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牧島 かれん ブログ

外交力、安全保障、FOIP、ODA、OSA、経済外交、経済安全保障、外交、外務省

2026/6/9

自民党「外交力の抜本的な強化を求める決議」通称「外交力強化決議」をとりまとめましたので、茂木敏充外務大臣に手交しました。

 

外交力の抜本的な強化を求める決議

〜高市外交の力強い推進による「強い日本」の実現に向けて〜

 

はじめに:我が国を守る責任

情勢認識(中国、北朝鮮、露朝、ウクライナ侵略、中東情勢)
外交と防衛を車の両輪とする「強い外交・安全保障」の確立

 

1 揺らぐ国際秩序をつなぎ止める日本外交:日米同盟の強化と「進化したFOIP」の展開

「進化したFOIP」による地域、更には国際秩序の牽引
「進化したFOIP」の三つの重点分野の具体化
重層的なネットワークの構築と冷静かつ毅然とした対外姿勢
日米同盟/アジアにおける我が国としての主体的外交努力
同志国・地域やグローバル・サウス諸国等との連携/TICADの進化
力・威圧による一方的な現状変更の試みに対する冷静かつ毅然とした対応
台湾海峡の平和と安定
拉致問題の解決

 

2 戦略的ツールとしてのODA・OSAの抜本的拡充

OSAの戦略的拡大と防衛協力の深化
OSA予算と人員の飛躍的拡充、戦略的推進
ODAの戦略的・効果的な実施と「日本らしい」支援の貫徹
ODA予算の大幅拡充
支援先の戦略的選定(安全保障、経済安全保障への貢献)
「三方良し」の実現に資するODAの推進
実効的なフォローアップ体制の強化
各種ツールの連動性による相乗効果
我が国にとって望ましい安全保障環境の創出

 

3 日本列島を強く豊かにする経済外交と経済安全保障

新規市場・イノベーションの創出
戦略分野における首脳・閣僚級によるトップセールスの加速
日本企業の「海外展開拠点」としての在外公館活用
日本産農林水産物・食品の輸出促進、地方経済の活性化
戦略的科学技術外交の推進
ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持・強化
CPTPPのアップグレード/EPA未締結国との交渉の進展
非市場的政策、慣行への対応等の新たな課題に関するルール強化

 

経済安全保障の強化
戦略物資のサプライチェーン多角化・強靱化/「パワーアジア」の活用
通信インフラの海外展開/ODAを通じた環境整備・人材育成等の支援 

 

4 我が国のプレゼンス・情報力強化、認知戦対応

グローバルガバナンス・地球規模課題への日本の貢献
理事国ポストの確保、邦人職員の増加(特に幹部ポストの獲得)
国際機関への資金拠出の在り方
地球規模課題、開発協力等の分野における貢献
情報収集・分析能力の強化
体制・能力の抜本的強化/専門人材の採用・育成
情報セキュリティ・AI基盤の構築・強化
欧米主要国と同等以上の強固な情報セキュリティ基盤の構築
各種情報を収集・分析・精査可能なAI基盤の構築
認知戦を勝ち抜くための情報収集・分析・ネットワーク構築及び戦略的な広報文化外交
機動的な発信のための体制・予算の増強、戦略的対外発信の一層の強化
国内シンクタンクの抜本的強化、調査・研究支援等の強化
文化外交の推進/ソフトパワーによる「ジャパン・フレンズ」の輪の拡大
国際観光施策に資する我が国の魅力の発信
効果的な魅力発信と対日理解促進/国際観光旅客のための施策へのジャパン・ハウス等の広報文化外交事業の導入

 

5 外交・領事実施体制の抜本的強化

外交実施体制の「数」と「質」の拡充
目標達成に必要な定員の増強と優秀な人材の採用・育成
国益確保のための外交拠点作り/在外公館の新設を戦略的に推進
在外公館の「質」の拡充/国有化の更なる推進を含めた強靱化
政務三役が機動的に外交活動を展開できる環境づくり・体制強化
職員の処遇改善と勤務環境整備
魅力ある職場作り/各種手当の抜本的拡充による処遇改善
出張旅費等必要な経費の確保
邦人保護と領事サービスのデジタル化
在外教育施設の安全確保を含めた平時の邦人保護の徹底
緊急事態における邦人退避に向けた訓練、同志国・地域との連携強化
領事サービス・在外選挙制度のデジタル化・効率化の推進

外交力の抜本的な強化を求める決議

〜高市外交の力強い推進による「強い日本」の実現に向けて〜

【外交部会・外交調査会・国際協力調査会】

令和8年6月9日

自由民主党政務調査会

はじめに:我が国を守る責任

今日、国際社会は歴史的な転換点に立ち、我々が長年享受してきた自由で開かれた安定的な国際秩序は、法の支配を含めて根底から揺るがされている。国家間の競争は、単なる軍事的な対峙にとどまらず、経済、技術、情報の各領域において激化・複雑化し、常態化している。我が国周辺を見渡せば、中国による力による一方的な現状変更の試みや軍事活動の活発化、北朝鮮による核・ミサイル開発の継続、露朝の軍事協力やロシアによるウクライナ侵略、更にはイラン情勢を始めとする緊迫する中東情勢など、安全保障環境は戦後最も厳しく複雑なものとなった。

このような混迷を極める時代において、政治が果たすべき最大の使命は、「我が国を守り抜く責任」を全うすることである。そのためには、外交と防衛を車の両輪とし、日本の独立と平和、そして国民の生命・財産を守り抜く「強い外交・安全保障」の確立は一刻の猶予も許されない。現行の国家安全保障戦略においても、安全保障に関わる総合的な国力の主要素として外交力が第一に挙げられており、現在、我が党で行われている三文書改定の議論においても、外交力強化の重要性は広く共有されている。

以上を踏まえ、本決議に掲げた諸施策の速やかな実行を政府に強く求めるものである。

 

1 揺らぐ国際秩序をつなぎ止める日本外交:日米同盟の強化と「進化したFOIP」の展開

日本外交の基軸は、日米同盟の更なる強化にあり、それこそが揺らぐ国際秩序をつなぎ止める大きなアンカーである。唯一の同盟国である米国との揺るぎない信頼関係を土台に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を日本が主導して堅持していかなければならない。

(1)「進化したFOIP」による地域、更には国際秩序の牽引

提唱から10年を迎えた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を時代の変化に合わせて進化させるため、本年5月、高市総理が発表した「進化したFOIP」の三つの重点分野(①AI・データ時代の経済基盤の構築(エネルギー・重要物資のサプライチェーン強靱化を含む)、②官民一体での経済成長機会の共創とルールの共有、③地域の平和と安定のための安全保障分野での連携拡充)を、同盟国や同志国・地域と共に総力を挙げて具体化すべきである。このうち、地域の平和と安定のための安全保障分野での連携拡充については、ODAやOSA、防衛装備移転・協力等、日本が持つツールをシームレスに活用、連動し、同志国との運用、訓練、関連産業や取組の連結性の向上を通じて、航行の自由やシーレーンの確保を含め、地域諸国の安全保障能力及び法執行能力を強化して、地域の平和と安定の実現のために連携していく必要がある。

(2)重層的なネットワークの構築と冷静かつ毅然とした対外姿勢

日米同盟を基軸としつつ、日本が位置するアジアにおける我が国としての主体的外交努力を継続することの重要性は論を待たず、その上で、基本的価値を共有する同志国・地域やグローバル・サウス諸国等との連携を強化していくために、G7、ASEAN、日米豪印、日米韓、日米比、EU、NATOなどの多国間・多面的な枠組みを戦略的に使い、国際社会において日本の信頼できるパートナーを増やしていく外交努力も怠ってはならない。また、TICAD9までのプロセスを踏まえ、TICADを時代の要請に応えたものにしていく。同時に、我が国の主権や国益を脅かす行為や挑発的な行為、あるいは力や威圧による一方的な現状変更の試みに対しては、冷静かつ毅然として対応すべきである。また、台湾海峡の平和と安定の重要性を国際社会に強く訴え、地域の平和と安定のために努力すべきであることは言うまでもない。

我が国として最重要課題である拉致問題については、認定の有無にかかわらず、全ての被害者の即時一括帰国を実現するため、あらゆるルートと手段を駆使し、不退転の決意で取り組まなければならない。

 

2 戦略的ツールとしてのODA・OSAの抜本的拡充

高市外交を力強く推進し、「強い日本」を実現するためには、言葉だけでなく、実力に裏打ちされた外交ツールが必要である。ODAとOSAを日本の安全保障と経済利益に直結し、FOIP実現に資する「戦略的不可欠ツール」として位置づけ、その規模と機能を抜本的に強化すべきである。

(1)OSAの戦略的拡大と防衛協力の深化

創設4年目を迎えたOSAは、同志国の安全保障能力を直接的に向上させる支援を行うことにより、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出し、同時に国際的な平和と安定に貢献する画期的なツールである。支援対象国のみならず、米国や豪州等の安全保障パートナー、更に海外進出を進めつつある日本企業を含め、国内外から高い評価を受け、特に各国軍との信頼関係の強化により、我が国との安全保障協力を深化させている。そうした極めて意義の高い取組であるからこそ、その予算と人員を飛躍的に拡充し、防衛装備移転三原則等の改正を踏まえた高度で規模の大きい案件や、同志国連携の裾野を広げるための相手国のニーズに応じた案件など、戦略的に推進すべきである。

 

(2)ODAの戦略的・効果的な実施と「日本らしい」支援の貫徹

ODA予算については、現時点では対GNI 比が0.35%(2025年暫定値)であり、国際目標0.7%の半分にとどまっていることから、目標達成を早期に図るべく予算を大幅に拡充すべきである。その上で、単なる人道支援にとどまらず、我が国の安全保障やエネルギー・重要鉱物の安定供給確保を含む経済安全保障に貢献する観点から支援先を戦略的に選定し、「日本らしい顔の見える支援」を徹底すべきである。特に、「特定海外事業」の実施に資する環境整備に向けたODAの活用を含め、グローバル・サウス諸国への関与を強化し、日本の技術と信頼をブランド化することで、国際社会における日本への支持を揺るぎないものとする。「受け手」である開発途上国の社会経済開発、「出し手」である我が国自身の国益、「国際公共財」への貢献の各観点から、「三方良し」の実現に資するODAを推進していく。そのためにも、我が国のODAが為替変動や物価高騰等の変数に左右されることのないよう、人間の安全保障の考え方に基づき、目下の開発課題の解決やそのための体制整備に必要な原資を十分に確保すべきである。同時に、限られた予算を効果的に活用するため、支援の効果を検証するフォローアップが不可欠であるところ、外部の第三者による現地調査含め、実効的なフォローアップ体制の強化を求める。

(3)各種ツールの連動性による相乗効果

OSA、ODA、防衛装備移転等の連動性を高めていく。相手国のニーズに応じつつ、非軍事・軍事の枠を超えた最適な支援を機動的に提供することで、我が国にとって望ましい安全保障環境を主導的に創出していく。

 

3 日本列島を強く豊かにする経済外交と経済安全保障

外交の成果は、最終的に国民生活の豊かさと安全に結びつかなければならない。日本の優れた技術力やイノベーション力を外交の武器とし、ODAも活用して、日本企業の海外展開を支援するとともに、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障、脱炭素・GX、健康医療安全保障、国土強靱化対策等の「危機管理投資」、AI・半導体、コンテンツ産業、新技術、海洋安全保障、創薬・先端医療、防衛産業等の「成長投資」を他省庁のツールも活用しつつ外交面で強力に後押しすべきである。

(1)新規市場・イノベーションの創出

AI・半導体、フュージョンエネルギー、宇宙・海洋、コンテンツといった戦略分野において、首脳・閣僚級によるトップセールスを加速させる。在外公館を日本企業の「海外展開支援拠点」として活用し、新規市場の開拓や対日直接投資の誘致を強力に牽引する。また、日本産農林水産物・食品の輸出促進を図り、地方経済の活性化にも外交の力を活用する。

また、先端科学技術が国際秩序に与える影響の拡大も踏まえ、戦略的科学技術外交を推進し、国際頭脳循環、国際共同研究・開発等産官学、グローバル・サウス諸国も含めたネットワーク強化により、信頼できるイノベーション・エコシステム構築を図るべきである。さらに、AI技術の発展も踏まえ、バイオセキュリティの確保に向けた取組も推進すべきである。

(2)ルールに基づく自由で公正な国際経済秩序の維持・強化

CPTPPの高い水準を堅持しつつ、経済的威圧や市場歪曲的な貿易政策・慣行に対しては、CPTPPのアップグレードの議論を積極的に主導するべきである。主要なEPA未締結国との交渉を進展させ、海外の成長を取り込むことや日本企業のビジネス環境を確保する。WTO改革を推進し、非市場的政策・慣行への対応等の新たな課題に関するルール強化を推進し、途上国のルール履行や世界経済への統合を後押しすべきである。

(3)経済安全保障の強化

エネルギー・重要鉱物、医薬品等の戦略物資のサプライチェーン多角化・強靱化を図るべきである。その具体的な取組の一環として、高市総理が発表した「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」(通称「POWERR Asia(パワー・アジア)」)を活用し、域内のサプライチェーンを強靱化していくべきであり、そうすることを通じて、我が国としてエネルギーや重要物資の安定供給を確保していく必要がある。また光回線、海底ケーブル、オープンRAN、Beyond 5G、データセンター等、日本が優位性を有する通信インフラの海外展開などについてはODAを通じた環境整備や人材育成を含めた支援を積極的に推進し、同盟国や同志国・地域との連携を進めるべきである。

 

4 我が国のプレゼンス・情報力強化、認知戦対応

国際情勢が不確実性を増す中、国際社会における我が国のプレゼンスを一層強化するとともに、我が国の外交・安全保障を支えるインテリジェンス機能を拡充していくことは喫緊の課題である。また、現代の国際競争は「認知」の領域にまで拡大している。日本の国際社会での存在感を高めるためには、我が国のナラティブやイメージを世界に広げ定着させることや、偽情報や誤った認識には客観的事実に基づき適時に反論することが極めて重要である。そのための高度な情報収集・分析能力と戦略的な発信力は不可欠である。

(1)グローバルガバナンス・地球規模課題への日本の貢献

国際社会における我が国のプレゼンスを顔の見える形で一層強化するとともに、国際規範・ルール形成において日本の国益が反映される体制を整える観点から、国連機関や国際規格関連機関を含む各種国際機関における理事国ポストの確保や邦人職員の増加に向けた取組を一層推進すべきであり、特にトップを含む幹部ポストの獲得を政府全体で組織的に支援することが重要である。そのための候補者擁立に関する省庁横断的な総合調整及び官民の人材の派遣や育成、若手職員のキャリアパス支援を、国家戦略として推進すべきである。国際競争力ある公務員の効果的な活用のため、国際機関のハイレベルポスト・幹部ポストを務める人材の効果的な育成に更に努めるべきである。また、「UN80イニシアティブ」を始めとする国連改革の議論も踏まえつつ、国際機関への資金拠出の在り方や、国際機関の活用方法について見直すべきところは見直し、同時に強化すべきところは予算を十分に手当てする等、我が国の拠出金による政策効果を最大化していく対応を強く求める。さらに、和平調停や平和構築のほか、国際保健、気候変動、防災といった地球規模課題、開発協力等の分野においても、日本の知見と技術を十分に発揮し、国際社会の安定に寄与すべきである。国際司法機関が果たす役割を引き続き重視し、国際社会における法の支配の維持・強化に貢献していくことも重要である。こうした取組を通じ、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出に貢献していくべきである。

(2)情報収集・分析能力の強化

我が国の国益、そして国民の安全を守り抜くためには、異変や脅威を早期に察知し、多様かつ質の高い情報に基づく的確な意思決定が不可欠である。政府全体としてインテリジェンス機能の抜本的強化が図られる中、人的情報や公開情報等、様々な情報源から多角的に情報を収集し、外交政策の立案・決定に資する分析を適時に提供する体制・能力を抜本的に強化していく必要がある。そうした観点から、専門人材の採用・育成、キャリアパスの確立、在外公館で情報収集・分析に従事する職員の更なる拡充などを推進すべきである。

(3)情報セキュリティ・AI基盤の構築・強化

膨大な情報の収集・分析にAI技術も活用し、迅速かつ的確な処理を行うことで、更に精緻な外交政策の実施を推進すべきである。その実施に当たっては、政府全体の情報システムのサイバーセキュリティ及びレジリエンス確保が我が国の安全保障上不可欠との認識の下、外務省においてもサイバーセキュリティに関する世界最先端の概念・技術等の積極的な活用を通じ、欧米主要国と同等以上の強固な情報セキュリティ基盤を構築するとともに、本省及び在外公館において情報保全環境を整備する必要がある。同時に、外交活動を通じて得られた各種情報や多量かつ常に更新される公開情報等を収集・分析・精査可能なAI基盤の構築、AI技術を用いた情報収集・意思決定方法の効果的な運用を行うための人材育成・確保も行っていくべきである。

(4)認知戦を勝ち抜くための情報収集・分析・ネットワーク構築及び戦略的な広報文化外交

我が国の政策や立場(領土、主権、歴史)等に対する正確な理解を広めるとともに、偽情報や誤った認識には客観的事実に基づき適時に反論するため、AI等を活用した情報収集・分析や情報発信の最適化、SNS、コンサルタント・外部専門家、インフルエンサー、有識者等を通じた機動的な発信を、様々なチャネルを通じて平素から適切に行うことが不可欠であり、そのための体制・予算を増強し、戦略的対外発信を一層強化していくべきである。また、国内シンクタンクの抜本的強化、調査・研究支援等の強化も併せて行っていく必要がある

同時に、我が国の発信を好意的に受け止める国際環境を醸成するため、人的交流を含む文化外交の推進も不可欠である。具体的には、アニメや漫画、映画や音楽、更には日本食など我が国が誇るソフトパワーを総動員して「ジャパン・フレンズ」の輪を一層拡大するともに、日系人を含む親日派・知日派の育成など外交活動の基盤となる重層的ネットワークを強化していくことが極めて重要であり、そのための在外公館(ジャパン・クリエイティブ・センター(JCC)等の広報文化センターを含む。)、国際交流基金、ジャパン・ハウスの予算・体制をしっかり増強すべきである。また、外務省、JICA、国際交流基金等の各種派遣・招へい事業についても、フォローアップや外交政策上の効果の検証を伴うものとしながら更なる拡充を進めるべきである。

(5)国際観光施策に資する我が国の魅力の発信

広報文化外交を活用して「我が国の多様な魅力に関する情報の入手」を促し、国際観光旅客を地方に効果的に呼び込むことで、外交力を強化する目標も持ちながら政府全体の観光政策を推進すべきである。昨今、特に大都市におけるオーバーツーリズム対策の強化も求められており、多様な魅力を有する我が国の地方に外国人観光客を呼び込むこと、更には外国人観光客が日本の文化、習慣、マナー等に沿って観光等を楽しむための対日理解促進を強化していくべきである。国際観光旅客のためのこうした施策にジャパン・ハウス等の広報文化外交事業も導入することにより、効果的な魅力の発信と対日理解促進につなげていくべきである。

 

5 外交・領事実施体制の抜本的強化

外交の最前線に立つのは「人」である。上述のような外交政策を着実に実施するための予算を為替の影響や現地の物価も勘案しつつ拡充することを含め、外交・領事実施体制を抜本的に強化することは待ったなしであり、その視点を忘れてはならない。

(1)外交実施体制の「数」と「質」の拡充

主要国に比肩する外交実施体制を整えるため、外務省の職員数を増やすことが喫緊の課題である。近年、定員数は着実に増えてきているものの、2030年代初頭までに8,000名の実現という目標の達成は極めて難しいと言わざるを得ない。外交課題が山積する中、これに対応する体制を一刻も早く整えるべきであり、また、政府におけるインテリジェンス機能強化の動きにも基づき、情報収集・分析に係る専門人材を含め、令和9年度において上記目標達成に資する必要な定員の増強と優秀な人材の採用・育成を強く求める。これに加えて、より中長期的・戦略的視点から、我が国の国益確保のための外交拠点の在り方について不断に検討していくべきである。特に、アフリカ等今後更なる成長を期待できる地域の活力を取り込み、日本の成長にもつなげていくことは我が国国益にも資するとの考えの下、既存の在外公館の機能強化はもちろんのこと、250公館実現に向けた在外公館の新設についても戦略的に進めていく必要がある。同時に、緊急事態対応や邦人保護、情報保全等に万全を期すため、在外公館の機能強化等の「質」の拡充を図るとともに、国有化の更なる推進を含め、中長期的な取組が必要な在外公館の強靱化も計画的に推進すべきである。加えて、我が国の食文化の発信を強化するため、質の高い在外公館の料理人確保に向けて取り組むべきである。

また、日本外交の機動力を高める観点から、政務三役が海外出張等の外交活動を積極的かつ臨機応変に展開できる環境づくり・体制強化も必要である。

(2)職員の処遇改善と勤務環境整備

外交官が誇りを持って仕事に邁進し、その能力を最大限に発揮できる魅力ある勤務環境を整備することは極めて重要である。物価高騰や円安の影響を受ける在外職員・職員の家族の生活環境を改善するため、住居手当や子育て・教育支援、若手職員の手当を抜本的に拡充すべきである。また、外交への関与を通じた自己実現感や達成感の欠如、処遇・勤務環境への不満、家族や人生プランとの関係等によって優秀な人材が離職を選択したりキャリアを断念せざるを得なかったりすることがないようにしていくことは、組織としての責務である。さらに、職員の出張旅費を含めた必要な経費は、予算制約によって各種外交活動が鈍ることがないよう、公用マイレージの活用も含め、十分確保すべきである。

(3)邦人保護と領事サービスのデジタル化

国民の安全を守る領事体制を抜本的に強化する。在留邦人及びその家族の安心・安全を守ることは在外公館の最も重要な任務の一つであり、在外教育施設の安全確保を含めた平時の邦人保護に万全を期す。同時に、緊急事態における邦人退避に向け、平時から自衛隊機や民間チャーター機を活用した実践的な訓練を積み、同志国・地域との連携を強化する。また、査証(ビザ)を始めとした領事業務のデジタル化を推進し、利便性とセキュリティを両立させた次世代の領事サービスを実現する。さらに、海外の在留邦人の利便性向上のための在外選挙制度の在り方について、デジタル化・効率化も含め、関係省庁とも連携しつつ積極的に検討していくべきである。

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著者

牧島 かれん

牧島 かれん

選挙 第51回衆議院議員選挙 2026年 (2026/02/08)
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