続いて、Twitterでの活用を見ていきます。詳しいポイントは、以下の図にまとめてみました。

山中候補のTwitterで特徴的なのは、”具体的かつわかりやすい短いキーワード”が並べられていることです。まず、Twitter活用を考える前提に、Twitterのアカウントが見られる順番を意識しなければなりません。実際に、ユーザーがみる順番は、アイコンやヘッダー、アカウント名、自己紹介文、固定ツイート、最近のツイートの順番です。アカウント名はプロフィール以上に目に入る場所なので、名前だけでなく、アカウント名には名前+自分のツイートの主題をつけることによって、自分が何者なのか?一眼で見つけてもらいやすくなります。その際には、自分のツイート内容に近い要素をアカウント名の後ろにつけておきましょう。よく用いられるわかりやすい例えとしては、アカウント名=作家名と本のタイトル(例:名前@本のタイトル)、自己紹介文=本についている帯をイメージしてかく、ヘッダー画像=本の表紙と見立てて作成すると、全体の世界観がまとまりやすくなります。例えば、実際の候補者のプロフを作成する際には、以下の順に書いていくとストーリーの流れが伝わりやすくなります。
『肩書き(自分が何者なのか?)/自分の経歴(過去→現在→未来の時系列がベスト)/プライベート要素(親近感・人格を出そう)/政策・ビジョン/このアカウントは何を発信しているのか?(メリットを出しつつ書く)』
他にも、珍しい経歴や興味があるジャンルを持っていると、他候補との差別化になります。あまり目にしない経験を入れ込むと、プロフィールが見られたときに、「お?なんだか面白そうな候補者だな」と感じてもらえます。また、プロフィールにハッシュタグを入れている候補者がいますが、文字数の無駄になってしまうので、好みならともかく拡散狙いならのけることをお勧めします。なぜなら、ハッシュタグで検索して最初に表示されるのは、ユーザーではなく多くの場合『話題のツイート』だからです。
山中候補は、固定ツイートに、自身の紹介とWEBサイトへのリンクを固定していました。

林候補は、トップに立候補表明をした内容を固定しています。

そして、トップに表示されている投稿にはコンテンツを載せずに、この投稿に紐付けした形でリンクを貼っています。

小此木氏は、投票日当日、河野議員と小泉議員との対談をトップに固定していました。動画の冒頭2分をトリミングしたものと投稿し、リンクに飛ばなくても、様子がわかるようになっています。

固定ツイートには、できるだけ候補者メインの情報に絞ることが大切です。なぜなら、固定ツイートは多くの人に見られるポイントだからです。固定ツイートは自分の看板です。もし伝えたいことがない場合は、プロフィールを書いてみることをお勧めします。一番伝えたい候補者の情報を絞り、シンプルに伝えることは、本当に伝えたいことが伝わりやすくするために必要です。
山中氏のTwitter投稿のルーティーンとしては、朝一に、主張型の投稿→現場の実況AM投稿→PM投稿→明日の街頭演説告知という順番に投稿されるパターンになっていました。イメージとしては、以下の画像の並び順になります。
(朝)→(午前中〜昼ごろ)


(午後〜夕方)→(夜)


山中氏のTwitterタイムラインの特徴としては、候補者の情報のみが並べられている状態で、応援弁士のメッセージ動画や、他議員のアカウントのRTなどはほとんどない状態に整理されていました。
他候補者を見てみると、林候補についても同じく、Twitterタイムラインでは候補者メインの投稿が並んでいる状態でした。投稿ルーティーンとしては、 「〇〇駅前にて街頭活動。次は〇〇に向かいます。」現場かの実況型投稿、街頭演説・オンライン演説会の告知を投稿していました。

続いて、小此木氏のTwitterタイムラインでは、他議員の投稿をたくさんRTしていました。タイムラインが候補者の投稿以外で埋め尽くされている印象です。例えば、以下のような投稿がずらっと並んでいる状態です。

初めて目にする有権者にとっては、こんなにも多くの他国会議員に応援されている候補者なんだという印象を受けやすくなることでしょう。一方で、候補者の情報を知りたくても、情報がタイムライン上でかえって見えにくくさせてしまうことにもつながるので、バランスには気をつけながらRTをしなければなりません。もし、第三者の投稿をRTする場合は、政治に関係ないユーザーの応援投稿をRTすることをお勧めします。今回同じ横浜市長選挙に立候補していた田中候補のアカウントでは、SNS上でフォロワーからの応援投稿を自身のタイムラインにRTしていました。(図左)


応援してくれている支持者から送られてこきた動画をアップしている様子もありました。(図右)
田中氏のように、ネット上で積極的に応援してくれているユーザーを巻き込みながらSNS上で支持を広げ、ネット上での声を大きくさせていく手法もあります。このようにTwitterのタイムラインは、候補者の頭の中、そのものなのです。
先ほど、YouTubeでサブチャンネルを駆使しているとご紹介しました。山中氏は、そのサブチャンネル用のTwitterアカウント・Instagramのアカウントを開設されており、メインアカウントとサブアカウント、この2つを使い分けて相互にRTしあいながら、メインアカウントのフォロワーを伸ばしていました。

投稿内容は、主に、サブチャンネル動画の冒頭1分程度の動画をトリミングしたもの+実際のYouTubeリンクを貼って誘導しているものです。

なぜ、このように政治コンテンツ以外のコンテンツが必要なのでしょうか。それは、政策や政治カラーのみのコンテンツでタイムラインを埋め尽くすと、無党派層(政治に興味がない支持者など)を掘り起こせないからです。”候補者なんだから、真剣に政策だけ語ってればいい”という意見も多くありますが、政策だけ語っても中々耳を傾けてくれる人がいないのが、今の日本の現状なのです。

組織票を持たない候補者の場合は、無党派層への支持拡大を増やしていくしかありません。その場合は、政治一色のタイムラインにしてしまうと、政治に関心のない層にとっては、初めから見てもらえにくくなる可能性が高いのです。硬い投稿を3つほどしたら、柔らかい投稿を一つ挟む、このコンテンツのバランスにこそ、支持拡大に繋がる要素だと考えています。

他候補者を覗いてみると、林氏は、選挙以外のコンテンツがない印象でした。小此木氏は、自身の人柄がわかる物語を漫画にしている工夫がありました。

山中候補は、街頭演説のことをコミュニケーションと言い換えて、各所を回った様子をアップしていました。筆者にとって、とても印象的な言葉の置き換えだったと感じています。受け手にとっては、「コミュニケーションしてきました」と、「演説してきました・挨拶してきました」とでは、候補者への印象が少し変わってくるのはないでしょうか。一方的な印象ではなく、双方向の意識を持っている政治家のイメージを生み出してくれる可能性があります。


また、他にもSNSフォロワーとも積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢が投稿の節々から見受けられました。

山中氏は、質問箱を利用して、一つ、一つの質問に返事をしてました。選挙期間中には、リプライをもらっても一つ、一つに返す余裕がない場合は、こうした質問箱を利用することを通じて、候補者の考えを積極的にシェアする姿勢を示すことがとても重要です。自分の質問に耳を傾けてくれる政治家なのか、有権者はしっかり見ています。返事やいいねを返すことも同様に、有権者に耳を傾けてくれるというイメージづけに繋がります。


山中氏のTwitterでは、ハッシュタグは2−4個で運用されていました。基本的に、選挙中のTwitterでのハッシュタグは1−3個がベストと言えるでしょう。140字の文字制限の中で、優先すべき言葉はたくさんあるからです。

他候補者のハッシュタグを覗いてみたいと思います。小此木氏のTwitterでは、議員の名前が並べられていました。演説会に参加いただいた議員の名前をハッシュタグでメイン投稿にコメントする形で載せています。

ここでツイッターにおける効果的なハッシュタグ数は幾つなのでしょうか、以下の研究文献によると、https://www.quicksprout.com/marketing-trends/(出典:10 Marketing Predictions You Should Prepare for in 2015)Twitterにおいては、「1~2個」が最も効果的な数であるとされています。また、ハッシュタグが付いていないよりも、付いている方がリツイートされやすいとの結果が書かれています。

平坦な言葉でやりとりされるコミュニケーションツールにおいて、明らかに「この人SNSを盛り上げるために必死だな〜」と印象付いてしまう大量のハッシュタグは、読む人にとってノイズとなることもあります。そもそもが140字しか入力できないTwitterでは、ハッシュタグの存在はより顕著に感じられるはずです。結果的には、「宣伝臭」にならないように選挙においてもあまり欲張らず、重要なワードを1~2個設定するのが最も効果的となるかもしれません。
投稿する前提に、テキスト内容とそこに載せる画像・動画とのギャップがないように書くことが候補者の投稿にとって大切です。特に以下のような、画像+候補者の考えを述べる投稿する場合には、伝えたいメッセージとそのイメージにあった画像にすることがポイントです。また、真剣に伝えたい内容ほど、カジュアルな絵文字・改行のしすぎは避けることも大切です。文字がぎっしり詰まっていることによって、現場の臨場感あふれる印象が伝わってきます。




スペースとは、Twitter上で音声を使ってリアルタイムで会話する新しい方法です。最近Twitterに追加されたClubhouseに近しい、リアルタイムな音声SNS機能です。ClubhouseのTwitter版と捉えていただくとわかりやすいかもしれません。


Clubhouseでは、あくまでも「声」でのコミュニケーションしかおこなえず、スピーカー同士の会話が進行されるのみです。一方で、Twitter Spacesでは、リスナーも数種類の絵文字でリアクションを送れます。スピーカーにもリスナーにも双方的なコミュニケーションが生まれやすいのことが特徴です。候補者は会話中にリスナーが反応してくれることで話すことを楽しめますし、リスナーは聴いている候補者とゲスト議員の会話に対して何かしらのリアクションを行うことができます。山中氏は、期間中の夜の時間帯にスペースを活用してゲストとともに対談を行なっていました。
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