2021/2/12
JOC森喜朗会長が自身の発言の責任をとってJOC組織委員会会長を辞任するという報道が出ています。
女性差別発言ともとれる内容に対して、国内はもとより国際的な批判が相次ぎ、辞任やむを得ずという状況に至ったと報道されています。その背景には、SNSの発展により情報が瞬く間に世界中に発信されていったことも大きく影響していると言われています。
ここでは、少し別の面から考察してみたいと思います。
従来の日本政治の場では、限定的なオーディエンスに向けた閉じられた空間で、政治家が「ウケ狙い」で発言し、それが外部に漏れて失言となる例が多かったように思います。
大物政治家であったり、選挙前や中でのタイミングでない場合、謝罪と撤回により事態が収束していくパターンが多く、今回の森会長発言も当初は元首相とはいえ現役ではないことから、そのような形で逃げ切りを図ろうとしていたと思われます。(森会長の個性により記者会見で逆に炎上することになりましたが。)
政治家の場合、最終的には「選挙で洗礼を受ける」という逃げ口上があり、政党全体に影響を及ぼさないギリギリの線で幕引きを図ってきました。「辞任」や「離党」などの「解決策」もあります。強固な関係で結ばれた選挙区の有権者の支持を維持できれば時間とともに忘れ去らていくというのが、政治の世界の「常識」で世間の「非常識」だったのです。
しかし、今回の件は「JOC組織委員会会長」という立場には、そのような従来の政治の世界の「常識」では通用しません。
JOCは国を代表する一大イベントの主催者であり、「世論」の影響を直接的に受けるとともに、その「世論」に非常に敏感なスポンサーに支えられている事実があるからです。
スポンサー企業は今やSDGsに取り組んでいるところが多く、その目標の5番目「ジェンダー平等を実現しよう」という基本的な目標に敏感です。
当然、各社が行うインタビュー、記者会見や株主総会等では、記者から「JOC森会長の発言についてのスタンス」を訊かれるわけで、おそらく、全ての企業が「不適切です。我々とは考えが違う。」と答えるでしょう。
(すでに先行して「不適切」と表明した企業もありますね。)
会長が続行した場合、引き続き、「スポンサーをされているJOC会長が続投しましたが、これについて感想を下さい。」と訊かれるはずです。
加えて、「そのような体質のJOCが主催するオリンピックのスポンサーでいいのですか?」と訊かれたらたまりません。
SDGsに関連して、最近はESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:企業統治)という投資方針が世界中で広がっており、スポンサー企業からすれば、変な回答や未回答は避けなければなりません。企業イメージは毀損し、世界中の投資マネーが逃げていきます。
これは日本国内にとどまらず、世界中の企業にとっても同じです。
IOCも同様です。今後のオリンピックでのスポンサー企業募集においても、元々簡単にスルー出来る話ではないのです。(その意味で、当初、謝罪したから不問に付すという見解を出したIOCも軽率でした。)
オリンピック開催は、SDGsを前提にして考えなければならないのです。
そういう時代です。
SDGsとは?(外務省HPより)
SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省 (mofa.go.jp)
ESGとは?(経済産業省HPより)
2021年2月12日
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モリモト カズヨシ/54歳/男
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