選挙に出る人が有権者の家を回るのは禁止なんだって。なんでだろう?
直接政治家と話せたほうが親しみが持てると思うけどなあ。
戸別訪問、実は違反行為です!一軒ずつ家を訪問し、特定の立候補者や政党への投票を依頼する行為を「戸別訪問」と言います。しかし、これは投票の公平性を欠く恐れがあるため公職選挙法で禁止されています。
解説
選挙に立候補した本人、または支持する立候補者や政党が存在する人などは、有権者に「ここに投票してほしい」と頼みたくなるでしょう。しかし、政治活動において、有権者の家を訪問して投票の依頼をする「戸別訪問」は禁止されています。候補者、そして支持する政党や立候補者がいる人も注意したいものです
支持政党や候補者への熱意からつい戸別訪問をしてしまう方もいますが、戸別訪問は公職選挙法で禁止されている行為です。有権者にとっても政治に触れる機会となる戸別訪問はなぜ禁止されているのでしょうか。それには大きな理由があります。
有権者には誰に投票しても良いという自由があり、また投票は公正な判断のもとで行われる必要があるからです。
あなたが親しい人に戸別訪問をされて、特定の立候補者に投票するよう頼まれたとします。あなたはその行為によって、特定の候補者に投票しなければいけないという気持ちや、違う人に投票すると依頼者を裏切ってしまうのではないかというような気持ちになり、納得のいかない一票を投じることになってしまうかもしれません。また、立候補者を宣伝されることで対象者が魅力的に見え、公正な判断ができなくなる可能性もあるでしょう。
有権者は誰でも、公正な判断のもと自分の納得のいく一票を投じる権利があります。
戸別訪問が禁止されているのは、有権者の自由と判断を守るためです。
公職選挙法第138条では、選挙に限らずすべての政治活動における戸別訪問を禁止しています。誰であっても、どのような方法であっても、戸別訪問による特定人物への投票の依頼、演説会への勧誘をしてはなりません。もし違反すると、当選が無効になったり、一年以下の禁固刑または30万円以下の罰金が科せられる罰則が適用されたりしてしまいます。
戸別訪問の禁止は「政治的言論表現行為の制約」として、憲法第21条1項にある「集会、結社及び言論、出版、その他一切の表現はこれを保証する。」の一文に反しないか、として1981年6月に最高裁判所で争われた事例があります。これに対し、最高裁が下した判断は「(戸別訪問の禁止は)合憲である」でした。
また、個々の家を訪問する行為を禁止しても、選挙運動や意見表明の自由を侵害することにはなりません。街頭での演説やネット選挙など、戸別訪問以外にも宣伝の方法はたくさんあります。政治活動の際には法律違反にならない方法を使いましょう。
海外の選挙ではどんな選挙運動が行われているのか調べてみよう
目次
家を訪問して選挙の投票をお願いするのは法律違反?【戸別訪問の禁止】
選挙のことを決めている法律ってどんなもの?【公職選挙法とは】
たびたび名前を聞く「1票の格差」って何が問題なの?【1票の格差とは】
選挙期間以外に選挙運動をしたら法律違反!?【選挙運動と事前準備の違い】
インターネットを利用した選挙運動(ネット選挙)にも決まりがあります!【ネット選挙と禁止行為】
当選しても落選しても、選挙の候補者は祝勝会禁止!【立候補者のあいさつ行為の禁止】】
街頭演説はうるさい!? 公職選挙法上の決まりは?【街頭演説のルールとマナー】
投票日以外にも投票はできるの?【期日前投票について】
政治家は寄付が禁止されているって本当?【公職選挙法における寄付の禁止】
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