
2026年8月28日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、8月27日告示・9月13日投票の沖縄県知事選挙を取り上げ!直前で出馬を見送った「下地票」の動向は全体情勢にどう影響するのか?選挙ドットコムが23日に現地で開催した公開討論会でゲストコメンテーターを務めたMCの産経新聞編集長・水内茂幸記者と朝日新聞DEEP POLITICS編集長の林尚行記者が討論会を振り返りながら、今回の沖縄県知事選で問われるべき争点や、候補者間の考え方の違いについて解説します。
※沖縄県知事選挙には届け出順に、新人の古謝玄太(こじゃ・げんた)氏(42)、新人の兼島俊(かねしま・しゅん)氏(48)、新人の末吉正弘(すえよし・まさひろ)氏(73)、現職の玉城デニー(たまき・でにー)氏(66)、新人の比嘉隆(ひが・たかし)氏(49)、新人の屋良朝助(やら・ちょうすけ)氏(74)の6名が立候補しています。
林記者:(23日に開いた「選挙ドットコムちゃんねる」の公開討論会では、当日の席順で古謝氏、玉城氏、下地幹郎氏の)3人がそれぞれ自分が設定したテーマで、自分が聞きたい人に質問できるという組みだったんですけど、一番最初に下地氏がくじで一番目を引いたので、僕らはてっきり玉城氏を指名して、玉城氏の政策の矛盾点を指摘すると思ったじゃないですか。
MC水内記者:そう思いました。
林記者:ところが、古謝氏を指名して政策のおかしさを攻撃したんですよね。(中略)あれは本当意外でしたよね。
MC水内記者:かなり長い時間の質問しましたよね。あの時にもうすでに決まっていたのでしょうか。
林記者:決まってはいないんでしょう、多分ね。そうじゃなきゃ本人はいけないですからね。ただし、当然話はあったということですよね。
MC水内記者:これ選挙戦にどういう風に影響が出ると思いますか?
林記者:難しいですね。私は少なくとも、今回沖縄を取材した肌感も含めて言うと、下地氏が引いたからと言って、それがすべて特定の陣営、つまり古謝陣営に全部乗るというほど、沖縄の選挙は単純ではないという風に思いますね。どうですか?
MC水内記者:僕もそうだと思うけど、割と後から話を聞くと、自民党本部の方とかがかなり力を入れています。西村康稔選対委員長が、下地氏が辞退すると動画で公表した直後に、東京でぶら下がり取材に応じたりして、さっき会って話をして、政策協定を結んだという話をしたりして。下地氏の票がどれくらいあるのか分からないですが、ご出身の宮古島を中心に一定の「下地幹郎ブランド」があったりするので、そこの取り込みと言いますかね。古謝さんもお父さんのルーツが宮古島にあり、沖縄ってその土地出身の人やルーツとかを大事にするものがあったりするので、票が結構削られるのではないかとか言われていた部分があるんです。これが一つになるということに割とこだわっていた。特に西村さんとかもこだわっていたという部分はある。ただ、それがプラスマイナスを含めて、地元の有権者にどういう風に映るかですね。
林記者:今回一つ分かったのは、党本部がかなり気にしている、超関心事項になっているというところで。実際に西村選対委員長が動いていて、昨日(8月23日)の合意書のサインは自民党幹事長の鈴木俊一さんと、自民党選対委員長の西村康稔さん、あと下地幹郎さんという3者による合意書になったんですよね。ということは、自民党本部をあげて関心事ということはよく分かったということです。

MC水内記者:そうですよね。ただトータルで言うと、これで対立構図はある程度すっきりして、徹底的にお互いの政策の相違を戦わせればいいんじゃないかなという気もするんですけれどもね。基地問題について、僕らの取材や公開討論会でも「基地問題はちょっと置いて、経済を公約で全面に出すんだ」と言いながら、例えば玉城氏にしても古謝氏にしても、みんな相手に質問するのはまず辺野古の話からだったじゃないですか。
林記者:やっぱりなんだかんだ言って、沖縄は基地とは切り離せないですよ。日本の国土の0.6%という面積に、米軍の施設の70%以上が集中している。今回行ってみて改めて私も思いましたけど、やっぱり基地と隣り合わせの生活を県民の皆さんがしていますよね。だから「経済」というキーワードになったとしても、基地とは切り離せない。その最大の象徴が、やっぱり普天間の危険性除去と辺野古への移設ということだから、そこは当然大きな争点であることは依然として変わらないということだと思います。
MC水内記者:僕が一つ公開討論会で象徴的に思ったのは、「抑止力」という言葉について、古謝氏にしても玉城氏にしても、みんなそれぞれの視点から語ったのは非常におもしろかったし、良かったなと思うわけですよね。抑止力は、相手が1発でも銃弾を撃ったらそこはもう始まっているので、それより前に、いざとなったら戦う力があるんだよと見せることで攻撃を思いとどまらせる、そのためのものだと思うんですけれども、例えば抑止力だと宮古島と石垣島に当初レーダー部隊の設置と言っておきながら、いつの間にか――「いつの間にか」という言葉を使っていましたけど――ミサイル部隊まで配備すると「住民の理解がないところで進められている」とか言ったんですけれども、他方で、住民の理解については誤解で、ちゃんと説明はしていると思うんです。
加えて言うと、討論会でここまで議論にはならなかったですけど、「ミサイル部隊があると狙われるから危険になる」という議論があるじゃないですか。ただ、僕からすれば、狙われて1発目を撃ち始められる前に、それを相手を攻撃する武器があるよというのを置くこと自体はものすごく大事だと思うんですよね。
玉城さんはこんな言い方をしていました。「国の抑止力の強め方というのは、抑止力を強くすることだけが計画ありきになっていて、その一方で対話による平和の構築というものがかなりおろそかになってきている」と話しました。林さんは反論あるかもしれませんが、僕から言うと対話をするにしても、相手とお互いやり合うレベルというか、相手が全く抑止力を持たずにやられっぱなしであれば、対話は成り立たないのが今の現実かなというのは率直に感想を持ちました。
他方で、古謝さんも抑止力は大事だと言いながら、その抑止力は沖縄だけじゃなくて、国全体でみんなで分け合うようにしなければいけないんだと。これもこれで、沖縄がずっと長年たどってきた歴史を踏まえながら、大事にしなければいけないなと。今つらつら感想を言ってしまいましたけども、どう思いますか?

林記者:そうですね。主要候補が2人になっちゃいましたけど、2人とも別に日米安保体制を否定しているわけでは全然ないわけです。
MC水内記者:玉城さんも「日米安保体制については理解している」という言葉を最初に話しましたから。
林記者:その前提で言うと、今までの日米安保は長い間、「矛と盾」という関係で在日米軍と自衛隊があったんですけど、それが統合運用も進むようになってきて、だいぶ自衛隊と米軍の防衛力のあり方が変わってきたと思うんですよ。具体的な役割分担というのも、だいぶボーダーラインがなくなってきて変わってきていると思うんです。その最前線が沖縄にあるわけですから、これはただ単に防衛省・自衛隊の南西シフトの強化をするときの抑止力だけではなくて、当然、米軍による抑止力の運用も含めて、全体として考えていくことが必要なのと、もう一つは相手側ですね。非常に台頭している国があるじゃないですか。その国の現状とその戦略というのを見なきゃいけない。だから一概に「この抑止力とは何か」というのを定義するのは簡単じゃないと私は思っています。だから一つ留意しなければいけないのは、相手がこれだけの大きな攻撃能力を持っているときに、やっぱり抑止をするためには、それに対抗して思いとどまらせなきゃいけない。これは当然のことだと思うんですけれども、大事なのはそこでエスカレーションをしないことなんですよね。「抑止に抑止を重ねました」と言ってエスカレーションして、アクシデントで紛争が始まるケースもありますので。そういう状況なので、そこをうまくマネジメントしていくという状況が必要です。そういう意味では、現職の玉城氏も新顔の古謝氏も、共通するところは「国がきちんとそのあたりはやってくださいね」というところは変わっていないように思っています。
だから沖縄の県知事選挙って特殊性があるなと思うのは、そういった国の根本政策である外交・安全保障を、県知事選で正面から問わないといけないという宿命を負っているというところなんですよね。
だから、そこをサポートする地方自治体の長として、「むしろ離島防衛というのは離島のコミュニティを保全するところから始まるんじゃないですか?」とちょっと質問を(討論会で)ぶつけたんです。国民一人ひとり、県民150万近い沖縄県民を守らなきゃいけない知事としては、当然議論はしなければいけないけれども、あくまでもそれを決めていく主導権は国にあるということなんですよね。そことどう折り合いをつけながら議論をし、県民の人たちも考えていくかというところなのかなと思っています。
MC水内記者:僕も林さんの質問ですごく印象深かったのは、世代論を取り上げたじゃないですか。あれはどういう風にやり取りを聞いていましたか。

林記者:あれはやっぱり世代が分かれたなと思いました。やっぱり玉城さんは66歳で、米軍統治下を知っているし、お父さんは米兵で帰国してしまって母子家庭で育ち、いろんな職業を転々としながらタレントになり、やがて政治家になっていく。
古謝さんは首里の近く、首里地域って那覇の良いところで育ち、東大に入って総務省に入って、地方自治も学びながら、いよいよ県知事選に勝負するという状況なんで、ちょっと対照的ですよね。年齢は42歳。
ベースは一緒なのかもしれないけれど、「沖縄の県民のために」ということの言語化が世代が出たかなという風には思っています。討論会だけじゃないんだけれども、玉城さんの取材に行った時には、やっぱり「家族」「平和」「ゆいまーる」というようなキーワードなんだけど、古謝さんはどちらかというと「沖縄を前へ」「経済をどう活性化していくか」というところを話していく。これはおそらく、沖縄の今抱える世代間の温度差をそのまま映し出しているなと思っていて、それが接戦と言われている選挙になっているのであれば、極めて興味深い選挙になるなと思いますね。
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8/27告示・9/13投票の沖縄県知事選挙!
※竹富町は2026年9月12日(土)が投票日になります。
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