1票の格差が選挙のたびに話題になるけど、何が問題なんだろう?
なんだか難しく感じる……。
当選者1人当たりにつき有権者の数がその選挙区での「1票の価値」です。選挙区ごとのその価値の違いを「1票の格差」と呼びます。1票の格差は人口の違いや投票率によっても左右されますが、人口差が少なくなるよう選挙区を設定する配慮が望まれます。
解説
有権者の数の割合は各選挙区で異なります。そのため生じるのが「1票の格差」です。これは地域によって人口が違うため、どうしても生じてしまう問題です。裁判でも違憲判決が出たこともある「1票の格差」。どんな問題があるのでしょうか?
例えば衆議院議員選挙で行う小選挙区選挙の場合、各選挙区から最多得票者1名が当選します。それに対し、有権者の数は地域によって差があります。例えば、小選挙区Aの有権者は50万人、小選挙区Bの有権者は100万人、当選者数はどちらも1人だった場合、A地区とB地区の格差は2.0倍(A地区の有権者の1票の価値がB地区の有権者の1票の価値と比べて2.0倍)となります。
選挙区の有権者の数が多ければ多いほど1人当たりの票の価値は下がってしまいます。すなわち、1票当たりの持つ効力に差が出てしまうのです。有権者はみな同じルールで投票をするのに、最初から地域によって1票の価値が違ってしまっている(そしてその格差が大きいままである)のは問題がある、と考えるのが、「1票の格差」を是正する立場の考えです。
「1票の格差」は、日本の選挙の根本のところにある問題点なのです。
では、「1票の格差」はどうしたら是正できるのでしょうか。
選挙区の設定をし直すことで、1票の格差を縮めていくことが可能です。海外に目を向けると、1票の格差を生じさせないための具体的な基準を25%もの国が定めており、格差が生じにくいよう選挙区の設定が配慮されています。
具体的には、オーストラリアやシンガポールといった国が挙げられます。オーストラリアでは将来の有権者の人数を予測した上で区割りを行い、シンガポールでは各選挙区の1議席につき人口の差が30%以内となるよう有権者の数を設定しています。
また、韓国では、1議席当たりの人口が全国平均から50%の差が生じる場合は違憲、とする判決が出たという例があります。
日本でも現在の「1票の格差」について、選挙が無効になった例はありませんが、「違憲」や「違憲状態」とする判決が出たことはあります。完全に格差をなくすことは容易ではありませんが、衆院選の区割り変更が行われるなど、格差の解消に向けた動きもみられます。
お住まいの地域と他の地域とで1票の格差がどれくらいあるか調べてみよう
目次
家を訪問して選挙の投票をお願いするのは法律違反?【戸別訪問の禁止】
選挙のことを決めている法律ってどんなもの?【公職選挙法とは】
たびたび名前を聞く「1票の格差」って何が問題なの?【1票の格差とは】
選挙期間以外に選挙運動をしたら法律違反!?【選挙運動と事前準備の違い】
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当選しても落選しても、選挙の候補者は祝勝会禁止!【立候補者のあいさつ行為の禁止】】
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