それにしても、トランプはどうやって市民をモチベートさせているのでしょうか? 実際に彼を応援している人たちに話を聞いてみました。
Q:なぜ、トランプなんですか?
もともと共和党支持者だから。(40代、女性)
彼はアメリカを愛しているから。お金やホワイトハウスに入りたいからといった理由ではなく、一つ一つの問題と向き合っている。(40代、女性)
ヒラリーを信じられないから。(18歳、男性)
彼のアイディアの方が素晴らしいから。(16歳、男性)
この状況を変えないといけない。ヒラリーを選んで何も変わらない。(60代、男性)
もう一度、夢を持てるような社会を彼は実現してくれるだろうから。表面的に市民になにかを与えるのではなく、根本的な資本を作り直して、教育の質の向上や、貧困問題を解決してくれると思う。彼の方がヒラリーよりよっぽどリベラル。(24歳、女性)
「ヒラリーを選んでも何も変わらない」って声はかなり参考になりますね。思えばサンダース氏も、かなり抜本的なアイディアを提示して支持を集めていました。
次に、ヒラリーのイメージを、トランプ支持者の人たちに聞いてみました。
Q:ヒラリーのイメージは?
ヒラリーはオバマがやっていることを引き継ごうとしているだけで、何かが変わるとは思えない。約25年も政治家として勤めていて、ずっと同じことをしている。彼女のメール問題もあって、信頼できないし、安全保障上、彼女は大統領として不適切だと思う。(40代、女性)
嘘つき。(60代、男性)
やっぱり、メール問題がかなり響いているみたいです。また、TPPについて意見が変わったりしている(前は賛成だったのに今は反対している)のも大きいのかなと。
Q:トランプは差別主義者だと思う?
そうは思わない。確かに彼の表現は角が立っていたり、少し稚拙な部分は感じられる。でも、彼の本心はそこにはないと思うし、すべてのアメリカ人を大切に思っている。不法滞在をして税金を払わない人がいることは不公平だ。そして、それが傾向的に人種の違う人で、それに対して意見を言うことが差別的なのであれば、そう思われても仕方がないかもね。(40代、女性)
リベラルなメディアがそうやって煽っているだけ。事実、彼は以前に、モハメド・アリに対して慈善行為をしている。(40代、女性)
それはメディアによって、彼がそのような発言をしているかのように操作されているだけだ(18歳、男性)
彼は「レイシスト」”racist”かという質問をしたのですが、それに対して、みんな否定をしていましたね。この差別問題はとても根が深いものだと感じました。個人的には、この質問に対する市民の答えには違和感を抱きます。アメリカでは、「ポリティカルコレクトネス」と言われるものが政治家のあいだでは用いられます。つまり、人種・宗教・性別などの違いによる差別的表現をしてはならないという暗黙のルールです。トランプはそれを破っている候補者ですね。それに対して、既存の政治家とは違うからという理由で魅力を感じている人が多数いるという印象も受けました。
他にも、こんな意見がありました。トランプの選挙の「盛り上がり」が分かるんじゃないかなと思います。
トランプが出馬したことで、今回始めて、共和党を支持している。(40代、女性)
10代の子たちが候補者のスピーチを聞きにくることは珍しいと思う。しかし、若者の関心度は高いと思う。(16歳、男性)
前回の選挙と比べて、多くの市民が声を上げ、主体的に動いているように思う。投票率も前回を上回ると予想している。
自分と同い年の友達と選挙について話すことがあるし、トランプの支持者も多い。バーニーの支持者も多いけど、トランプに変えた人もいると思う。彼らももっと勉強すれば、トランプの良さに気づくとはず。(24歳、女性)
最後に、トランプの選挙ボランティアをやっている人に、戸別訪問について聞いてみました。
戸別訪問はみんな好きなタイミングで各々やっている。たまに日にちを決めてグループを作って一斉にやることもある。特別、何件まわったとかの集計はしていない。また、年齢や人種、地域を絞ってはやらない。手当たり次第やる。相手が民主党員だろうと、違う人種だろうと関係ない。社会を良くするためにやっていることだから、人を選んだりはしない。
基本的に、共和党支持者は皆トランプを支持していると思う、FOXニュースを見たらわかる。戸別訪問をしていて、トラブルなんてない。みんな話す準備ができているから。(50歳、女性)
僕の個人的な見解として、この演説は、来ている人に「トランプの良さを伝えるための情報をアップデートする役割」を担っているように思えました。
差別のことをはじめ、トランプには多くの批判がありますし、そうした批判はトランプ支持者に不安を与えるものです。今回の演説は、そうしたトランプに対する多くのネガティブイメージを、トランプ自身の言葉がカウンター的に払拭するようなかたちでした。そして、それを聞いた支援者が自分の友達や家族に「誤解を解く」といったかたちで伝えている感じでした。
まだ、ヒラリーのは見ていないので、きちんとした比較はできないのですが、トランプ支持者の方がこの選挙に対して、意欲的に参加しているのでは、とも思いました。と、いうわけで、近いうちにヒラリーの選挙も見てみたいと思います!
ちなみに、トランプはめっちゃ遠くて、最後に市民と握手しているところでちょこっと確認できました。いやー、正直すんごく行くの怖かったのですが、意外と大丈夫でした。
※本記事は「POST」の10月9日の記事の転載となります。オリジナル記事をご覧になりたい方はこちらからご確認ください。
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