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「法の支配」とICC制裁問題/超党派議連共同代表を務める自民党・中谷元衆院議員が指摘する問題点とは?

2026/9/29

選挙ドットコム編集部

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2026年9月27日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、自由民主党衆院議員の中谷元氏をゲストにお迎え!アメリカによる国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長に対する制裁に対して、中谷氏が共同代表を務める超党派議連「人権外交を超党派で考える議員連盟」ではアメリカに制裁の撤回を求めることなどを訴えています。地政学的変化によって「力による支配」の構図になりつつある今こそ「法の支配」が大事だと強調する中谷氏の抱える危機感とは?MCの産経新聞編集長・水内茂幸記者が迫ります!

MC水内記者:中谷さんは超党派で作られている「人権外交を超党派で考える議員連盟」の共同会長という立場です。

中谷氏:これは元々、「IPAC(アイパック、対中政策に関する列国議会連盟)」という中国のウイグルの人権問題を世界中の国会議員で考えましょうという連盟があって、(米国務長官の)ルビオもアメリカの代表だったんですよ、ルビオさんも。私も山尾(志桜里・元衆院議員)さんと日本の代表をやっていましたけれど。それがやがて香港の民主化の問題、今回は、ICC(国際刑事裁判所)の赤根(智子)さんが非常に困難な状況にあるということで、それに対して「みんなで守って救っていこう」という活動をしております。

MC水内記者:ICCには日本でずっと判事も出してきたし、一貫して「法の支配」というのを一番大事にしてきたのがやはり日本だ。今もう「力の支配」なんて言われていますけれどもの、やはり「ICCというのは法の支配の砦だ」みたいなことも言われています。今回、高市(早苗)さんがICCの赤根さんに対してトランプ政権が制裁という形を出した時に「残念だ」という表現だけにとどめていたことにちょっとこう足りないというか、「これもう少し強く言った方がいいんじゃないか」という懸念がありましたけれど。

中谷氏:残念でしたよね。

MC水内記者:うん、そうですよね。ただ今回ですね、トランプ大統領との会談で総理がしっかりこの問題を取り上げて日本側の立場を説明して、あと国連総会の一般討論演説とその後の記者会見で、我が国は国際社会における法の支配の徹底のためICCを一貫して支持しているとはっきりおっしゃったりしていますけれど、まずこの一連の動きは中谷さん、どういう風に見てらっしゃいますでしょうか?

中谷氏:今回のアメリカの突然のICCへの制裁などについてはですね、議員連盟としてもいち早く意見を発表して、官房長官にも申し入れをして「政府として断固赤根さんを守り、アメリカに対して撤回を要求してくれ」と要望いたしました。そこで今回総理が訪米して国連総会で、演説をしましたけれど、その中にはやはり「日本は法の支配を重視するんだ」と。そして「国際刑事裁判所(ICC)を支持して判事も出している」ということも記者会見で言ったし、それからトランプ大統領との会談でもICCを議題に上げて率直なやり取りに取り組んでくれたということで、総理のそういった行動・思いについては非常に感謝しております。

MC水内記者:トランプ大統領の前でこの話題を出すというのは、しかも40分の中で色々会談自体が今回日米で難しい感じだったと思うんですけれど、この中でも出したというのは一定やっぱり意義というか強い決意が……

中谷氏:そうですね。このICCというのは「法の支配」ということで日本の看板なんですね。「力による支配」ではなくて「法の支配で世界の平和を」ということで、特別にこの刑事裁判所……元々東京裁判とかニュルンベルク裁判とかありましたけれど、あれはもう勝者による裁判で非常に問題もあったので、ローマ規程というのが1998年に採択されて、そこでこういった戦争犯罪を犯した個人を調査しましょうということで。この戦争犯罪についてはジェノサイド(集団殺害)、それから戦争犯罪、また国際人道法とかジュネーブ条約での捕虜の扱いとかですね、そういうのを全部入れて、いわゆる戦争犯罪について特定の個人の犯罪として調べて立件する裁判所が2002年にできました。常設の裁判所で、現在125カ国が加盟してオランダのハーグに本部を置いています。

赤根さんがその判事(裁判官)として活動しているわけでありますが、日本としてもしっかりこのICCを守って、赤根さんに対する制裁、またICCの活動が止まらないように今一生懸命全力でやっていこうというところなんですね。

MC水内記者:そもそも、そのトランプさんなんですけれど、国連総会で各国にICCの脱退を呼び掛け、邪悪な組織だ、反米的な裁判所だ、米軍関係者を捜査対象者にすることは許されないみたいなことを述べています。元々アメリカというのはICCの加盟国ではないですけれど、このトランプさんの一連の話というのはどういう風に受け止めていますか?

中谷氏:今のところ、このアメリカの呼びかけやアピールに同調したり評価をしている国はあまりないですね。ですから、こういう「法の支配」ということに対して脅しをかけたり安全保障を絡めたり、まさに「法の支配」を逸脱するようなことをやるアメリカの姿勢については独善的で、法の支配の理念や意識が少なくて、米国内でも厳しい評価があるんじゃないでしょうか。

MC水内記者:やっぱり最近特にイランをやった後ですけれど、少し自分なりのルールみたいな部分が強調されすぎているところもあるのかなと。これが物価高など他のことも色々関連してトランプ大統領の支持率がちょっと下がってくるところにも影響してくるのかなという風には思います

中谷氏:今、やっぱり地政学的変化が起きて「力による支配」の構図になりつつあるんですけれど、だからこそ「法の支配」が大事であって、今回こういった圧力の中で赤根さんたちは一生懸命国際法を守り続ける姿勢を示し、ICCを守り続けております。

したがってオスロの国際平和研究所がノーベル平和賞の候補を毎年発表していますけれど、本年度のノーベル平和賞の候補としてICCが挙がっているんですね。

MC水内記者:トランプさん、「自分が平和賞になってほしい」と自分で言っていたこともあったぐらいなんですけれどね。

中谷氏:そうですね。けれど決めるのはノルウェーですからね。

MC水内記者:まあそうですよね。ここで1点、ICCを巡ってなんですけれど、逆の立場でね、少し日本国内もこういった声があるんですけれど、例えばその中国の、まさに最初におっしゃったウイグルで行われている非加盟国の人権弾圧とか、加盟国の問題は取り締まるけれど、非加盟国に対しては弱いのではないかと。あと例えば(イスラエルの)ネタニヤフ首相に逮捕状が出ていますけれど上空を通過するのを許す国もあったりとか、なかなか理念はそうだけれど、実態としてやりきれないんじゃないかという声がありますけれど、ここはどういう風に思いますかね?

中谷氏:まず原則として、直接当事国でないところにはかからないと。やっぱり加盟国がこの訴えを聞くということで、被害国も加盟国ですから。この場合、中国のウイグルの場合は非加盟国が中国でありますので、直接自国で捜査や追訴を行っていないということで、制度上は管轄権が及ばないということなんですね。

したがってICCとしては原則としてこういった中国国内の問題について直接管轄する権限は持ちません。これは忖度ではなくて国際法の原則で、ウイグルにおいても、今のところはそこに踏み切れていない。

ただし、この問題は5年ぐらい前に私が岸田内閣で国際人権問題担当補佐官をしておりまして、このウイグルの問題について国連人権理事会がジュネーブにありまして、そこの総会へ出て中国のこのウイグルの問題を取り上げたら、バチェレさんという人権理事会トップの高等弁務官が自ら中国へ行ってこのウイグルの状況を見てきてですね。それでこの中で「深刻な人権侵害があった」ということを人権理事会に報告してくれたんですよ。

ところがそれを総会にかけたところ、中国からものすごい巻き返しというか根回しがあって本会議で否決をされてしまったんですけれど、一応そういう人権理事会としても議題には取り上げたんですけど、まだまだそれが解決するには至っていないんですね。

MC水内記者:なるほど。でもここは絶対に我々が注視していかなきゃいけないところでもあるし、無視するわけには絶対いかないと思うんですよね。

中谷氏:そうですね。アメリカはウイグル制裁法、それからマグニツキー法ということでヨーロッパ各国でも人権侵害があった国からの「貿易を止めましょう」とかそれぞれ国内で対応していますけれど、日本の場合はそういった人権侵害の国に対して制裁するという法律をまだ国としても作っていないし、議員連盟で作りたいんですけれどまだそこまでいっていないんですね。

MC水内記者:日本の姿勢を示すためにもぜひやってほしいなという気はしますけれどもね。

MC水内記者:日本政府の対応として、安全保障とかそういうものでアメリカには頼るという部分がどうしてもあるものの、この「法の支配」というのを軽んじる形になってしまうと、中国が何をしているのかこれをブロックするという基本的な原則、特に日本のように核兵器を持たず安全保障を頼っている国からすると「法の支配を守る」、インド太平洋のところでもよく「法の支配」と言いますけれど、この原則を疎かにすると途端に根本論が崩れるというのがあるんですよね。だからここはこだわり続けた方が絶対にいいですよね。

中谷氏:やっぱり自国の安全保障とこういった「法の支配」という国際的な安全保障、中国が勝手なことをしないようにするために「国際法を守れ」ということは両方大事なんですね。

例えば安全保障の中でも沖縄問題とか核の問題とか両方色々あるけれど、お互いの国益のためには両方大事ですから、二律背反ではないんです。だから日米安保も大事だし、法の支配も大事だということで、これこそが外交なんですね。しっかりと説明して理解してもらうようにということで、アメリカとは意見が合わないということになっていますけれど、粘り強く主張して、しっかりと法の支配の原則、今120カ国以上が入った国際刑事裁判所が機能しているわけですから、それを続けていくことが大事だと思います。

MC水内記者:なるほど。それが本当に究極、日本人の生命と暮らしを守るためにはそこを両輪としてやらなきゃいけないということですね。

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