2021/2/21
※衆議院法制局との協議を踏まえて、2月13日のブログを修正しました。
緊急事態宣言下において時短要請等に応じた事業者に1日6万円の協力金が支給されているが、事業規模を一切考慮せず100名が働く店も1人で営業する店も一律6万円であるため、「不公平だ」と極めて評判が悪い。
規模の大きな店は「こんな補償ではとても時短要請に応じられない」となるし、1人でやっている店の中には「おかげさまで過去最高の利益。このままコロナ禍が続けばいい」なんて言う人もいる。
国民民主党はじめ野党は「事業規模に応じた協力金」を強く求め、先般の特措法改正においても罰則の導入とセットで要求してきたが、結局政府は受け入れなかった。
政府の言い分は「事業規模を考慮すると協力金の支給に時間がかかる」というものだ。確かに時間がかかっては意味がない。ならば時間をかけずに支給する方法を考えればいい。そこで米国で実施されている「PPP(ペイチェック・プロテクション・プログラム)」が参考になる。
「PPP」はコロナ禍における中小企業の雇用を守るために昨年4月に導入された制度で、その概要は以下の通り。
〇中小企業(500名以下)を対象に、従業員の給与総額の2.5倍を市中銀行が融資する(連邦政府が債務保証)。 〇このうち、実際に給与・家賃・水道光熱費・通信費等に支払った場合には、その分の返済は免除する(免除額の75%は給与に支払わなければならない)。 〇返済免除を受けるためには、従業員の雇用を維持(又は再雇用)し、かつ給与レベルも維持しなければならない。 〇4ヵ月間で521万件総額5250億ドル(55兆円)の融資が行われ、5100万人(中小企業の8割)の雇用が守られた。 |
米国PPPは、巨額の予算を投じて、大きな効果を上げた政策であるが、不正受給が数十億ドルあったなどの課題も指摘されている。
わが国の場合、雇用を守るための政策は雇用調整助成金や休業支援金といった制度が既にある。今一番の課題は、「緊急事態宣言」そして新たに新設された「まん延防止等重点措置」の下で、時短営業を要請されている飲食店等への協力金に大きな不公平があることだ。
国民民主党は「事業規模に応じた協力金の支給は時間がかかる」という問題点を解決するために、米国PPPの中の「金融機関の融資を活用する」というアイデアを取り入れたものを「日本版PPP」として策定することにした。
玉木代表から指示を受けて、友人の弁護士と二人で作ったのが下記の制度案である。
日本が米国と大きく異なるのは、日本は政策金融機関にのみ政府による債務保証が認められており、市中銀行には認められていない。そこで政府による債務保証という枠組みは取らず、「政府及び地方公共団体に対して、金融機関との連携した支援策」を義務づけ、市中銀行にも融資を行うメリットを付与する制度にした。
2月12日(金)の国民民主党政調会議で説明し了承された。今後、更に制度を精緻化し、他野党にも呼びかけ、法案を提出したい。
事業規模に応じた時短給付金(日本版PPP)の概要 1 目的 「まん延防止等重点措置」の新設により、時短要請等に伴う経済的損失はますます拡大するおそれがあり、「事業規模に応じた」適切な支援が求められる。給付まで時間がかかるという課題を克服するため、米国のPPPに倣い「金融機関による融資」を介する新たな制度を創設する。 2 制度の概要 ① 都道府県は、「緊急事態宣言」又は「まん延防止等重点措置」期間中、時短要請等に応じた事業者に対して、「家賃」「従業員×〇万円」等事業継続に必要な費用として政令で定める金額を給付金として支払う。 ② 都道府県は、事業者の迅速な資金確保のため、給付金が支給されるまでの期間融資の仕組みを共同で設計するなど金融機関との連携措置(※)を講ずる。 (※)融資を行った金融機関による給付金の代行申請を認め、金融機関の口座に給付金を支払う他金融機関に手数料を支払う等の仕組を設ける。 ③ 国は都道府県に対して、給付金の財源として、緊急事態宣言においては10割、まん延防止等重点措置においては8割を地方創生臨時交付金として交付する。 3 新型コロナ感染防止のための協力要請給付金法案(骨子) ① 都道府県は、新型コロナウイルス感染症について、新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定するまん延防止等重点措置又は緊急事態措置における感染を防止するための営業時間の変更等の協力要請を行った場合には、対象となる事業者に対し、当該事業者の事業の継続を支援するため、給付金の支給及びその他必要な財政上の措置を講じなければならないものとすること。 ② ①の措置を講ずるにあたっては、①の要請の内容、期間、事業者の事業規模その他の事情を勘案するとともに、事業者が迅速に資金を確保できるよう、金融機関との連携その他の措置を講ずるものとすること。 ③ 国は、都道府県が①の措置を講ずる場合には、都道府県を支援するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとすること。 |
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タカイ タカシ/52歳/男
ホーム>政党・政治家>高井 崇志 (タカイ タカシ)>事業規模に応じた時短給付金(日本版PPP)の提案