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重要なのは熱量をどう持続的に有権者へ伝えるか。山田太郎参院議員のネット選挙戦略に迫る(山田太郎氏インタビュー後編)

2019/9/3

選挙ドットコム編集部

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今回の参院選は「受け皿」が求められた選挙

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今回の参院選はどのような選挙だったと思われますか?

山田氏
一言で言えば「受け皿選挙」だったと思います。僕もそうでしょうし、山本太郎さんもそうだと思いますが、若い人にとっての受け皿が求められているように感じました。既成政党ばかりの中で他の選択肢、それも個人に票を入れたい、という気持ちがあったんじゃないかと。自民党の和田政宗さんもある意味では受け皿と言えると思います。僕は表現の自由を通じて漫画・ゲームを大事にしようという不満の受け皿になったかと思います。既存政党を選べないっていう中で初めて選ぼうと思える候補の一人になれたんじゃないかなと。

同じような話はNHKから国民を守る党にもいえるんじゃないかと思います。本当に「NHK憎し」と思っている人はそんなにいないとは思いますが。しかしそこをきっかけに矛盾を感じてる人が不満をぶつける受け皿になっていたと思います。

山本太郎さんもそうだと思うんですが、反安倍や現政権に不満を持っているけれど投票先は立憲民主とかの既成政党ではないよね、という層から支持されたのだと思います。そこの選択肢がいくつか今回あって。ネットで見るとそこで悩んだ人が多いんですよね。N国か山田太郎かで悩む、とか。なんだその組み合わせは(笑)とは思いましたが。政策でいうと全然違うんですけどね(笑)

今の世代で政党名、っていうのは考慮の際に出てきにくいんじゃないかなと。党派性はある世代よりも上の世代の人たちの間での話になっている訳ですし。党派を選ぶのがイデオロギーになってしまっているんですよね。もしかしたら政策をパッケージで提供するっていう既存の政党のあり方がもしかしたら古くなってきたのかもしれないです。これは今後考えていかなくてはならない点だと思います。

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街宣への力の入れ具合はいかがでしたでしょうか。ネットと街宣の力の入れ方の違いを伺いたいです。

山田氏
街宣は事実上秋葉原ベルサール前のみでした。そこでだいたい1時間半から2時間ひたすら街宣をしていました。これには理由があります。たくさん街宣にきてもらう必要はなくて、その中にSNS上で山田太郎について書いてくれる人がやっぱり欲しかったんです。演説をはじめた直後は一人か二人ポツポツいるだけですが、頑張れば観衆は1時間半で100人以上にはなります。最後の方で「書いて書いて、自分の言葉で拡散してください」と促すと2割から3割くらいの人はネット上で書いてくれるんです。拡散してもらう内容も、「すごかった、感動した」といった感情・感想ではなく、「何を気に入ったのか」を書いてもらっていました。たとえばその演説で言った政策3つに触れてそれを書いてくれ、ってダイレクトに街宣の場で言うんです。

街宣はとにかく僕の動画配信である「さんちゃんねる」と同じなんですね。ひたすら政策を話し倒して、共感してくれた人にはいろいろキーワードを拾ってもらって拡散してもらう、と。地方でも街宣をやりましたが、「その地域に来てくれた共感」を生むためです。地方街宣でも最後に写真を撮ってもらって、街宣と同じく「書いて書いて」と促します。

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つまりタレントと同じようにロイヤリティを上げている、ということですね。

山田氏
そうです、有権者の皆さんに「北海道まで来たのか」「九州の福岡まで来たのか」と思ってもらえるようにです。なのでここにはまだ伸びしろがあると思っています。大阪や名古屋のような大都市圏で東京並みの街宣をするなど、もっと面を取って、時間を掛けてやったらまだ伸びると思います。

ネット選挙でも大事なのは熱量を伝えること

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当選だけ考えたら街宣なしでもいけるとは思いませんでしたか?

山田氏
まず大事なのは「熱量」なんですよ。熱量を伝えることがネットにおいて大切で、やっぱり街宣による熱量って伝わるんですよ。なので街宣は必要でしょうね。同じく「さんちゃんねる」もありますが実際に熱量として伝わっているかはわかりません。次の選挙であれば結果だけ言えば当選するかもしれませんが、今回の参院選で街宣を行っていなかったら当選していたかどうか…
まぁ、当選した今だからこそいろいろなことが言えますが、選挙中はもうドキドキでしたよ(笑)前回29万票を得たときも振り返ってみてああだったこうだった、という訳で。

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投稿のインプレッションがどれくらいだったか伺ってもいいでしょうか?きっとすごい数字かと……!

山田氏
いいですよ。ただ思っているほどではないと思いますよ、他と比べると高いかもしれませんが。要は周りの人がどれだけそれをツイートしてくれたか、というのはインプレッションには表れないんです。我々のツイートは100件ちょっとで前よりも減らしています。代わりに事務所アカウントを作っていましたが。当選した時のツイートの数字は1000万インプレッションでした。Twitterの人口は4500万人ですよね(笑)7.4万リツイートで1000万インプレッションですね。

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例えば、党単位で山田さんがネット選挙をプロデュースするとしたらやり方は全く変わってくるでしょうか?

山田氏
党が何を求めているかによりますが…一つ参考になるのは共産党の「カクサン部」でしょうね。いいところは各政策にキャラを持たせているんです。だから踏み込んだ発言をできるんです。それが政党、例えば「自民党」という名前で踏み込んだことは言えないんです。でも「表現の自由を守る君」というキャラが自民党の横にくっついていたら踏み込んだことが言えるんです。
仮にハレーションを起こしたとしてもその発言は「表現の自由を守る君」が言っているから大丈夫なんです。共産党の「カクサン部」は秀逸です。あれはやるべきだと思います。

選挙の最終日って各陣営が声明文を出すじゃないですか。我々の事務所は最終日の朝に出したんです。他の候補者は20時まで街宣を頑張って、そこから一生懸命文章を考えて、23時50分にやっとアップする、という感じだったと思いますが、それでは拡散されないんですね。我々も23時50分過ぎまでやる番組はやらなかったんです。最後の最後まで番組をやると視聴者が拡散してくれる時間が無くなるので。なので今回は事務所のネット戦略部隊は最終日の14時くらいにはお開きにしていました。

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山田さんの選挙からもわかりますが、日本では国政選挙などはTwitterが主戦場になってきていますね。地方選挙では同じような活用ができる人が出てくるかは未知数ですが。

山田氏
ほか、Facebookも更に活用したかったんだけどまだまだできていませんね。今回の選挙で驚いたことがありまして、Facebookの投稿を見て初めて「今回山田さん立候補していたんですね!」という方もいたんです。Facebook上では灯台下暗し、という状況でしたね。身内へのアプローチができていませんでした。

最初の選挙で30,663票です。それによって繰り上げ当選した経験がなければ前回の選挙で29万票も獲得できなかった訳ですし、今回の54万票もありませんでした。今回の参院選ですが静岡で545票取っていたんです。9年前の選挙では田中茂さんという方が僕の下で11位だったんですけど、そのときは465票差でした。もしそのとき545票を失っていたら今回の結果もないんですよ。54万票取った人が545票か、と思われるかもしれませんが、本当に1票1票が大切なんです。

経緯を知らない方にとっては「ネット選挙でオタクから票を集めたんでしょう?」と簡単に思われるかもしれませんが。

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ネット選挙とはいっても結局は有権者のみなさんからの一票一票の積み重ね、ということは変わらないんですね。本日は貴重なお話ありがとうございました。

※本インタビューは前編・後編の二部構成です。インタビューの前編はこちらからどうぞ。


【イベントのご紹介】ネットで54万票獲得した山田太郎氏のネット選挙責任者が語る、人には言えない政治と選挙の裏の裏 ~新しい民主主義のカタチはネットが作りだす~

2019年夏に行われた参院選、山田太郎氏は支持母体や組織が無い中、Twitterを活用したネット選挙で540,077票を獲得しました。実際にそのネット選挙を指揮し運用した 山田太郎氏の秘書でネット選挙の責任者でもある 坂井崇俊氏をゲスト講師にお迎えし講演頂きます。

本イベントは、議員、候補者など政治家の方、秘書の方、選挙関係者の方はもちろん、一般の方でも、ご参加いただけます。

日時:2019年9月21日(土)13時~16時まで(受付12時45分~)
会場:汐留ビジネスフォーラム(〒105-0021 東京都港区東新橋1-1-21 今朝ビル 5F)
費用:参加費無料

>>本イベントの詳細・お申込みはこちらから

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