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【鹿児島市長選挙】畠山理仁の現地ルポ!「政治家は『どこにいるかわからない有権者』への訴えを、決してやめてはいけない」

2020/12/22

畠山理仁

畠山理仁

出陣式の人数と選挙結果の関係

【11月27日金曜日夜、鹿児島中央駅前東口広場で行われた松永陣営の演説会】

 新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、選挙のあり方は大きく変わろうとしている。
 従来のように室内で大きな集会を開くことは難しくなった。有権者と濃密な接触をする機会も減った。そのため、組織的な選挙運動の影響力は以前よりも弱まっている。組織の力が生きるとすれば、これまでに蓄積された人間関係を頼った投票依頼となる。
 何が言いたいか。それは組織を持たない候補者にも勝ち目が出てきた、ということだ。新型コロナ禍により、顔と顔をあわせる選挙運動がやりにくくなっている。戸別訪問もはばかられる。つまり、候補者を近距離で強烈に押し出す機会が大幅に減っている。
 その中で価値を高めているのがSNSを通じた空中戦だ。有権者との接触機会が限られているのなら、感染拡大の心配がないインターネットを活用するしかない。インターネットの世界であれば、組織を持たない無所属候補も同じ土俵で戦える。
 ここで、今回の市長選挙に立候補した4人の出陣式に集まった人の数を比較してみる。数字はいずれも鹿児島テレビ(KTS)の報道によるものだ。

上門秀彦 700人
松永範芳 850人
下鶴隆央 300人
桂田美智子 90人

 出陣式に支援者が何人集まるかは、従来型選挙では大きなポイントだった。一番多くの人を集めたのは、選挙中に現職の森博幸市長が何度も応援に入った松永。それに自民党の推薦を受けた上門が700人で続いた。下鶴は半数以下の300人に過ぎなかった。
 しかし、最終的な獲得票数は次のような結果となった。

上門秀彦 29,909票
松永範芳 70,014票
下鶴隆央 80,553票
桂田美智子 7,216票

 投票率は過去最低だった前回2016年(25%)を上回る38.16%。候補者が少なければ『信任投票』の色が濃くなるが、今回は4人が立候補して『選択型』の選挙になった。それも投票率を押し上げた要因の一つと考えられる。
 ちなみに、過去の鹿児島市長選挙における候補者数と投票率の推移は次のとおりである。

2004年(候補者4人/投票率40.76%)
2008年(候補者2人/投票率25.47%)
2012年(候補者3人/投票率33.47%)
2016年(候補者2人/投票率25.00%)
2020年(候補者4人/投票率38.16%)

【11月27日金曜日夜、鹿児島中央駅前東口広場で行われた松永陣営の演説会。熱心な支援者も現れた】

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畠山理仁

畠山理仁

フリーランスライター。第15回開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)著者。他に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。興味テーマは選挙と政治家。

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