選挙ドットコム

北神 けいろう ブログ

真の「デフレ脱却」とは。日本経済は低賃金スパイラルに陥っている。

2020/10/26

新しい総理・内閣が誕生し、今ここでふり返って、安倍政権誕生の2012年末からの景気拡大期の分析をするのも決して無意味ではないだろう。新型コロナ不況以前から、我が国の産業経済が、一般に思われているより厳しい状況にあることが分かるからである。

一言でいえば、日本経済は低賃金スパイラルに陥っている。

 

【低賃金スパイラルの実態】

具体的には、①消費が伸びない→②中小零細企業とりわけ小売業が人員削減、場合によっては倒産→③あぶれた労働者は大企業に再就職するが、大半とまでは言わなくても、多くは非正規雇用で採用→④平均賃金が伸びない→振り出しに戻って、①消費が伸びない。。。

この悪循環を断たないと賃金は上がらない。そして消費は増えない。

よく言われるように、たしかに大企業は2012年末から「営業利益」が7割以上伸びている。前代未聞の利益だ。さぞかし給料も増えていると思いきや、大企業の一人当たりの平均賃金は1.2%減少しているのである。要は、増えた利益は株主配当や税金支払いに回されているものの、賃金は引上げられず、内部留保におさまっているということである。

もっと詳細にみれば、大企業の利益の増え方もいびつだ。「売上」は実はそれほど増えてはいない。どのように利益を増やしたかというと、一つは人件費の削減である。もうひとつは、たまたまこの時期、原油価格が安くなっていたので、原材料の経費が大幅に減ったのである。

ここで私たちの課題は、「この悪循環を断ち切って、どうやって賃金を上げるのか」だ。これには様々なやり方がある。①最低賃金の引上げ。②「同一労働同一賃金」の定着。③経済成長を伸ばす。④生産性の高い産業を発展させること、が挙げられる。

 

【最低賃金の引上げ】

まず、最低賃金については、政府はこれを引き上げようとしている。菅総理の強い意向だそうだ。しかし、新型コロナの影響で企業が疲弊している中、それらの個々の体力に応じて最低賃金を引き上げていかなければ、不当に中小企業を追い込むことになる。いや、むしろ、菅総理の参謀であるデービッド・アトキンソン氏は、中小企業を淘汰することで経済全体の生産性を向上させることできるという考え方である。

私自身、必ずしも最低賃金の引き上げに反対していないが、個々の企業には個々の事情がある。とりわけ中小企業は大企業と全く事情が異なる。政府によって無理矢理に大手も中小も一律最低賃金を引き上げることには反対だ。

 

【同一労働同一賃金】

次に、「働き方改革」の一つの目玉「同一労働同一賃金」について触れる。これは文字通り、正規であろうと非正規であろうと、同じ仕事をしているのであれば同じ賃金を支払うことを意味する。

うまくいけば、大企業の非正規雇用として採用されたとしても、それなりに正規雇用と同じような賃金を得ることができ、結果として消費が増えることにつながり、良い循環に転換する可能性がある。

しかし実際には、大企業では、逆に非正規雇用の賃金水準まで正規雇用の賃金水準を下げようとしている。例えば、正社員の家族手当や住宅手当を廃止する企業が少しずつ増えている。これでは平均賃金の上昇にはつながらない。むしろ逆方向になる。やはり、非正規雇用の賃金が上がるような政策を考えていかなければならない。

そういう意味では、非正規雇用の正規雇用化をもっと進めなければいけない。もちろん、多様な働き方があり、非正規雇用の方が自分の生活様式に合うという方もいる。また今の日本の雇用制度の中で、非正規雇用を積極的に活用しないとなかなか経営が厳しいということも理解できる。

私は、大企業については、非正規雇用をすべて規制するのではなく、「一定の契約期間、働いた者は正社員にしなければいけない」という義務規定を罰則付きで強化することを提案する。現在、非正規雇用が労働者全体の4割程度も占める。この割合を減らしていかないと平均賃金は上がらないのである。

 

【経済成長の増強】

三つ目に、やはり経済の成長率そのものを引き上げること、これが経済政策の王道である。これにより全体の消費や賃金の水準を引き上げることにつながる。これは先のブログでも取り上げたとおりであるが、1)労働力人口、2)設備投資、3)生産性の3つの要素でしか、成長率を伸ばすことができない。

このうち、人口政策としての家族政策を強力に実行すべきである。また、生産性を上げるためには、研究開発に国の予算を集中投入するのと同時に、教育水準を上げるための政策なども推し進めるべきだ。

 

【産業政策】

最後に、産業政策についてはどうか。これまでの日本経済の強みは「ものづくり」だった。しかし、2012年末からの景気拡大期においてでさえ、日本のものづくり産業の売上はあまり上がっていない。国内景気も良く、輸出も好調である中にあっても、なかなか売上が上がらず、結果として人件費削減という「乾いた雑巾」を絞らざるを得なかったのである。また、たまたま原油安という追い風にも恵まれ、利益を増やしてきたのである。これが今の日本の産業の厳しい現状である。

ところが、賃金が高く、売上げも伸ばしてきた産業がある。これが「高度サービス産業」だ。情報通信関連企業、学術関係、技術や知識を提供するサービスのように、知的な資産を提供する産業である。現実、今後については、こうした産業が若者の雇用と将来の経済を背負っていくだろう。だからこそ、政府はこうした産業に力を注ぎ込むべきである。規制緩和などの方法もあるが、やはり高度サービス産業で活躍できる人を育てる教育が必要である。大学院の教育、とくに金融や、コンピューターサイエンス、データサイエンスといった分野に相当力を入れなければ、日本は遅れを取り戻すことはできない。

米国においては、ものづくり産業の雇用よりも、「高度サービス産業」の雇用の方が圧倒的に多くなっている。この20~30年で、アップル、グーグル、アマゾンといった企業が発展して、多くの米国人の雇用を増やしている。だからこそ米国の平均賃金が上がってきたのである。

 

【真の「デフレ脱却」とは】

賃金が上がることが、本当の意味での「デフレ脱却」である。金融緩和や円安政策により無理に物価を上昇させるのではなく、売上が伸び、賃金が上がり、その結果として物価が上がる。今やらなければいけない経済政策は、こうした好循環をつくりだすことに焦点を絞るべきではないか。

いずれにしても、魔法の杖はない。魔法の杖はないが、地道な政策を推し進めることが、日本経済の底上げにつながり、生活の豊かさを確保できるのだと確信している。「急がば回れ」である。

この記事をシェアする

著者

北神 けいろう

北神 けいろう

選挙 第48回衆議院議員選挙 (2017/10/10)
選挙区

京都4区 71,068 票 比例 近畿ブロック 希望の党

肩書・その他 前衆議院議員
党派・会派 無所属

北神 けいろうさんの最新ブログ

北神 けいろう

キタガミ ケイロウ/53歳/男

月別

ホーム政党・政治家北神 けいろう (キタガミ ケイロウ) 真の「デフレ脱却」とは。日本経済は低賃金スパイラルに陥っている。

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtube