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森本 和義 ブログ

東京オリンピック・パラリンピックについて

2021/4/14

 とうとう大阪府のコロナ感染者数が1000人を超えて、4月13日に1099人となった。

 まん延防止等重点措置が、宮城県、大阪府、兵庫県、東京都、京都府、沖縄県での発出に続いて、愛知県なども知事より要請が出されており、全国的にコロナ感染症第四波が目前のものとなってきた。

 そんな中、開会100日前となる4月14日を前に、IOCのコーツ調整委員長が「(東京)大会は確実に開催される。私はこの大会が開かれ、最も安全な大会になると断言できる。(中略)パンデミックに人類が勝利したことを示すことができる。」とビデオメッセージで発言した。

 世論調査の中には、日本国民の7割以上が予定通りの開催に否定的という調査結果も出ているほど、東京オリンピック・パラリンピックの開催の是非が問われている中、IOC、JOC、日本政府、東京都は開催に向けて準備を進めている。3月25日は聖火リレーもスタートした。

 そこで、東京オリンピック・パラリンピック開催についてメリット・デメリットの面から考えてみた。

 

◆メリット

1.本来の開催意義

 古代ギリシャ時代から、オリンピック期間中は一時停戦・休戦であり、平和の象徴としてのオリンピックを開催することは有意義である。

→ その通りだが、だから日本で開催するということには結びつかない。もしかして、紛争国等で無事開催することができたら、より一層の意義が出てくるかもしれない。

 

2.国力のPR

 オリンピック・パラリンピックという世界最大のイベントを挙行できることは、様々な面から、開催国の国力を示すことができ、有形無形のメリットにつながる。国威高揚に悪利用することは避けねばならないが、現実として、一定レベルの「開催力」を示すことができる。

→ 日本はすでに東京オリンピックや大阪万博、愛知万博などの巨大イベントを開催してきており、戦後復興期に比べて、現在、大国の一員とみなされている日本が「開催力」を誇示する意味合いは高くない。

 

3.アスリート

 アスリート個人の自己実現は別として、アスリートの努力や元気、結果・実績が国民に元気を与える。

→ これはいつでもそうだ。結果が出ればうれしいが、結果に関係なく幅広い視点からアスリートの頑張りに注目する報道がより広がってほしところ。またこれは自国開催ならば、観客として間近かで観戦できるから、よりその盛り上がりは期待できる。ただし、コロナ感染症対策として無観客な場合は盛り上がりはやや抑制される。

→ 白血病から復活した池江璃花子選手の頑張りに元気をもらった国民は多いと思う。

 

4.スポーツ界のPR

 オリンピック種目のスポーツにとっては、強い宣伝となり競技人口の底上げにつながる。結果が出た種目では特にそうだ。

→ 東京以外でも可能。ただ、開催国有利・観客参加しやすいという面では自国開催のメリットがある。

→ サッカーW杯や2019年ラグビーW杯日本大会のようにオリンピックでないとできないというわけではない。

 

5.インフラの充実

 前回オリンピックでは東海道新幹線開通、代々木競技場など、各種インフラが整備された。インフラ整備のきっかけになる。

→ 開催100日前の段階では、すでにインフラ面はほぼ完成している。(していないと逆に大変)

→ 本来は、巨大イベントだけに影響されないインフラ整備をしないと、閉会後に負担だけが残る「負のレガシー」となってしまう。成長期に重なれば、資金繰り(国際機関等からの借り入れ含め)の口実にもなるので、インフラ整備のきっかけとしては大きい存在。

 

 以上より、現時点では、ソフト面でのメリットがあるのだが、状況に左右されたり、受け取り方や結果には個別差があるので、開催の意義としてはやや弱い。

 

 実際のところ、政権・政治家の人気取りというメリット(国民やスポーツ界にとってのメリットではないので上記には入れなかった。)が一番濃厚な感じがする。

 

 誘致の際や開催決定後しばらくの間は「復興五輪」=東日本大震災からの復興を象徴するオリンピックということが盛んにPRされていたが、今や、そのような言葉はあまり聞かれなくなったし、復興を後押ししたり象徴すると感じている国民は少ないのではないだろうか。

 確かに聖火リレーは福島県のJビレッジ(当時の復興の拠点)からスタートしたが、全体的に関連性が薄いままである。

 

 それでも通常時ならば、開催すれば、普通に人気取りにつながる可能性は大きい。

 

 しかし、コロナ・パンデミックの時代と重なり、後で見るデメリットを相殺・上回るメリットが薄いと感じたのだろうか、昨年9月に就任した菅首相はことあるごとに「コロナに打ち勝った証しとしてのオリンピック」と宣言している。

 

 第四波、もしかしたら第五波も危惧され、「コロナと闘っている最中に『打ち勝った証し』と言われてもねえ。」という声が聞こえてきそうである。

 

 ワクチン接種が決め手になりそうだが、その接種スケジュールも遅れ遅れになっていて、オリンピック開催に全国民接種が間に合うとは考えにくいし、3600万人の高齢者にも間に合うかどうかは心もとない状況である。

 

 何か、「運まかせ」のような雰囲気まで漂っている。

 

 

◆デメリット

1.コロナ感染症の拡大

 何といっても、オリンピック自体が感染拡大の要因になってしまわないか。最大に危惧される点。

「人流拡大」が感染拡大につながると毎日のように警告が発せられているが、まさに「人流」を生み出してしまう。

カナダのように選手派遣さえも中止する国が増える可能性も否定はできない。

 

2.収支激減のよる国民負担

 広告収入、チケット代、公的資金などによりペイする(利益も出る)仕組み。

→ 広告収入は開催を前提にしているから、大幅な減少は避けれているかもしれないが、増えてはいないだろう。

→ 今回外国人観客受け入れ中止により、チケット代金返却(&事務費)に伴い900~1000億円赤字となる。

→ 無観客の場合のチケット代金返却(&事務費)はいくらになるのだろうか。

→ 最終的に、国民にその負担が押し付けられるのではないか。

 

3.日本人観客による派生的収入と外国人観客等によるのインバウンド収入の機会損失

→ 外国人観客受け入れ中止となり、宿泊、交通、飲食、土産物等のインバウンド収入が0に。数千億円規模と言われている。インバウンド対策の投資も回収できない。(オリンピック以外でも使えるから全てではないが。)

→ 無観客になると、日本人観客による派生的収入(同上)も無くなる。

→ この機会損失・投資未回収分は、結局、日本国民に回ってくるのではないか。

 

 

 以上、見てくると、

   

メリット<デメリット

 

となってしまうのではないか。

 ワクチン接種が驚異的に進んで、安全に観客を入れて開催し盛り上がるという最高のパターンとなったとしても、国民負担を考えると、慎重に考える必要がある。冷静に考えて、中止も検討し始める時期である。

 

 とはいうものの、開催する意義を求めるのであれば、次のようなオリンピック・パラリンピックにしてはどうかと考えてみた。

 

1.森喜朗組織委員会前会長が女性蔑視発言で辞任した。日本はジェンダー意識が低い(日本は世界156か国中120位)ということを全世界に発信することになってしまった。また、その後の開会式・閉会式の総括プロデューサーがタレントの容姿を侮蔑するような企画案を提案したということで辞任した。これらは、大変恥ずかしいことであるが、このことを奇貨として、「人権意識やジェンダー意識等での日本改革宣言」を菅首相がグローバル宣言し、具体的な制度変更や法律改正・整備の指示を出して本気度を担保してはどうか。

 ピンチはチャンスである。

 

2.加えて、パラリンピックはオリンピックの付属的な存在と認識している人はまだ多いと思われるが、あくまでも対等の立場である。その面をもっと強くしていき、障がいの有無にかかわらず、社会で活動活躍できる「インクルーシブな社会」の実現を後押しする機会となるように積極的に取り組む。

 上記の1と2を合わせて、「インクルーシブな社会実現の日本改革宣言」をしてはどうか。

 この宣言と政策は本来オリンピックに関係なく進めるべきであるが、グローバル宣言としては相乗効果が上がる。

 

3.SDGsが広がっている。貧困を無くす。差別を無くす。戦争を無くす。地球環境にやさしい経済活動をする。  

 そう言ったグローバルな動きを日本がリードしていく。そんな宣言と政策・施策。

 そう、「SDGsオリンピック・パラリンピック」宣言が必要だ。

 SDGsをロゴ的に使うのではなく、思い切って、改革の端緒にする。

 そんなオリンピックだといいのではないか。

 

 しかし、与党自民党内では、選択的夫婦別姓についても後ろ向きな意見が多いと聞く。無派閥で自民党内の他派閥の均衡の上に浮かんでいる菅首相では無理な話か。

 

 来年冬には、北京冬季オリンピックが開催される。

 次のオリンピック、未来のオリンピックへの強烈なメッセージにもなると思うのだが。

 

2021年4月13日

 

 

 

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著者

森本 和義

森本 和義

選挙 第48回衆議院議員選挙 (2017/10/10)
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愛知6区 75,069 票 比例 東海ブロック 希望の党

肩書 元銀行員、元衆議院議員、経営コンサルタント、FMラジオパーソナリティ
党派・会派 立憲民主党
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