池田:選挙において、女性であることをメリットに、もしくはデメリットに感じたことはありますか?
岩永:やっぱり選挙ということで言えば、男性より女性の方が目立ちやすいとは思います。女性なのに頑張っているよね、とか、クリーンなイメージがあるかなって。
池田:18年前に初挑戦した時と、今だと、女性政治家、女性候補者として活動はやりやすくなっていると思う?
岩永:個人的で言うと全然変わらないけれど、一般的にはやりやすくなっていると思う。
池田:どのあたりが?
岩永:例えば、出産育児について。私が議員になった当時はまだまだ若い女性が議員になるイメージは少なかったように思います。だから、私が25歳で女性だったというインパクトは大きかったようです。今は、各政党も頑張って、若い女性を擁立するようになり、議員になってから結婚する、出産する、という人も珍しくなくなってきました。
そういう意味では仲間が増え、活動しやすい環境が整えられつつあると思います。多摩市の場合には生活者ネットワーク、共産党、公明党と女性議員が多いので、私自身は出産も子育ても女性議員のみなさんにあったかい目で見守ってもらえ、そして、いろんなプレッシャーからも守ってもらえた気がします。
池田:18年前は、多摩市議会には女性議員は何人?
岩永:11人。28人中11人(*約40%)
池田:今は?
岩永:9人。26人中9人(*約35%)
池田:すごく女性議員比率が高いね!
岩永:そうなの。だからやっぱり、ほかの議会の話を聞くと違うなあと思います。特に女性の少ない地方の議会と比べれば、やっぱり、都会だからかなあと。
池田:都会って言っても、都内、区議会とかでもそんなに女性議員比率が高いところ珍しいと思うよ!
岩永:確かに…。その原因は、ひとつは報酬との関係があるんじゃないかと考えていて。
池田:議員専業でやれるだけの報酬があるかどうかっていうこと?
岩永:都議会や政令指定都市の議員報酬額であれば、なんとか議員専業でやっていけるかもしれないけど、多摩市議会の議員報酬額だとけっこうギリギリというか、難しい場合もあるなと。独身で、若い時はいいかもしれない。
でも、結婚して、家庭を持ち、子育てしたり、または介護をしたり…とか、議員年金の制度がなくなって、将来のことを考えると、いろいろ出費が重なるともなれば…。議員報酬一人分だけでやっていくのは正直辛いというか、きついと思います。別にお財布があれば…いいわけですが。
活動費も捻出していかなければならないし。もちろん、お金だけはない議員としてのやりがいはあるけれど、将来設計を考えると、二の足を踏む人もいると思うし、実際に、断念している人もいます。各政党も候補者を発掘することにとても苦労していると聞いています。
池田:なるほど。政令指定都市の議員報酬でも、それだけで、例えば子ども2人大学に行かせようと思ったら無理で、配偶者がパートに出ているってことが多いような気がするな。
岩永:政治活動って、やっぱり、お金かかる。
池田:冠婚葬祭とか、団体の会員になったら会費も発生するし・・・。
岩永:そう。冠婚葬祭など足を運び始めるとキリがなくなってしまう。私の場合は、そうした活動よりもやっぱりコツコツと市政レポートを作成して、配布して…これもまた一定の費用が必要なので、こっちが優先かなあ。
池田:なるほど。でも、みんながそういう風にシンプルにというか、色んなものをそぎ落としてやれるかっていうと、なかなか・・・。
岩永:難しいよね。人によってバックグラウンドが異なる。だからこそ、自分はどういう立場にあるのか…について、自分自身で掴むというか、客観的に捉える努力が必要だと思います。政党に所属している人なんかは、その政党の文化もあるだろうし。
住んでいる地域にもよると思います。私の場合、どこかに明確に所属して、はっきりと支持する政党や人がいるという市民ではなく、どちらかと言えば、どこにも具体的なつながりがないというか、薄いような市民の方々が支持をしてくださっていると考えています。
だから、あえて後援会をつくって、支持者を縛るような感じの活動もしていません。むしろ「後援会をつくらない」と公約に掲げているくらいです。市民はその時々、自分自身で考え、判断していくことが重要だと思うからです。
池田:その割り切りは最初から思っていたの?
岩永:最初から…そうですね。浮動票で当選したと言われ続けています。確かに誰が票を入れてくれたかはわからない。私に投票してくださった方がすべて特定できるわけではありません。私が政治をやる上で大切に思っているのは「私がすべてではない」ということです。
池田:参考意見にして、自分で考えてと。
岩永:そう。「岩永ひさかが言ったから」ではなく、「岩永ひさかが言っていたことが自分にとってどうなのか。」をそれぞれの方に考えていただけるといいなあと思います。私と同じような意見かもしれないし、まったく異なる意見かもしれない。それでいいし、それがいいんだと思っています。
それに、投票してくれたというか、支持してくれている人たちをつなぎとめる活動に力を注ぐ…となると、逆に活動が縮こまるというか、私自身も苦しくなってしまう気がします。後援会活動ばかりになってしまうような議員活動はつらいかなあと。
池田:そうすると、ひさかさんの場合は、多摩市民の中で、今、ひさかさんが取り組んでいる政策やテーマに共感している方々で、選挙ごとに入れ替わっているんじゃないか、っていうイメージ?
岩永:イメージとしては、選挙ごとに多少は入れ替わりがあるだろうなあと思っています。
池田:なるほど。
岩永:もちろん、ずっと変わらず応援し続けてくれる方々もいて、選挙になると「手伝うよ!」と声をかけてくださる方もいらっしゃいます。でも、やっぱり浮動票が多いだけに、入れ替わりはあるだろうと捉えています。私の場合は政策もありますが、政治姿勢を前面に打ち出した選挙活動をしています。
私は政策がまっとうな人たちがやればまっとうものになっていくと思っており、首長が個人で政策を掲げる意味と、議員が掲げる意味は違うと主張しています。なので、最初からこの3つを貫いています。
スタイル1 公平公正な姿勢
市民全体に向けた活動を心がけ、個人後援会はつくりません。
スタイル2 政策づくりが議員の仕事
議員としての専門性を磨き、市民の自治力の向上をバックアップします。
スタイル3 話し合いが大切
意見の違いは粘り強く議論をつづけることで、「第3の道」を見つける努力をします。
池田:多摩市はそもそもの住民の流入出はどういう状況?
岩永:ニュータウンの団地は高齢化が進んでいるといわれるように、みなさん定住されている方も多いです。そして、かつて多摩市には学歴の高い女性が多く住んでいるという統計データもあったと思いますが、市民活動なども活発だったり、投票率は決して高くはないけれど、政治に対する関心は強いほうだと思います。
池田:そういう背景があれば、市政レポートがポストに入っていたら読んでくれる確率も高いかもね。
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