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『れいわ新選組』と『NHKから国民を守る党』がもぎ取った政党要件。これからは何が出来るようになるの?

2019/7/24

選挙ドットコム編集部

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7月21日に投開票された第25回参議院議員通常選挙。政治団体として候補を立てていた6団体のうち、「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」の2団体が、全国で得票率2パーセントを上回ったことで、政治資金規正法や政党助成法などにある政党要件を満たしました。

れいわ新選組・集めた寄付は約4億円に

れいわ新選組・山本太郎代表(撮影・畠山理仁)

今回、「れいわ新選組」は、SNSや公式サイトで寄付を募り、山本太郎代表も演説先でカンパを呼びかけるなどした結果、21日の投開票日には「今日で4億円になっています」と山本代表が明かしたように大きなお金が積みあがりました。「一週間のおかずを減らしながら、外食しようとしてやめたりとか、一人一人が本当に無理して、積みあがっています」と山本代表が熱く語ったように、小口の献金が多数集まっていったようです。

NHKから国民を守る党・選挙区の候補者は約10日間で集めた

NHKから国民を守る党・立花孝志代表(撮影・選挙ドットコムの取材時)

「NHKから国民を守る党」の立花孝志代表は、今年6月に入ってYouTubeで、今回の選挙の資金と候補者集めを呼びかけました。「全国比例で(投票を)2パーセント取れれば恐ろしいお金が入ってくる」といい、300万円を出してくれた方で選挙に出てくれる人を公認していくなどの手法で約10日間で候補者と約1億円の資金を集めました。各選挙区に立った候補に約束したことは、1・次期衆院選の名簿1位、2・地方議員選挙への公認、3・来年から300万円を3年間渡す、の3つです。いまもYouTubeの動画でこの提案の模様はみられます。結果として政党要件を満たしたので、立花氏の作戦は見事に当たった形となりました。

政党要件とは?満たすとどうなるの?

政党要件ですが、よく報道などで使われている「公職選挙法上」に実は、政党要件というのは言葉はないのです。総務省によると、公職選挙法上では参院選の場合、比例区に10人以上の候補を有した団体が「名簿届け出政党」とされるだけだそうです。ちなみに、衆院選では小選挙区で「候補者届け出政党」とされます。政党要件は公職選挙法ではなく、政治資金規正法などで定められています。

政党要件を満たして「政党」とされた場合、普通の政治団体と何が変わるのでしょうか。大きく分けて4点があります。

1、国から政党交付金が受け取れるようになる

2、企業(法人)からの政治献金を受け取ることが出来るようになる

3、選挙区における政見放送において政党所属候補者及び推薦候補はスタジオ録画方式に加えて、持ち込みビデオ方式も認められる(参議院選挙の場合)

4、TVや新聞等のマスコミが選挙期間中も報道するようになる

このうち1〜3は公職選挙法や政治資金規正法に関連しますが、4についてはマスコミの自主規制によるものです。衆議院や参議院などの国政選挙には、数多くの政治団体や個人が名乗りを上げるため、限られた放送時間内ですべてを取り上げるのは現実的に難しいといったことから、政党要件を満たしている政党と、それ以外の政治団体を区別しています。選挙期間中、ネット上では「れいわ新選組が黙殺されている!」という支援者の方々の怒りの声が散見されましたが、このような事情によるものだったのです。

1983年の第13回参院選において、それまでの全国区に代わって政党名のみを記載して投票する「比例代表選出議員選挙」が取り入れられ、これにより比例区に立候補するには政党、および政治団体(制度上は確認団体)の形を取らなければいけなくなりました。この選挙で2議席を獲得した「サラリーマン新党」を筆頭に、「第二院クラブ」から「UFO党」まで多数の団体がミニ政党として候補者を立てました。1989年の第15回参院選では史上最多の40政党が候補を立て、ミニ政党では「スポーツ平和党」などが議席を得ました。1992年の第16回参院選では現職国会議員を含まずに結成された「日本新党」が4議席を獲得します。

こういったミニ政党は、供託金の引き上げなどもあり激減、1995年の第17回参院選での第二院クラブを最後に議席獲得はなくなっていました。今回の「れいわ新選組」と「NHKから国民を守る党」の2つの政治団体が比例で議席を獲得した上に、選挙区で2パーセントの得票率を獲得して政党要件を満たしたのは、24年ぶりということになります。

「れいわ新選組」はすでに、選挙開票報道の時点で比例代表者候補の「特定枠」を使った、重度障害者の舩後靖彦(ふなごやすひこ)氏、木村英子氏の当選が確実になった段階からメディアの報道量が増えています。また山本太郎代表は、今回の参院選比例代表に立候補した候補者の中で最高となる97万票以上を獲得しましたが、落選となりました。これは、「特定枠」で擁立した2人が優先的に当選となったためですが、2001年以後の現行の選挙制度の中で、2010年の参院選での公明党、浮島智子氏が得た約44万5千票を倍以上に上回り「比例代表者候補落選者最高得票」を大きく更新。これにもメディアの注目は集まりました。

今回の参院選では、政党要件を満たしていなかったことで、メディアへの露出が低かった両党ですが、「れいわ新選組」では、国会史上初となる重度身体障害者(過去、下半身不随となった八代英太氏が車椅子で国会議員としての活動を行った例はあります)の2議員が登院する際に、注目されるのは確実です。「NHKから国民を守る党」の立花孝志代表もその選挙戦略が注目され、取り上げられています。

今後は「れいわ新選組」の山本太郎代表も、「NHKから国民を守る党」の立花孝志代表も、次回の国政選挙では各テレビ局や記者クラブなどが主催する党首討論会や討論番組などにも招へいされるようになることが確実になりました。既存政党と違った角度から参院選を盛り上げた両党が、今後どのように支持を広げ、次期衆院選を戦うのか、今後の展開が楽しみなのは間違いありません。

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