
イランが海峡封鎖をカードとして使う理由の一つは、安全保障上の圧力、そして経済制裁による財政圧迫です。
そこで発想を逆転させます。
国際社会がホルムズ海峡の通行料を支払う。その代わりに航行の安全を保証する。つまり、海峡を「軍事カード」ではなく「収入源」に変えるのです。
この仕組みのポイントはインセンティブです。もし海峡が国際通行料ビジネスになれば、封鎖すると収入ゼロ、開放すると収入が増えるという構造になります。つまり、封鎖することでイランも損をすることになります。
これは制裁でもなく、軍事圧力でもなく、「経済的インセンティブ」によって安全保障をつくる仕組みです。
日本は中東で、米国の強固な同盟国でありながら、軍事的な敵対関係を持っていない、エネルギー輸入国という独特の立場にあります。中東の緊張を和らげる「調停外交」を行える数少ない国です。
日本がこうした提案することは、単なる理想論ではなく、世界経済の安定に資する現実的な外交でもあります。
そこで日本が主導する「ホルムズ和平会議」の開催を提案します。
東京を舞台に、米国、イラン、湾岸諸国、エネルギー輸入国などが参加する国際会議を開き、ホルムズ海峡の航行の安全や地域の緊張緩和について協議するのです。
これは1978年に行われた中東和平交渉である「キャンプ・デービッド合意」のように、対立する当事者が第三国で向き合う外交の舞台となり得ます。
軍事ではなく外交によって海峡の安定をつくる。その場を提供することも、日本が果たし得る重要な役割ではないかと思います。
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