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【連載】選挙プランナーによる選挙必勝講座『2019年3月解禁の証紙ビラで当落が変わる』

2019/3/12

松田馨

松田馨

私が昨年末に出版した選挙マニュアル本「フルカラー図解『地方選挙 必勝の手引』」の中から、来る4月の統一地方選に向けて押さえておくべき選挙のテクニックをテーマに分けて解説します。
今回は公選法の改正で頒布可能な選挙の種別が拡大された「証紙ビラ」について解説します。

【証紙ビラ サンプル】出典:フルカラー図解『地方選挙 必勝の手引』p.188

これまで国政選挙や首長選挙でしか認められていなかった、選挙運動用ビラ(ここでは「証紙ビラ」と記載します)の頒布が、町村を除く地方議会議員選挙で可能となります。この「証紙ビラ」をうまく活用できるかどうかによって、当落が左右されることになるでしょう

「現職有利」が変わる可能性も

これまでの地方議会議員選挙では、選挙ポスター・選挙カー・たすき・選挙事務所や個人演説会の看板といった掲示物には氏名や顔写真を掲載することができましたが、郵送物である選挙ハガキや選挙公報を除き、候補者が印刷物を配ることはできませんでした。地方議会議員選挙は立候補者数が多いため、有権者からすれば候補者を覚えるのが大変です。街頭やポスターで一目見ただけでは覚えられませんので、浮動票が少なく現職有利となることが一般的でした。

そうしたことから、地方議会議員選挙では「告示日には選挙の勝敗は決まっていると言われてきました。浮動票が少なく、当選に必要な票数も読みやすく、選挙運動期間中の活動に制限が多いことから、告示前の政治活動(主に後援会活動)が勝敗を決定すると考えられてきたのです。

「証紙ビラ」はA4サイズで2種類まで

一昨年の公選法改正により、新たに証紙ビラの配布という活動が加わることになります。選挙運動期間中に証紙ビラが頒布可能となる選挙の種別は、都道府県議会議員選挙と、市議会議員選挙で、町村議会議員選挙は対象外となります。証紙ビラA4サイズ以内2種類まで作成することができ、頒布責任者や印刷者の氏名と住所の記載、届出をして選管が発行する証紙を貼った上で配ることが可能といった制限があります。配布可能な枚数については選挙の種別によって異なりますが、選挙ハガキよりも多く、当選ラインと同じかそれ以上の枚数が配布可能です。証紙ビラの作成費用については、条例が制定されれば公費負担を適用することも可能です。

選挙運動期間中の重要性が高まる

今後も政治活動の重要性は変わりませんが、今回の公選法改正によって、これまでよりも選挙運動期間中の活動がより重要になってくると考えられます。選挙に関わっている私たちと違って、有権者の多くは選挙がいつ行われるのかについてあまり関心がありません。告示日となり、報道量が増え、街中に選挙カーが走り回る姿を見て、はじめて選挙が行われていることを知ります。そうして関心が高まったタイミングに、あなたの氏名と顔写真の入ったビラを手にとって見てもらえるかどうかは、一票の行方を大きく左右することになります。昨年、一票差で当落が別れた地方議会議員選挙が話題になりましたが、接戦になった場合に当落を左右するのは、やはり有権者の関心が高まっている選挙運動期間の活動なのです。

証紙ビラをゴールに考え、今から活動する

選挙期間中に配布する証紙ビラの効果をより高めるために、今からできる準備があります。それは、ネット選挙との連動です。選挙ドットコムの調査によれば、ここ数年で政治家個人のサイトや選挙情報サイトへのアクセス数は、スマートフォンからの方がパソコンからのアクセス数を上回るようになりました。証紙ビラを受け取った有権者が、スマートフォンであなたのことをもっと検索したくなるよう、ホームページやSNS(Facebook・Twitter・LINE等)への誘導を意識したデザインにすることは重要です。

選挙プランナーとしてこれまで携わってきた首長選挙などでは、配布されたビラがネット選挙と連動していることを実感してきました。ビラにホームページのアドレス、FacebookやTwitterなどのSNS情報、それらのQRコードなどを掲載するなどしてネットに誘導させ、有権者が関心を持ったタイミングにコンテンツを届けるという闘い方ができるようになるからです。また、証紙ビラとネット選挙の連動を意識する上で、SEO対策(検索エンジン最適化)を図ることも必要となってきます。有権者が候補者名で検索した際に、ホームページやSNSが検索上位に表示されるかどうかや、選挙名で検索した際に、選挙ドットコムなどの選挙情報サイトに候補者情報が掲載されているかどうかなど、有権者の「もっと知りたい」に応えるための準備を告示前からすすめておくことが当落を左右します。

証紙ビラ配布の2つの注意点

証紙ビラ配布にあたっては注意点が2つあります。まずは枚数制限です。証紙を貼ったビラしか配布できません。よくある勘違いが「証紙の枚数は公費負担が出る枚数であって、自費で印刷すれば多く配布できる」というものです。証紙を貼っていないビラを配布すると公選法違反になりますので、告示日の届出が終わったあとに、まず証紙を貼る作業が必要になります。

もう1つは、配布場所と配布方法の制限です。証紙ビラの配布ができるのは、街頭演説の場所・個人演説会場・選挙事務所・新聞折込に限られています。証紙ビラのポスティングや郵送、お店などに置いて自由にビラを取れるような方法も認められていません。こうした制限があることから、証紙ビラを街頭だけで配布するのはほぼ不可能ですので、多くの陣営が新聞折込を活用します。新聞折込にあたっては、地域を限定したり、どの新聞に折込するかをよく検討しましょう。

【配布場所の制限】出典:フルカラー図解『地方選挙 必勝の手引』p.188

低投票率の選挙で確実に勝つために

統一地方選挙は、毎回投票率が下がっています。今回も、残念ながら投票率は低迷し、当選ラインは低下すると予想されます。こうした低投票率の選挙では「自分に投票してくれるはずの人に、確実に投票所へ足を運んでもらう」という意識が大切です。証紙ビラを活用して期日前投票を促すなどの工夫も考えられます。繰り返しになりますが、今回は選挙運動期間中の重要性が以前よりも高まる選挙となりますので、その点を意識して新たなツールである証紙ビラを活用していただければと思います。

<関連記事>選挙プランナーが手の内を全て明かした虎の巻『地方選挙 必勝の手引』の魅力に迫る【PR】

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松田馨

松田馨

選挙プランナー。株式会社ダイアログ代表取締役。1980年生まれ。2006年以降、地方選挙から国政選挙まで100を超える選挙に携わる。新聞や週刊誌上において国政選挙(衆議院・参議院)の当落予想を担当するなど、選挙区分析には定評がある。ネット選挙運動の解禁や投票率向上の活動にも長年取り組んできた。著書に『残念な政治家を選ばない技術 「選挙リテラシー」入門』(光文社新書)

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