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【雪をも溶かす熱戦】波乱の中で有権者に「熱」を伝えるのは誰か? 石川県知事選挙現地レポート(畠山理仁)

2022/3/12

畠山理仁

畠山理仁

子どもの医療費拡充を訴える飯森候補

 それでは各陣営はどんな選挙戦を展開しているのか。まずは出発式や出陣式の場所と集まった人数を「届出順」に書いてみる。

 飯森博子氏出発式:金沢市の金沢駅東口/100人(陣営発表)
 山野之義氏出陣式:金沢市内の石川護国神社/800人(陣営発表)
 山田修路氏出陣式:白山市内の白山比咩神社/1300人(陣営発表)
 馳浩氏出陣式:金沢市内の尾山神社/約1650人(陣営発表)
 岡野晴夫氏:出発式、出陣式などは行なわず

 飯森博子氏は新日本婦人の会石川県本部会長で、36年間にわたって「子どもの医療費窓口無料化」を求めて県や金沢市に要望を続けてきた。医療費窓口無料化は長年の活動の結果、2015年に道が開かれたという。出発式の会場では、同会の女性メンバーが手書きの応援メッセージカードが貼られたボードを持って見守った。

 街宣車の「専任アナウンサー」を務めるのは、飯森氏が経営する算数塾に通っていた元教え子の女性(23)だ。「中学校まで不登校だった」と話す彼女は飯森氏との出会い、飯森氏から学んだことを素朴な語り口で紹介する。それを隣で聞いた飯森氏は、真っ先にボランティアに手を挙げてくれた元教え子の成長した姿に感極まり、涙を拭った。

 飯森氏はマイクを握ると「子どもの医療費拡充・自己負担ゼロ」「少人数学級の実現」などの政策を訴えた。とくに力を込めたのが「医療費拡充」だ。石川県の子どもの医療費の助成対象年齢は「4歳まで」と全国的にも低い。石川県のように「通院4歳未満」までの助成は全国で4県しかない。法定ビラには「25県は入院中学卒業まで」と書かれていた。飯森氏の選挙公報には拡充対象は「中学卒業まで」と書かれていたが、街頭演説ではさらに年齢層が広げられていた。

「この選挙で、なんとしても子どもの医療費無料を全県で18歳まで! 県の助成を増やして、各市町の負担を減らして実現したい。高校までお金の心配がなく、病院へすぐ飛んでいける。お母さん方、お父さん、子どもさん。その負担、子育て支援を石川県ができる。そういうあたたかい県政になってほしい。学校へ行けない子どもたち、心を傷つけている子どもたちに少人数学級であたたかい声をかけてあげ、本当に生きていていいんだという思いをもってもらえる。そういう少人数学級を何とか実現したい」

 演説の中では、告示前に行なわれた2回の公開討論会の感想をこう話した。
「トップにある人は、みんなとともに考えるにあたって、『私はこうありたい』と言うべきだと私は思いました。でも(山野氏、山田氏、馳氏の3人には)、そのお答えはありませんでした。私は少し寂しかったです。実績もあり、国会議員もしている人たちがなぜこういう答えしか出せないのか。敵でありながらも、もう少し、骨太のお答えを期待したかったのです」

 本当に残念だ、という顔を見せた飯森氏は、自身の演説をこう締めくくった。
「そういう答えもない人たちに政治は任せられない! どうぞみなさん、私と一緒に、命と暮らしを守る、あたたかい、本当に人々を応援する、若者が希望を持って、子どもたちに豊かな教育と平和が手渡せて、一人ひとりがこの石川県に住んで本当によかったと思える県政をご一緒に実現していきましょう」

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畠山理仁

畠山理仁

フリーランスライター。第15回開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)著者。他に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。興味テーマは選挙と政治家。

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