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基地問題への関心や態度が変化している?ネットの影響は?沖縄県知事選挙序盤情勢調査の裏側をJX米重克洋氏が徹底解説

2026/9/4

選挙ドットコム編集部

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2026年9月3日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、8月27日告示・9月13日投票の沖縄県知事選挙の情勢調査について解説。「横一線」の要因分析、沖縄県で見られる「革新バイアス」と調査手法の改善の歴史、そしてマスメディアからネット・SNSへのメディアシフトの影響についてJX通信社代表取締役・米重克洋氏が解説します。MCの選挙芸人・山本期日前氏が深掘りしてお話を伺います。

※沖縄県知事選挙には届け出順に、新人の古謝玄太(こじゃ・げんた)氏(42)、新人の兼島俊(かねしま・しゅん)氏(48)、新人の末吉正弘(すえよし・まさひろ)氏(73)、現職の玉城デニー(たまき・でにー)氏(66)、新人の比嘉隆(ひが・たかし)氏(49)、新人の屋良朝助(やら・ちょうすけ)氏(74)の6名が立候補しています。

MC期日前氏:琉球新報社とJX通信社の沖縄県知事選の情勢調査を9月1日に出されました。これが沖縄知事選でのメディア等の媒体が出す最初の調査になっております。有料記事も含まれていますので、見出しだけ触れさせていただきますと、【沖縄知事選】古謝氏 玉城氏 横一線 投票先未定は5割 投票「行く」は7割 琉球新報・JXネット情勢調査、という見出しが出ております。

大方の見方だと、割と接戦ですが、玉城さんの方が名前先行しているんじゃないかという見方があったのですが、古謝さんの方が先に名前が出ているということで、今かなりざわついております。(中略)

米重氏:これは見出しの通り、古謝さん、玉城さんが横一線であるという、私どものデータを基にした琉球新報による情勢判定です。横一線ということは、今の情勢で言えばどちらが当選してもおかしくないということを示しているとご理解いただくといいですね。

MC期日前氏:古謝さんが自由民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党、公明党県本部の推薦。玉城さんがオール沖縄の団体などの支援を受けて、今回(政党の)推薦はどこからも出ていない状況ですが、日本共産党、立憲民主党、社会民主党などから応援を受けている形になっています。

ネット上でもすでに結構コメントが上がっていまして、これはネットの情勢調査だから、電話調査だったらもっと現職の方が高く出るんじゃないかと言っている人たちもいるのですが、米重さんはどのように思われていますか?

米重氏: 確かに、電話調査とネット調査には傾向の違いがあります。電話調査の場合は比較的高齢の方を捕捉しやすく、ネット調査はそれよりも若い世代の方をしっかり捕捉できるという、バランスを取ってどちらがどうだという考え方はあります。

ただそれとは別に、沖縄の場合には調査に地域固有のバイアスが生じやすいという部分もあります。そのため我々としては、ネットをメインにした情勢調査の方が、現在の調査環境と沖縄の地域固有の事情の両方を勘案した時に適しているのではないかと思っています。

「ネット調査」と言うと誤解されるところもありますが、思いついたようにXなどで投稿されているようなアンケートではありません。あらかじめ登録されている沖縄県民のパネルの中から丁寧にサンプリングをして、統計的に良い形の調査になるよう、かなりコストをかけて実施しています。ですので、信頼性において電話に劣るということは全くありません。

むしろ近年の選挙情勢調査で言うと、ネット調査の方が都市部を中心に実際の得票率に対してかなり正確に出るという全国的な傾向もあります。そのため、今回もこのネット調査を採用しているという部分があります。8年前に我々が琉球新報さんと調査をご一緒し始めた時は電話でやっていましたが、今回は手法を変えています。

MC期日前氏: 米重さんは、今年の衆院選や去年の東京都議選のタイミングでも、「都内に関しては電話とネットをミックスするよりも、ネットだけで調べた方が正確なのではないか」とお話しされていたと思いますが、これは沖縄県でも同じように見ているのでしょうか?

米重氏: そうですね。私どもがここ数年行っている調査に関しては、もちろん電話とネットを比較していますが、単純に当落順位を見定めるという意味ではネットの方が正確です。ですので、今回もネット調査は自信を持って提示できるものだと思って実施しています。別に電話と比べてコストをケチっているとか、精度が劣るとかそういう話ではないということはお伝えしておきたいです。ちゃんとやるための方法として、こういう方法を採用したということです。

MC期日前氏: (中略)都市部の方がネット調査によって動向を掴みやすいということですが、これは沖縄県でも那覇市の動向がものすごく影響する等、そういった点も含まれるのでしょうか?

米重氏: そういう部分も多少はあると思います。もちろん、地域ごとに極端に偏在してしまうと読みづらくなってしまうので、サンプリング上で留意したり補正をかけたりして修正する方法はあります。全国的な傾向で見ると、都市と地方で言えば人口密集している都市部に関しては、ネット調査はかなりそのままズバリの結果が出ることが多いですね。例えば、先ほど衆院選のお話が出ましたが、その際も1月20日前後くらいに全国で大規模な調査を行ったのですが、対象となった全部の選挙区で自民党がリードしていたんです。まだ選挙が本格化していない状況でした。

MC期日前氏: 2月8日が投票日で、公示を迎えていない時期でしたよね。

米重氏: これはなぜだろうと思って調べ始めた時に、「立憲民主党支持層が中道改革連合に行かずにメルトダウンしているのではないか」という仮説を立てました。その後の調査で裏付けを取り、投票日の数日前くらいから選挙ドットコムなどでデータをご紹介していったのですが、ネット調査でなければ気づくのが遅れていたと思います。

MC期日前氏: 1月の段階ですでに出ていたのですね。

米重氏: そうなんです。そういう意味ではネット調査はかなり良いものだと思って実施しています。

MC期日前氏: 電話調査よりも早めにトレンドを押さえられるということですね。

米重氏: そうですね。あとは最近、ネット世論の影響が非常に大きくなっています。ネット地盤が強い候補者は伸びやすいといったことも言われていますが、ネット調査の場合は電話と比べて複雑な質問ができるというメリットがあります。耳で聴いて答えるのではなく、目で見て選択肢を選んでもらえるため突っ込んだ内容を聞くことができます。

例えばYouTube、X、TikTokといった情報源ごとに支持率や投票動向を見ていくことも可能です。電話ではこれが難しいです。こういったことができると、データの解像度が上がり、分かることが増えます。最近我々は琉球新報さんに限らず、全国の多くの地方紙・地方局と情勢調査を年中行っていますが、電話とネットのハイブリッドか、もしくはネットのみで実施するケースが多くなっています。

MC期日前氏: 気になるのが、選挙の直前に下地幹郎さんが立候補を取りやめ、自民党本部と(政策に関する)合意書を結んだという件です。これで保守一本化が進み古謝さんに有利になるという見方がある一方で、地元の自民の沖縄県連に全く根回しなしで党本部が頭越しに行ってきたため、玉城陣営としては「沖縄のことは沖縄県民で決めよう」というプロモーションを展開しています。

下地さんがおりたことが古謝さんに有利に働いている説と、玉城さんにむしろプラスに働いている説がありますが、実際にはどのように捉えられていますか?

米重氏: 琉球新報と我々JX通信社の調査フレームで言うと、今回の断面では下地票がどう動いたかまでは分からないという答えになります。ただ、前回選挙の得票割合で見ると「玉城さん5割、佐喜真淳さん4割、下地さん8%」といった割合でした。その8%の行き先や内訳の構造を考えると、下地票のある程度大きい部分は古謝さんの方に行く可能性はあると、私個人としては思います。

MC期日前氏: 全部が行くかは分からなくても、一定数は行くということですね。自民党本部が介入したわけですが、地元でハレーションが起きたとしても、候補者をおろすという選択はむしろプラスに働く、やった方が良いというイメージなのでしょうか?

米重氏: 直感的にはやった方が良いと思います。選挙は「構図」だからです。どんなに強い候補者や良いタマ(候補者)であっても、どうやっても勝てない構図の中で出てしまうと勝てないんですよね。構図をつくりに行くとか、不利な構図であれば変えに行くということは、選挙を勝つためには絶対に考えなければならないことです。それができる腕力があるのが、長らく政権与党をやっている自民党の人たちで、今回も行われているということだと思います。

あとは、それを沖縄県民の皆さんがどう受け止めるかですね。「東京からねじ込まれた」と思うのか、「政党のラベルで投票しよう」と思うのかというところです。

MC期日前氏: そもそも、下地さんがおりた経緯などを一般の方がどれくらい知っているものなのでしょうか?

米重氏: そこなんですよね。あまり知らない可能性も正直あると思います。

MC期日前氏: 政治に関心がある人間なら知っていると思いますが。

米重氏: というのも、昔なら一気にみんなが知ることになったと思いますが、今はメディア環境が変わってきています。政治に関する情報がテレビや新聞を中心に社会に流通していたのが、ネットやSNSへとシフトしており、マスメディアの影響力が相対的に下がっています。

消費者の時間の使い方が変わったことで、政治部的・政局的な解説が一般の人たちにどこまで広く知れ渡るかというと難しい部分があります。また、ネットはネットでSNSなどで熱心に政治の話をしているのは、言い方は悪いですがちょっと変わっていて、「普通の有権者」ではありません。政治に対して熱量の高い人たちの間でハイコンテクストな情報交換が行われているだけで、普通の人たちはそこまで知らないということがよくあります。

MC期日前氏: 選挙ポスターを見て「あれ、下地さんいないの?」と疑問に思わないのが「普通」ということですね。(中略)「党本部から介入があった」なども特に知られていないと。

米重氏: もちろん知っている人に対してアピールする効果はあるので、「沖縄のことは沖縄で決める」というメッセージで内輪を固めたり身内の危機感を高めたりする意味で、玉城陣営がやる意味はあると思います。ただ、広く一般の人に届くかどうかは、今のメディアシフトの状況からすると分からないですね。

MC期日前氏:その環境が変わってきたということが、一つの動作の影響が弱まってきた形になるのですね。(中略)

MC期日前氏: 過去の知事選の傾向からも、沖縄が他の都道府県よりも情勢をはかるのが難しいというお話も伺いましたが、そのあたりを詳しく教えていただけますか?

米重氏: 沖縄は他の地域と比べて情勢調査の出方に特色があるとすると、いわゆる「革新バイアス」のようなものが存在します。私がそう名付けているだけで、一般的に言われているものではありません。調査をした際にどちらかというと革新寄りに回答が出やすい傾向があります。出口調査をやっている方もそうした傾向があるとおっしゃっています。

どういうことかというと、実際の選挙結果が革新系6割・保守系4割だったとしても、電話調査や出口調査では革新7割・保守3割といった形で、革新が多めに出る傾向がかつてありました。それが顕著に出たと言われているのが2018年の名護市長選挙ですね。

基地問題の最前線である名護市で、当時の稲嶺進市長と渡具知武豊氏の争いにおいて、事前調査では稲嶺さん優勢と言われていました。しかし、蓋を開けてみると渡具知さんが当選された。これは「名護ショック」と言われ、沖縄での調査のあり方を大きく見直さなくてはいけないと、沖縄の報道関係者の多くは思ったと思います。(中略)

電話調査をやっていると沖縄特有のバイアスを強く感じます。我々は全国で膨大な数の調査を行っているので、北から南まで地域ごとに並べて数字の出方を常に検証していますが、沖縄の突出した革新バイアス的なものは無視できない部分があります。そのため、単純な調査結果をそのまま情勢判定に使うのではなく、過去のデータや得票結果をもとに計算し直して補正したり、ネット調査など手法自体を進化させたりしてバイアスと戦っています。(中略)

MC期日前氏: 名護市長選では革新側の稲嶺さんが高く出ていて、保守系の渡具知さんが低く出ていたけれど、蓋を開けたら渡具知さんが勝っていたということですね。沖縄では基地問題などにおいて、正直に答えづらいという背景があるのでしょうか?

米重氏: 可能性はあると思います。仮説ですが、調査では「社会的望ましさバイアス」というものがあります。地域社会の中で「多数派はこういう意見だろう」とされるものに対し、忖度して居心地の良い回答をしてしまうというアンケート特有のバイアスです。

MC期日前氏: 隠れトランプ支持者のようなものですね。沖縄ではどちらかと言えば「オール沖縄」側の方が答えやすく、保守系と答えるのを控える傾向があるということですか?

米重氏:調査結果からは伺えます。厳密にアカデミックに特定できているわけではありませんが、方向感としては常にそういったバイアスがあると調査の実務方としては思っています。

MC期日前氏: 一方で、保守系には経済団体・業界団体などがついていて号令みたいなものも強い印象ですが、それよりも基地問題などがメインで、辺野古移設への賛否などを口にしづらい環境があるのでしょうか?

米重氏: 長年の調査結果を見ているとそういうことだと思います。もちろんこれが永遠に続くわけではなく、(中略)政治状況やメディアのシフトによって変化していくものだと思います。

MC期日前氏: オール沖縄が市長選などで連敗していたり、2018年名護市長選から8年間経つ中で有権者の方も正直に答えやすくなっているのでしょうか?

米重氏:基地問題への関心や態度が変化していることはあると思います。それによって、「社会的望ましさ」への同調圧力を受けずにアンケートに答えやすくなっている可能性はあります。

MC期日前氏: 現在、古謝さんと玉城さんが横一線で、古謝さんが若い年代を、玉城さんが年配と無党派層を取っているという構図ですが、これは珍しいパターンですか?

米重氏: 一般的には無党派層は若い人が多いので、若干のねじれはあります。ただ、玉城さんはタレントとしての知名度が県内にあり、現職の強みや元々の知名度によって無党派層、特に女性などの支持を確実に得ています。

一方で古謝さんは、参院選に出馬経験などはあるものの、比べると知名度は高くありません。そのため、自民や公明といった政党ラベルの積み上げによって政治家としての認知を高めていく戦い方をしており、それが現在の情勢の数字や報道に現れています。

MC期日前氏: 古謝さんは6政党の推薦を受けていますが、政党支持層は固まっているのでしょうか?

米重氏: まだ固める余地があるということです。政党ごとに見たときに、支持政党をすべて積み上げて古謝さんに100%乗れば、玉城さんを大幅に上回るはずです。比例票だけみれば圧倒的な差がありますが、しかし、実際は横一線になっている。そう考えると、これはまだ固まり切っていないからこそ起きている現象です。強い現職であることもあり、自民支持層にも食い込んでいるし、その他の政党支持層は割れているのが現状です。

MC期日前氏: 古謝さん側は党派層を固める余地があり、玉城さん側は無党派層や女性支持層を取っている。投票当日に向けて女性の投票が伸びるとすれば、両方に伸ばす余地があるということですか?

米重氏: そうなんです(中略)例えば東京などで小池百合子知事のように無党派層にも女性にも強いケースであれば後半伸びてくると予想しやすいですが、今回はそれとは異なります。現時点では「どちらになってもおかしくない」とデータが示していると捉えていただくしかないのかなと思います。

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