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高井 崇志 ブログ

NHK受信料値下げを前倒しするための3つの提案

2021/2/15

「2023年度から実施予定の『NHK受信料値下げ』を2年前倒しし、本年4月から実施すべき」

総務委員会にて武田総務大臣と前田NHK会長に迫りました。

NHKは「2023年度から衛星契約受信料(月額2170円)を1割程度値下げする」と発表しています。当初値下げに慎重だったNHKですが、菅総理の意向を受けた武田総務大臣からの強い要請を受け、NHK前田会長は急転直下、値下げを決断します。NHK内部の反対を押し切った前田会長の英断は評価しますが、2年後という値下げの時期は納得できません。

武田総務大臣は記者会見等で「コロナ禍に苦しんでいる国民の負担を軽減するためにNHK受信料を値下げすべき」と繰り返し発言していますが、2年先の値下げでは到底「コロナ禍で苦しむ国民の負担軽減」とは言えません。

NHKは値下げが2023年度からとなる理由として「業務の抜本的見直しと放送波の整理・削減(BSを4→3波にラジオを3→2波へ削減)により550億円経費を削減し値下げの原資とするが、そのための放送法改正などの準備が必要であるため」としています。

そこで私の提案は、来年度(2021年度)の受信料の値下げ分(550億円)を繰越剰余金1450億円から捻出することです。そもそもNHKは受信料で成り立つ特殊法人で利益を上げる必要はなく、法人税の納税義務もない。内部留保をため込むこと自体おかしく、繰越剰余金は直ちに視聴者に還元すべきです。NHKは「経営安定のために必要」と言いますが、百歩譲っても200~300億円程度あれば十分です(平成2年~17年までの繰越剰余金は200~600億円でした)。まずは、繰越剰余金1450億円を使って本年4月から値下げすべきです。またその際には、衛星契約よりも地上契約の受信料を値下げすべきです。コロナ禍で困窮しているのは衛星放送を見ていない地上契約の方のほうが多いと思われます。

2022年度以降も値下げを続けるためには、毎年550億円以上の財源をねん出する必要があり、そのためには抜本的な改革が必要ですが、それは来年度以降にじっくり腰を落ち着けて行う必要があります。今NHKが表明しているような「業務の見直し」では不十分であり、私は以下の3つの改革を提案します。

1 子会社の改革

NHKには子会社・関連会社(以下「子会社等」という)が24社あります。この子会社等の繰越剰余金は900億円あります。ところがこのうちNHK本体に配当されるのはわずか50億円程度で、残りは子会社等にため込まれています。子会社等の職員に占めるNHK出身者の割合は3割で、役員に限ると8割にものぼります。NHKが子会社等に業務を委託する際の随意契約の割合は93.5%にもなります。

更に子会社等がNHKブランドを背景に「民業圧迫」している実態も見逃せません。私はかねてより総務委員会で何度も取り上げているのですが、NHKエンタープライズ社は、NHKが受信料で制作した番組素材を使えることを宣伝文句に民間企業と顧客を奪い合っています。「NHKの過去のオリンピック映像を使えますよ」「NHKのスタジオや機材も格安で使えますよ」といったうたい文句で営業し、他企業から仕事を奪っていったケースを映像制作会社の友人から聞かされました。このように民間と競合するビジネスを受信料で成り立っているNHKの子会社等が果たして行う必要があるでしょうか?NHK子会社等を大幅にスリム化し、その分を受信料値下げに充てるべきです。

2 人件費・福利厚生費・番組制作費等の削減

NHKは今年度149億円、来年度230億円の赤字の見込みです。民間企業は赤字になればボーナスが減ったり、給与が下がるのが当たり前ですが、NHKの人件費はほとんど変わっていません。また福利厚生費は広尾の社宅の家賃が月3万円などの例に見られる通り厚遇されており、人件費と福利厚生費を合わせると一人当たり1600万円にもなります。

また番組制作費も民放に比べかなり高額であり、しかも年々増えています。昨年度の番組制作費は7年前に比べて514億円(16.6%)増えており、受信料の増収分(728億円)の多くが番組制作費増に充てられています。私もかつて経験しましたが、3分間のインタビューを撮るために東京から岡山までスタッフ4名が新幹線で来て、ジャンボタクシーを借り上げて取材に来ました。こういう実態に民放関係者からは「NHKは番組制作に湯水のごとくお金を使えてうらやましい」という声をよく聞きます。スポンサー収入に頼る民放ではなかなか制作が難しい番組、例えば「ダーウィンが来た!」のような大自然の神秘に迫る番組に制作費をかけるのは大いに結構ですが、民放と競い合うバラエティー番組やドラマ等に有名タレントを起用して多額の制作費をかけるのは賛同できません。

受信契約者が増えたことによる受信料増収分は、番組制作費の増に充てるのではなく、本来受信料の値下げに還元すべきであり、人件費・福利厚生費・番組制作費等の経費は抜本的に見直すべきです。

3 受信料の全世帯負担方式への変更

私は2009年の初当選時から総務委員会に所属していますが、当時からずっと「受信料を公平に徴収するために義務化すべき」と主張してきました。それは私が大学生の頃にNHK受信料集金のアルバイトをしていた時の経験に基づいています。現在NHK受信料の契約率は82%です。NHKの努力により近年契約率は増え続けていますが、それでも18%の人が払っていません。一軒家の立派な家に受信料の集金に行くとどう見ても家主と思われる人が出てきて「私は手伝いの者なのでわかりません」と言って断られます。何度訪問しても同じ人が出てきて同じことを言います。その結果その家は何年も受信料を払わないまま放置されていました。こういう家が何百軒もありました。木造アパートの1ルームで質素に暮らしていても真面目に払っている人と、こういう不払いの人がいる不公平を無くすためには、税金と同じように全世帯から集めた上で、本当に生活に困っている低所得者は免除する制度にした方がいいと思いました。

NHKはよく「受信料を義務化すると政府の関与が強まり国営放送になってしまう」と言いますが、世界のほとんどの国で受信料は義務化されていますが、政府の関与が強まり国営放送になっている例はありません。

1年半前に総務委員会理事メンバーで欧州視察へ行き、スイス、スペイン、フィンランドを訪問しましたが、いずれの国も全世帯負担方式へ移行していました。その最大の要因はインターネットの普及です。若い世代を中心に、テレビではなくインターネットを視聴する人が急増する中で、「テレビ設置者」のみから集める受信料では経営が成り立たず、全国民から受信料を集める方式に転換しています。わが国でも今後ますますテレビ離れが進むことは間違いなく、テレビ設置者のみから集める現行の受信料制度は抜本的な見直しが不可欠です。

総務省の調査でも、諸外国の公共放送の中で「受信料の対象をテレビ設置者のみとし、支払いを義務化していない」のはNHKだけです。世界の趨勢に従い、全世帯負担方式とし、現在82%の契約率が100%となれば、受信料を支払う人が18%増えるわけですから、18%(1300億円)の増収になります。更に、受信料徴収のために年間700億円(受信料収入の1割)かかっている営業経費も大幅に削減できます。合わせて2000億円の財源を値下げに充てれば、受信料を3割程度(月600円程度)値下げできることになります。払っている人・払っていない人がいる不公平をなくし、受信料が3割(月額600円)値下げになるのであれば、多くの国民は賛成してくれるのではないでしょうか。

ちなみに一昨年の総務委員会欧州視察では、参加メンバー全員与野党問わず「受信料は全世帯徴収方式にすべき」という意見で一致しました。受信料のあり方は、NHKのみで決めるものではなく、政府(総務省)と国会で議論して決めるべき国民的な大問題です。まずは政府(総務省)として、国会に対して問題提起されることを望みます。

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著者

高井 崇志

高井 崇志

選挙 第48回衆議院議員選挙 (2017/10/10)
選挙区

岡山1区 56,757 票 比例 中国ブロック 立憲民主党 [当選]

肩書 衆議院議員/衆議院法務委員会委員
党派・会派 無所属
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