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すべての候補者は「有権者の貴重な選択肢」東京選挙区の候補者34人全員の生の声(畠山理仁)

2022/7/8

畠山理仁

畠山理仁

「言いたいことが言えない世の中。ネットを中心に発信する」・河野 「東京大行進は、この社会を変えていく第一歩」・乙武 「ロボティクスの時代を目指す」・中川

 維新政党・新風の河野けんじには都庁で話を聞いた。

「政策はいっぱいあるよ。まずはウクライナ戦争をとめる。そのためにはタダってわけにはいかないだろうから、安倍晋三元首相に100兆円もたせてロシアに派遣して戦争を止めさせたい。それから、学校教育では毎日3分間、挨拶の練習をさせたい。『おはようございます』『ありがとう』を習慣づける。それから、都内に核シェルターを作りたい。エネルギーは地熱発電にする」

河野けんじ(撮影・畠山理仁)

 思い切った政策が並んでいますね。

「言いたいことが言えない世の中だからね。ネットを中心に発信していきたい。いま、3つぐらい動画を考えているんだよ。『嗚呼、一度言うてみたかった』『正しい右翼の作り方』『言い過ぎた時には謝る土下座チャンネル』。料理をやっていたから『ビーガンチャンネル』もいいなと思っているんだよ」

 無所属の乙武ひろただの演説は新宿駅西口で聞いた。乙武も聴衆にマイクを渡して意見や質問を聞く対話型の演説会を開いている。

 乙武は公示日に渋谷から国会議事堂まで2時間かけて歩く「東京大行進」を行った。これはアメリカ公民権運動の象徴とされているワシントン大行進をイメージしたものだ。

「公民権運動の象徴とされているのがワシントン大行進。これをきっかけに、少しずつ差別がなくなっていった。ワシントン大行進と比べればまだまだ数は少ないかもしれない。でも、渋谷から国会議事堂までの東京大行進は、この社会を変えていく第一歩になったと確信しています」

乙武ひろただ(撮影・畠山理仁)

 乙武が自身の売りとしてあげていたのが「発信力」。もともとわかりやすい演説をする候補だったが、選挙戦に入ると言葉に熱が加わった。

「ぜひみなさんも行進に加わってほしい。社会を変えてほしい。政治なんて遠い世界の話だ。政治なんて嘘くさい、あっち側の話だよね。そう思う気持ちもわかります。だけど、あっち側の話じゃないよね。納めている税金の使い道を決めるのが政治でしょ。なんでそれを手放しちゃうの! もう一回取り戻そうよ、僕たちの手に!」

 別の機会に聞いた演説では、選挙権年齢、被選挙権年齢の引き下げについて語った。

「参議院議員選挙では、20代の方々は立候補する権利すら与えられていない。どうして義務教育が終わった人に選挙権がないの。立候補できないの。同じ大人なのに。税金を納めるのに。これって差別でしょ! 私は選挙権年齢、被選挙権年齢を引き下げたい! 思慮分別があるかどうかなんて、人によるんだよ! 年齢なんて関係ないんだよ!」

 ボランティア登録をしてくれる人は日々増えて、いまでは1600人に増えたという。

 無所属の中川智晴が選挙に出るのは3回目だ。はじめての選挙は2014年の東京都知事選挙。その時に掲げていた政策は「トップガン政治 from Nakagawa」だ。2回目の選挙である昨年10月の衆議院議員選挙(岡山4区)の際には使われなかったが、今回の選挙でキャッチコピーとして復活した。

中川智晴(撮影・畠山理仁)

 今回、中川は2種類のビラを用意。選挙戦3日目に江東区で行われた第一声は、ビラを読み上げる形で行われた。

「ロボティクスの時代を目指します。しかし、人にしかできないこともあります。人の手による仕事が尊ばれる時代が私の言うロボティクスの時代です」

 2014年の東京都知事選挙に立候補した際、中川は「どんぶり勘定政策」が目玉政策だと言っていた。これは「東京都がサボっている人の口座からお金を取り上げて、ちゃんと仕事をしている人の口座に振り込む」というものだと中川は説明していた。憲法上、大いに問題がある政策に思える。2014年にも本人に直接指摘したが、今回の参議院議員選挙出馬表明記者会見の場で、あらためて私は中川に聞いた。

「かつて中川さんが訴えていた『どんぶり勘定政策』。あれは今も有効ですか」

 中川は私の質問に笑顔を見せると、冷静な口ぶりでこう答えた。

「じっさい、無理ですよね(笑)」

 真剣に聞いた私はハシゴを外された。

 聴衆が私を含めて3人しかいない第一声が終わると、中川は私にこう言った。

「秋葉原のバッティングセンターで170kmのボールを打っているんです。動画を撮ってくれませんか。こんなおじさんでも170km打てるんだという姿を子どもたちにも見せたい。選挙ですから、私は今回、政策で勝負しています。この政策で当選できたら、世の中の多くの人に勇気を与えられるんじゃないかと思っています」

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畠山理仁

畠山理仁

フリーランスライター。第15回開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)著者。他に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。興味テーマは選挙と政治家。

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