キリスト教信者で、信仰内容が政策に反映されることを望んでいる人々は、クリントン氏を支持していません。
キリスト教で、福音派と呼ばれる人たちはアメリカの人口の25%あまりを占めます。共和党予備選挙で最後までトランプ氏と争ったテッド・クルーズ氏もこのグループです。そのうち45%あまりの人がトランプ氏を支持し、クリントン氏は31%の支持に留まります。
リーマン・ショック後の不況から自分たちの貧しくなり、格差に苦しみむ層は大勢います。クリントン氏に限らず政治や経済を動かしてきたトップ・エリートが政治を行っても生活が良くならなかったと感じ、反発しています。そのためエリートではダメだ劇的に世の中を変えて欲しいと願い、「変革」としてトランプ氏を待望しているのです。
彼らは、トランプ氏を批判するメディアもエリートと認識していて、メディアのトランプ氏の痛烈な批判は耳に届かないのです。
今回のトランプ氏の暴言によって、多くのメディアはクリントン氏の当選の見込みを伝えています。しかし、今回の選挙で現れた「どうしてもクリントン氏を支持しない人々」は、その後の政権運営やアメリカ政治そのものに深い影を落とすものと思われます。
例えば、トランプ氏を支持する人々に対して、クリントン氏は国の未来や自身の政策を訴え、応援してもらう事ができるでしょうか。クリントン氏は当選すれば、アメリカ世論を分断する困難な問題に取り組まなければなりません。
しかし、クリントン氏への不信感は根強いものがあります。果たして、この壁を乗り越えることはできるでしょうか。
そして、トランプ氏の台頭を背景として、人種差別主義者の動きが活発化しています。彼らはトランプ氏が自らの主張を反映しているとして、熱烈に支持しています。
アメリカでは人種差別問題が歴史に深い影を落としてきました。差別との戦いは今なお続いています。今回トランプ氏の台頭によって、差別との戦いは大きく後退するでしょう。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします