1月24日は朝から慌ただしい1日だった。午前9時半に国民民主党の両院議員総会が開かれた。開催の告知が各議員事務所に送られたのは、前日の午後8時を過ぎていた。
「果たして定足数を満たすのか」
職員のため息が聞こえてくる。案の定、委任状を出さない無断欠席は6名に上った。その中にはかつて小沢一郎自由党共同代表の配下のもとにいた吉良州司衆議院議員、階猛衆議院議員の名前も存在する。この無言の抵抗はかなり強力だ。
「まあ階さんは仕方ない。小沢さんに刺客をたてられたんだから」
同情の声も聞こえている。小沢王国と言われた岩手県。階氏はその1区で5期連続で当選を果たしてきた。当初は小沢氏に従ったが、野田政権の時に決別した。やむなく書いて小沢氏に預けた階氏の離党届が勝手に提出されたというのが原因だ。
その報復のように2012年の衆院選で小沢氏が階氏の対抗馬としてたてたのが、達増拓也知事の夫人である達増陽子氏だ。明らかに当選が目的ではなく、階氏の票を分断する意図が露骨なものだった。達増知事も小沢氏の「子飼い」として知られていた。まさに血で血を争う闘いといえた。
国民民主党への離党届も提出された。7月の参議院選で茨城県選挙区から出馬予定の藤田幸久参議院議員だ。2013年の参議院選で20万4021票の藤田氏は、56万642票獲得した自民党の上月良祐参議院議員にはるかに及ばなかった。しかも昨年12月の県議選では、国民民主党系の「茨城県民フォーラム」は幹事長が落選した。党勢がぱっとしない中で立憲民主党から候補が出されれば、目も当てられなくなるのは確実だ。
藤田氏は同日、立憲民主党に入党届を提出。事前にFBに「インフルエンザ罹患」を告知して、外部からの接触を遮断していた。
その背景に立憲民主党の福山哲郎幹事長の影もちらついた。枝野幸男代表がインフルエンザで登院禁止の今、野党を動かすのは福山氏しかいない。
その福山氏は24日午後に開かれた立憲民主党の両院議員総会で、自由党の4名が抜けた参議院の会派である希望の会(残っているのは社民党の2名のみ)と統一会派を組むことを宣言した。これで公的には立憲民主党・民友会と国民民主党・新緑風会の所属議員は同数の27名となったが、立憲民主党が副議長を出しているため、参議院での野党第一会派は以前通り立憲民主党・民友会となっている。
さらに藤田氏の国民民主党離党が正式に認められれば、立憲側の優位性は高まる。国民民主党から立憲民主党へ逃げ込む人は、これからも増えていくに違いない。
「自民党に代わる選択肢を示したい」
「大きな塊を作りたい」
自由党との連携を発表する際、国民民主党の玉木雄一郎代表はこう述べている。24日夜には小沢氏と会談し、今後について話し合った。しかしそのような思いと裏腹に、現実はますます厳しくなりつつある。
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