
【NHKも「下鶴当確」を報じた後、支援者とバンザイをする下鶴隆央】
NHKが当確を打つと、近くで待機していた下鶴が事務所に入ってきた。支援者が大きな拍手で迎え入れる。花束を受け取ると、すぐにマイクを持って地元メディアのインタビューに応じた。そして、おきまりの万歳三唱。当選祝のケーキに灯したろうそくの火を吹き消すセレモニーもあった。
私は下鶴に聞きたいことがあった。それは今回の「38.16%」という投票率をどう考えているかだ。私がカメラを向けて質問すると、下鶴はこう答えた。
「候補者の一人として、もっともっと関心を持っていただく努力をしなければならないと思います。市長になってからも、もっと皆様のお近くに自ら足を運んで、興味を持っていただけるような取り組みをしなければならない。そういう思いを持っています」
今回、下鶴は8万553票を獲得して当選した。しかし、鹿児島市の有権者総数49万5148人に占める「絶対得票率」は約16.2%だ。「相対得票率」は42.9%。この数字が次の選挙でどうなるかは、12月23日の市長就任後の仕事ぶりにかかってくる。
「次の選挙で、より多くの方に期待していただけるように仕事に邁進するというのが政治家の務めであります。そこはしっかりと取り組んでいきたい」
4年後の投票率は何%にしたいと考えているのか。
「やはり、50(%)まではいってほしいですよね」
昨今の投票率を見れば、現実的な数字ではある。しかし、目標はもっと高くてもいい。
最後にもう一問聞いた。組織を持たない人でも選挙に勝てる秘訣はあるのだろうか。
「私も教えていただきたいぐらいなんですけれども(笑)。やはり、市民の皆様が何を期待されているのか。そこにしっかりと寄り添って、方向性を詰めていく。それが政治家の役目であり、やるべき道なんじゃないかと思います」
私は知っている。下鶴は2011年に初当選した県議時代から、自身の選挙区である鹿児島市内で県政報告会を重ねてきた。それも一部の支援者向けではなく、インターネットやチラシなどで一般に広く告知してきた。
参加者がなかなか集まらず、「ゼロ」のときもあった。平均参加者が3、4人の時代もあった。私の知人夫妻が参加した時は2人だけだったとも聞いた。
それでも報告会を開き続け、市内を何周もした。コロナ禍においては、ZOOMでのリモート報告集会にもチャレンジした。
無所属候補である下鶴が厳しい選挙戦を勝ち抜いた理由はここにあるのではないか。
政治家は「どこにいるかわからない有権者」への訴えを、決してやめてはいけないのだ。
(文中敬称略)

【当選後、筆者の質問に答える下鶴隆央】
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